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ドリンクヨーグルト市場、健康増進の高まりを追い風に再び拡大基調に

カテゴリーフォーカス

市場拡大に一服感がみられていたドリンクヨーグルト市場。新型コロナウイルス感染拡大による家庭内消費の増加や機能性ヨーグルトに対する健康増進の期待の高まりにより、再び拡大基調に転じている。

1月まで前年割れが続くも2月以降は大きく伸長

 ドリンクヨーグルトのKSP-POSの期間通算(2019年10月~20年9月)金額PIは、9227円で対前年同期比11.3%増。月別の金額PIをみると、1月まで前年割れの月が多くみられるが、2月以降はプラスに転じ、3月からは2ケタ増で推移した。ピークの4月は同37.2%増、5月は同23.9%増で、6月以降も高止まりで推移している。

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 新型コロナウイルス感染拡大により、休校や在宅勤務の増加により家庭内消費が拡大。とくにドリンクヨーグルトの大容量や多本数パックなどのファミリーユース商品が好調に推移した。

 ドリンクヨーグルトは、甘味のあるものが主流となっているが、明治では乳素材のそのままのおいしさが味わえる「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン乳素材だけ/無添加」を10月に新発売。砂糖・甘味料・香料・安定剤を使用していない。プレーンヨーグルトになにもかけずにそのまま食べる人が増えていることを受けて、ドリンクヨーグルトでも素材が楽しめる商品を投入した。

 森永乳業では、「ビヒダス のむヨーグルト 脂肪ゼロ」シリーズに、栄養を強化した2品をラインアップした。鉄分とカルシウムを配合したプルーン味と、ビタミンCとビタミンEを配合したレモン味。健康ニーズに対応する。

 さらに、よつ葉乳業では、北海道産ミルクたんぱく質を濃縮した「よつ葉のむヨーグルト+ミルクプロテイン」を新発売。たんぱく質を添加した商品が多い中、同社ではナチュラルであることにこだわり、毎日、おいしく手軽にたんぱく質摂取ができる商品を提案していく。

効能をわかりやすく訴求した機能性ヨーグルトが好調

 健康志向を背景に急成長を続けてきた機能性ヨーグルトだが、ここ数年は拡大に一服感があったものの、コロナ禍においては機能性ヨーグルトに対する健康増進の期待感を追い風に再び成長軌道に乗っている。

 機能性ヨーグルトでは、明治の「明治プロビオヨーグルトR-1」が市場をリードしており、「同 LG21」「同 PA-3」などを展開している。「LG21」では、この秋に、胃が気になる朝のシーンに飲むドリンクタイプを発売。メントール香料とレモン果汁を使用し、朝にすっきりとした爽快感が体験できる。

 またこの春に発売し、好調に推移しているのが、森永乳業の「ビヒダス ヨーグルト便通改善」だ。「便通改善」という機能がわかりやすいことでトライアルが獲得でき、効果が実感できるためリピート購入につながっているようだ。

 機能性ヨーグルトで市場に徐々に定着しつつあるのが、肌ケア商品。森永乳業では、肌の保湿力を高め、水分量を増やす機能性を表示した「森永アロエヨーグルトアロエの力」を展開している。この春には明治が、飲むことで紫外線から肌を守ることができる機能性表示食品「明治スキンケアヨーグルト 素肌のミカタ」を発売した。肌ケア商品は数多く存在するため、ヨーグルトで肌ケアの意識はなかなか定着しないが、市場活性化のために欠かせないため、今後の拡大に期待が寄せられている。

日本ルナ:高たんぱく脂肪0で好調の「イーセイ スキル」、ドリンクタイプがいよいよ登場

日本ルナではアイスランド発、高たんぱく・脂肪0の乳製品「イーセイ スキル」から待望のドリンクタイプを発売。また、好調の「ビフィズス菌のむヨーグルト」は、ブランド名「Bifict(ビフィクト)」を冠してリニューアル発売し、ドリンクヨーグルト市場で存在感を示している。

日本独自のフレーバーも展開「イーセイ スキル ドリンク」

 「スキル」はアイスランドで1000年以上前から食べられているヨーグルトとチーズの中間のような乳製品だ。シルクのようになめらかな舌ざわりを持ち、脂肪0で高たんぱくという点から、ヨーグルトに続く新たな健康志向の乳製品として注目されている。

