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メニュー専用調味、時短・簡便ニーズを取り込み市場拡大、各社は洋風メニュー用調味料に力を入れる

時短・簡便ニーズを取り込み、順調に市場を拡大しているメニュー専用調味料。とくに2020年は家庭での調理機会が増え、大きく需要を伸ばした。中華や和風が中心だったメニュー専用調味料だが、各社が洋風メニューの開発に力を入れており、今後さらに市場の広がりが予想される。

家庭での調理機会の増加で、金額PIは大きく伸長

 KSP-POSデータによると、洋風料理の素の2020年6月から21年5月の期間通算の金額PIは430円で、対前年同期比8.8%増。月別金額PIをみると、6月以外はすべての月で前年を上回った。とくに20年9月、21年1月、2月、3月、5月で2ケタ増と、大きく拡大している。

これまでも有職主婦のニーズを捉え、順調に拡大してきたメニュー専用調味料だが、20年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、家庭内調理が増えたことで需要がさらに広がった。 i-stock/kazoka30

 メニュー専用調味料は、短時間で簡単に失敗なく調理できる点が支持されており、中華や和食を中心に広がってきた。これまでも有職主婦のニーズを捉え、順調に拡大してきたメニュー専用調味料だが、20年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、家庭内調理が増えたことで需要がさらに広がった。「短時間で簡単に、外食で食べるような料理を手づくりしたい」というニーズにより、メニュー専用調味料を活用する人が増えているようだ。

 ここ数年、注目されているのが洋風メニュー用調味料だ。19年秋に、にんべんは「だしとスパイスの魔法」シリーズを発売。かつお節だしをベースに素材のうま味を配合した調味液と、こだわりのスパイスをセットにした同シリーズは、すべてのメニューが10分以内に調理できるものになっている。時短調理でありながら、本格的な味わいのメニューがつくれると好評だ。今年の秋には、「香り豊かなビーフストロガノフ」をラインアップした。

 中華や韓国メニュー用調味料市場を拡大してきた味の素では、洋風メニューの幅を広げる「Bistro Do」を今年2月に新たに発売。シェフの技術に倣って丁寧につくったブイヨンや厳選された素材を使用し、絶妙なバランスで仕上げたコク深く香り豊かなソースに仕上げた。肉や野菜を用意するだけで、手軽にメインディッシュをつくることができる。メニューは「なすのボローニャ風炒め煮用」など4品だ。

バラエティ豊富なラインアップ 認知拡大が今後の課題

 ダイショーでは、肉料理を家庭で手軽に楽しんでもらうことを目的に、「お酒に合う洋風メニュー」がつくれる「肉BarDish」を展開しており、今年秋には「ローストビーフ用セット」をラインアップした。下味用のシーズニングと2種類のソースをセットしたローストビーフ用を家庭調理するための商品だ。コロナ禍でローストビーフを手づくりする人が増えていることを受けて商品化した。赤身肉のヘルシーさに加え、冷めてもおいしいことが人気となっている。

 キッコーマン食品では、中身の50%以上は固形具材の「具Tanto」シリーズを展開。トマトやピーマン、たまねぎ、にんにくなどの野菜がたっぷり入っており、ミネストローネや鶏肉のトマト煮などが簡単につくれる。パッケージ裏面のQRコードでアレンジレシピも紹介している。

 洋風メニュー調味料は、中華や和食に比べ、まだメニューが少なく、認知も低い。しかし各社が次々に新商品を投入し、プロモーションを仕掛けていることから、市場はさらに拡大することが予想される。