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食用油、家庭内調理機会の増加で20年度の市場規模は1600億円を突破

2020年度の家庭用食用油の市場規模は、内食機会の増加などもあり、4年連続で過去最高を更新。加熱調理に加え、オイルをそのままかけて楽しむスタイルが定着し、過去最大規模を4年連続で更新した。引き続き、健康性やおいしさなどを訴求することでさらなる成長が期待できる。

内食機会の増加でキャノーラ油、ごま油、こめ油が大幅に伸長

 インテージ社SCI-pデータをもとに日清オイリオグループが推計したところによると、2020年度の家庭用食用油市場は1667億円で、対前年比8%増。4年連続で過去最高を更新した。食用油がここ数年でポジティブに受け止められるようになったことに加え、オイルをそのままかけて楽しむ食習慣が広がったことが市場拡大につながっている。

オイルをそのままかけて楽しむ食習慣が広がったことが市場拡大につながっている。 i-stock/masa44

 カテゴリーごとにみると、キャノーラ油は438億円で同11%増。プレミアムオイルなどへのシフトでここ数年は微減状態が続いていたが、20年度は内食機会の増加で、キャノーラ油の使用量が増えている。

 市場を牽引しているのが、フルーティーな香りと風味が特長のオリーブオイルで、20年度の市場規模は431億円で同0.7%増。市場の1/4のシェアを占めるまでに成長している。オリーブオイルの健康機能や多様な使い方は浸透してきているが、市場拡大のためにオリーブオイルの価値やおいしさを継続して訴求していく必要がある。

 ごま油もここ数年、大きく成長しているカテゴリーのひとつで、20年度の市場規模は368億円で同24.1%増。内食機会の増加で、ごま油を使う料理が増加傾向にあることで使用量がアップした。ごま油は家庭用食用油のなかで3番目に大きなカテゴリーにまで成長している。

 14年度対比で最も大きく伸長したのが、こめ油だ。14年度の市場規模が9億円だったのに対し、20年度には102億円にまで拡大。20年度も同33.9%増と高い成長となった。軽くて香ばしい風味と、カラッと仕上がるのが特長で、ビタミンEや植物ステロールなどの栄養素も含んでいる。サラダ油やキャノーラ油からの置き換えが進んでいる。

アマニ油は2年連続で100億円を突破

 体によい成分を豊富に含み、サプリメントのように毎日摂取するサプリ的オイル。その中心的な位置づけにあるのが、アマニ油で20年度の市場規模は102億円で対前年比6.8%減。直近では微減となったが、14年度対比では100%増となっている。健康成分オメガ3(α-リノレン酸)を豊富に含み、健康感が浸透しつつある。しそ・えごま油の20年度の市場規模は5億円で同25.4%減と大きく前年割れとなった。日清オイリオグループでは、昨年秋に「日清有機えごま油」を発売。指定農園で有機栽培された良質なえごまのみを使用したもので、市場活性化を図っていく。

 市場のボリュームはまだ大きくないが、話題となっているのがMCTオイルで、20年度は同115.2%増と大きく伸長。消化吸収がよく、エネルギーになりやすい中鎖脂肪酸は、スポーツをする人や健康・美容に気づかう人から支持されている。

 8月には原料の高騰を受け、大手3社が食用油の価格引き上げを発表した。食用油1㎏あたり50円の値上げで、今年3度目の値上げとなる。値上げにより需要が落ちないようにするため、引き続き、食用油の健康性やおいしさを訴求していく必要がありそうだ。