 アイスランドの「スキル」の中でもNo.1ブランドである「イーセイ スキル」は、欧州を中心に1 7カ国で展開。セレブのSNS投稿から人気に火が付き、アメリカではギリシャヨーグルトの人気が下火になる中、「イーセイ スキル」が大きく伸長している。

 日本ルナでは、日本のヨーグルト市場が停滞する中、新たな乳製品として高たんぱく・脂肪0の特長を持つ同品に着目。開発元のMSアイスランドデイリーズ社とライセンス契約を交わし、アジア圏初上陸となる「イーセイ スキル」を2020年3月に発売した。

 日本ルナ「イーセイ スキル」のフレーバーは「プレーン」、「バニラ」、そして20年9月28日に発売された日本オリジナルのフレーバー「ベリーミックス」の3アイテム。メーンターゲットは美や健康に対する意識が高く、トレンドに敏感な20~40代の女性だ。

 コンセプトは「たどり着いたのは、私らしく生きるためのプロテイン」。一般的なヨーグルトに比べたんぱく質が多く含まれており、脂肪0でありながら、シルクのようななめらかでクリーミーな食感が特長で、そのまま食べるだけでなく、ドライフルーツなどをトッピングしたり、料理や菓子作りに使うこともできる。

 そして、20年9月、「イーセイ スキル」に待望のドリンクタイプが加わった。アイテムはほんのり甘い「プレーン」、本場アイスランドでも人気のフレーバー「ストロベリーバナナ」、日本のオリジナルフレーバーとなる「ブルーベリーアップル」の3品。甘みがあり飲みやすく、既存のデザートタイプとは違った味わいが楽しめる。

 「イーセイ スキル」の新フレーバーとドリンクタイプ発売に合わせて、同社では北欧の人気食器メーカー「イッタラ」「アラビア」の食器やQUOカードが当たる「北欧食器が当たる! Isey SKYRと暮らそうキャンペーン」を実施し、好評を得ている。

性年代問わず幅広い層が支持
「Bifictビフィズス菌のむヨーグルト」

 20年3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、乳酸菌を積極的に摂取したいという生活者が増えており、ヨーグルト市場も活気を帯びている。

 日本ルナの「ビフィズス菌のむヨーグルト」は15年の発売以来伸長を継続しており、直近では前年比27%増(20年9月)と、非常に好調に推移している。

 20年10月、同品は改めてブランド名「Bific(t ビフィクト)」を付け、「Bifictビフィズス菌のむヨーグルト」としてリニューアル発売した。プロバイオティクスである、生きて腸まで届くビフィズス菌HN019を使用。カルシウム321mg、鉄2.3mgが入ったプレーンタイプと、4種のベリーとヨーグルトの甘い味わいが特長の「ミックスベリー」の2種をラインアップし、240gのたっぷりサイズで、ながら飲みにも適している。同ブランドの性年代別売上構成比をみると、ドリンクヨーグルト市場全体と比較し男性の比率が高く、お昼休みや夕食で飲用するケースが多いようだ。

 日本ルナでは高たんぱく・脂肪0の「イーセイ スキル」、「Bifictビフィズス菌のむヨーグルト」を中心に、乳製品売場の再活性化に貢献していきたいとしている。

森永乳業:50年の研究成果がつまった「ビヒダス ヨーグルト 便通改善」が大好評

今年の春に発売した森永乳業の「ビヒダス ヨーグルト 便通改善」が好調だ。実際に効果を実感できることからリピート購入につながっている。この秋は「ビヒダス のむヨーグルト」シリーズのリニューアルを図った。

効果が実感できリピート購入者が続々

 1969年に健康な乳児から発見された「ビフィズス菌BB536」。森永乳業では、50年以上にわたってビフィズス菌、腸内フローラの研究に取り組んでおり、数多くの機能性を明らかにし、さまざまな商品に応用してきた。「ビヒダス ヨーグルト」シリーズはすべての商品に「ビフィズス菌BB536」が配合されている。

 この春は「50年の研究品質」をキーメッセージに、便秘気味の方の便通を改善する機能性ヨーグルト「ビヒダス ヨーグルト便通改善」を発売した。

 便秘気味で悩んでいる人は数多くいるといわれており、そのなかでも通常のヨーグルトや食品では効果実感が弱く、便秘薬に頼っている人も少なくない。そこで同社ではこれまでの研究成果をもとに、日々の食生活に取り入れやすいヨーグルトで、便秘気味の人の便通を改善する機能性表示食品のヨーグルトを開発した。

