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コロナ禍で内食需要が急増、大幅に伸長した「ごま市場」 21年も堅調に推移

新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大による内食需要拡大と健康意識の向上で、月によっては前年比2ケタ増での推移がみられたごま市場。2021年に入りコロナ特需が一周したことで若干の低迷はあったものの、全体としては堅調だ。

内食需要が拡大し、新たな購買層を獲得

 料理の名脇役として使われるごまは、健康食材としても人気が高く、安定した人気を保つ食材の一つだ。KSP-POSによると、ごまカテゴリーの2020年6月から21年5月の期間通算の金額PIは、対前年比1.0%増の1107円、数量PIは同0.2%増の7.82と、金額・数量ともに前年を上回る結果となった。平均金額については同0.6%増の141.65円となっている。

これまで、ごま製品の主要購買層は中高年世代だったが、栄養価も高く料理への汎用性も高いことから、健康や美容への意識の高い女性からも好まれるようになった。 i-stock/Andrei Naumenka

 ごまの需要は、野菜の売れ行き、夏の乾麺と冬の鍋物に連動する。月別の対前年実績推移を見てみると、20年6、7、8月は前年並みから増加傾向だったが9月は1.9%減となった。10月は7.0%増に回復し、11月については2ケタ増の大幅伸長となっている。その後も20年12月から2月まで微増のまま推移したが、コロナウイルス感染拡大による特需が一巡した3、4月は減少に転じ、5月は7.9%減となった。

 コロナ感染拡大を受け、消費行動は大きく変化した。総務省によると家計支出に占める内食比率が急増し、外食が減ったぶん、キッチンに立つ時間が増えている。これまで、ごま製品の主要購買層は中高年世代だったが、栄養価も高く料理への汎用性も高いことから、健康や美容への意識の高い女性からも好まれるようになった。

 コロナ感染拡大に伴う巣ごもり消費は落ち着きつつあるものの、全体としては堅調だったといえる。

新たなニーズが顕在化、プレミアムな金ごまが話題に

 近年は、含有成分であるセサミンの抗酸化作用に注目が集まるなど、ごまは安定した人気を保っている。20年からもコロナ禍で自炊の回数が増えたことから、ごまの需要は拡大しているが、共働き世代のなかには“自炊疲れ”を訴える人もいる。そうしたなかSNSやクチコミで「時短レシピ」や「使える調味料」が注目されるようになり、これまで使ったことのない食品・調味料に挑戦する層が増加傾向にある。加工ごまの市場を見ると、いりごま、すりごまなどの定番調味料に加え、ごまをペースト状にした練りごまの需要も広がっている。

 2月に創立60周年を迎えたごま製品のトップメーカーである真誠では、今秋の新商品として「純おいしいねりごま金」を発売した。真誠の練りごまシリーズ「白(ごま)」と「黒(ごま)」に次ぐ第3弾で、香ばしく煎りあげた金ごまをすりつぶし、なめらかなペーストになるまで丹念に練り、分離しても容器ごと揉みほぐせる便利なパウチタイプの商品だ。ごまを100%使用し添加物は一切加えていない。金ごまは白や黒と比べて脂質が高く、リッチなコクが魅力だ。香りもより高く、そのぶん値段は高価だが、昨今、プレミアムな金ごまを使った菓子類やドレッシング、袋麺など金ごま関連の新商品が続々登場し、従来品との差別化を図っている。それぞれの商品特徴や使い方の違い、調理例やレシピと合わせて訴求することがヒットの鍵となりそうだ。