メニュー

第10回 競争激化中の「サンドイッチ」 圧倒的な存在感を放つ専門店3選

 サンドイッチといえば、日本でもすでに馴染みの深いメニューで、食品スーパーからコンビニエンスストア、パンの専門店、カフェ、高級ホテルのレストランまで、幅広い店で提供されています。

 そんなサンドイッチが今、あらためてブームを巻き起こしています。たとえば、野菜やフルーツなどをふんだんに挟んでカットした、SNS映えする断面を特徴とする「萌え断」なサンドイッチや、とろ~りと溶けたチーズが食欲をそそる「メルティ系」サンドイッチなど、個性的な商品が数々登場し話題を集めています。

 また、身近なコンビニのサンドイッチもずいぶん改良されました。シンプルで低価格なものから、わざわざ買いに行きたくなるほどの専門店顔負けのこだわり商品まで販売されるようになっています。このようにサンドイッチ市場の競争が激化するなか、食品スーパー各社ではどのような観点で差別化を図っていくべきなのでしょうか。その参考にしてもらうべく、今回は「ご馳走サンドイッチ」や進化系の「ネオ・サンドイッチ」とも言われる、最先端のサンドイッチを提供する専門店を紹介します。※新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、営業日時を変更している場合があります。詳細は、各店舗のホームページや公式SNSでご確認ください。

①まるで〇〇を訴求しよう!
「DAY&NIGHT」

カフェ「DAY&NIGHT」の内観。まるでニューヨークの一角にあるような洗練された空間演出がなされている

  こちらは東京・広尾エリアにある、まるでニューヨークの一角にあるようなカフェです。同店では、シンプルな「BLT(ベーコンレタストマト)」から、ニューヨークでは定番のステーキがたっぷり入った「フィリーズチーズステーキ」、旬の果実を使った季節性を反映したメニューまで、さまざまなサンドイッチを販売しています。

 特筆したいのは、味が美味しいことはもちろん、見た目がおしゃれな点です。どれも奇をてらったようなものではなく、センスが光ります。

 「まるでニューヨークのような」と記述しましたが、そうしたシーンの演出は重要です。人は五感すべてを使っておいしさを感じます。消費者が SNS を活用し気軽に情報を発信できる今、商品を演出することは付加価値向上に有効です。

 たとえば、売場や商品の見た目、包材などの工夫によって「まるで〇〇」と言われるような商品開発を意識しみてはいかがでしょうか。

ニューヨークでは定番のサンドイッチ「フィリーズチーズステーキ」。スライスしたステーキとグリルオニオンにたっぷりのチーズが入る

「DAY&NIGHT」
所在地      東京都渋谷区恵比寿2-39-5
営業時間    モーニング9:30~11:00、デイタイム11:00~16:00
        ディナータイム16:00~21:00 
定休日     不定休

②食事系アレンジのヒント満載
「Coffee&toast Tokyo」

「Coffee&toast Tokyo」の外観。訪れたのは平日にもかかわらず、店内は若い世代の来店客で満席状態であり、店の外で待つ人もいる人気ぶりだ

 こちらは、正確にはサンドイッチ店ではないのですが是非紹介したいお店で、食パンを中心にさまざまなパンをアレンジし提供しているカフェです。

 同店では、固定のイートイン・テイクアウトメニューのほかに、日々ユニークな商品を開発し期間・数量限定で販売しています。その内容は、レンコンのはさみ揚げを挟んだ商品や、パンをご飯に見立てた親子丼風食パン、1 斤の食パンの中にぎっしりとソーセージやハンバーグを入れたパンなど、どれも圧巻の見た目でインパクトのあるものばかりです。

 アレンジの種類の幅や、創作内容も魅力的で「あれも、これも、試してみたい!」と思わせてくれます。パンといえば洋風や甘いスイーツ系が主ですが、その常識を覆すこのラインアップは、きっとスーパーのバイヤーにとっても商品開発のヒントになるはずです。同店ではSNS「Instagram」で新作メニューを配信しているのでそちらも是非チェックしてみてください。

2020年末に期間限定で販売した「かつ丼パン」。パンをご飯に見立てて丼風に仕上げた、見た目のインパクトが大きい商品だ

「Coffee&toast Tokyo」
所在地   東京都世田谷区三軒茶屋 1-5-16
営業時間   9 :00〜14:00
定休日    不定休

③究極のサンドを体験する
「ワギュウマフィア・ザ・
カツレツ・サンドイッチ」

「ワギュウマフィア・ザ・カツレツ・サンドイッチ」は、「WAGYUMAFIA」の系列店のなかで、会員でなくても訪れることができるお店だ

 こちらは国内外で店舗を展開し、各国のトップシェフとイベントを開催して世界中の SNS で話題となっている「WAGYUMAFIA」の和牛カツサンド専門店です。会員制の和牛専門店である「WAGYUMAFIA」の系列店のなかで、会員でなくても訪れることができるお店です。

 上質な和牛にこだわる「WAGYUMAFIA」の店だけあって、計7種類あるメニューの価格は2500円から高いもので5万円。より質の高い和牛を使ったメニューもあり、エイジングビーフでは 3 万円、チャンピオン牛では価格は5万円を超します。飲食ビジネスでは安価なものの代名詞のように「コスパ」という言葉を用いますが、その真逆をいく店舗と言えるでしょう。

 サンドイッチとは思えない価格に驚く人もいるかもしれませんが、多くの来店客は5000円以上のカツサンドを注文するそうです。その理由は、「本当にいいものを決して安売りしない。生産者に敬意を払うことで、事業にかかわるすべての人が幸せになり、その結果、文化、価値が伝承される」という同店のフィロソフィに、世界中の食通たちが賛同しているからでしょう。是非一度足を運び、究極の食の在り方を感じてみてはいかがでしょうか。

神戸牛のドライエイジングビーフに金箔を振りかけたサンドイッチ。価格は3万円超

「ワギュウマフィア・ザ・カツレツ・サンドイッチ」
所在地   東京都目黒区上目黒 1-26-1 中目黒アトラスタワー 1F
営業時間  12:00~20:00
定休日   火・水曜

「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員
有木 真理(ありき・まり)

リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めると共に、ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成や更なる外食機会の創出を目指す。自身の年間外食回数300日以上。ジャンルは立ち飲み~高級店まで多岐にわたる。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがうりで1日5食くらいは平気で食べることができる。「ホットペッパーグルメ外 食総研」https://www.hotpepper.jp/ggs/