 今年6月にはテレビCMで、「ヨーグルト業界初の便秘気味の方の便通を改善するヨーグルト」として訴求したところ、好調な売れ行きとなっている。また、WEBでの3日間モニターキャンペーンも大きな反響となった。

 「便通改善」というわかりやすいネーミングは、便秘気味に悩む人にダイレクトに伝わりやすいことからトライアルを獲得することに成功。また、効果が実感できることからリピート購入につながり、流通からも高い評価を受けている。好調な実績を受けて、秋以降も配荷がさらに広がり、店頭での露出も高まっている。引き続き、認知を広げてトライアルを獲得していく考えだ。

機能とおいしさを両立「ビヒダス のむヨーグルト」シリーズ

 この秋は、同社独自の素材「ビフィズス菌BB536」を配合した機能性表示食品「ビヒダス のむヨーグルト 脂肪ゼロ」の容量を900gにリニューアルし、新商品2品を発売した。栄養機能食品(カルシウム)の「同 鉄分+カルシウム プルーン味」は、「ビフィズス菌BB536」に加え、鉄分とカルシウムを配合したプルーン味。栄養機能食品(ビタミンE)の「同 ビタミンC+ビタミンE レモン味」は、ビタミンCとビタミンEを配合したレモン味。パッケージもブランドとして統一感のあるものを採用した。機能とおいしさを両立させたドリンクヨーグルトで、日常的に飲用してもらうのがねらいだ。

 50年の研究成果が詰まった「ビヒダス」ブランドとして、これからもコミュニケーションを行っていく予定だ。

 一方、ヨーグルト業界で初の肌の保湿力を高め、肌の潤いを保つ機能性を表示した「森永アロエヨーグルト アロエの力」も堅調に推移。この秋はパッケージをリニューアル。商品の訴求ポイントである「肌の保湿力を高め、肌の潤いを保つ」機能があることを目立つように表示し、店頭で手に取りやすくした。

 この秋は、美容に関心の高い女性をターゲットに、プロモーションを展開。「ヨーグルトで肌ケア」することが日常になるように引き続き、啓発活動を行っていく

よつ葉乳業:乳原料のおいしさに加え新たな価値をプラスした新商品を投入

北海道産乳原料にこだわり、自然な味を生かしておいしさを追求した、よつ葉乳業のドリンクヨーグルト。この秋は新たな価値を付加した新商品を投入し、家庭用の売上比率を高めていく考えだ。

味わい、容器、容量で差別化「よつ葉のむヨーグルト」

 北海道産にこだわっているよつ葉の製品は、業務用として多くの食品メーカーや飲食店で選ばれている。近年は貿易自由化が急速に進み、海外製品とのさらなる競合が予測されることから、同社では北海道産乳原料にこだわった商品の開発に力を入れている。2018年秋には、乳原料は100%北海道産の「よつ葉のむヨーグルト」を発売。北海道産乳原料のおいしさに自信があるからこそ、シンプルなレシピで仕上げた。また、スリムで持ちやすいハンディ紙ボトルを採用。キャップ付きのため、再封することも可能だ。味わい、容器、容量で差別化を図ることで、徐々に配荷率も高まっている。

 フレーバーは、ミルクの濃厚な味わいが特長の〈プレーン〉と、いちご・ブルーベリー・ラズベリーの3種のベリーをミックスした〈ベリーミックス〉のほか、期間限定フレーバーを展開。10月からは、香料を使用せず、果実の自然なおいしさを生かした〈国産みかん&ゆず〉を発売した。季節感のあるフルーツであることと、ヨーグルトと相性のよいフルーツであることなどが期間限定フレーバーの条件となっている。

毎日無理なく、おいしく摂取ミルクたんぱく質を強化

 近年、美容や健康意識の高い女性を中心に注目が集まっているたんぱく質関連商品。新たな需要を創出し、今後も伸長し続けることが予想されている。同社が行った調査によると、たんぱく質摂取を目的とする食品として多くの人がチーズ、ヨーグルト、牛乳・乳飲料といった乳製品を選んでいることがわかった。しかもたんぱく質を強化していない一般的な牛乳やヨーグルトが選ばれているようだ。また、たんぱく質摂取として注目されるプロテインドリンクは「もっとおいしく摂取したい」などのニーズがあるようだ。

 そこで同社では「毎日無理なく、おいしく、手軽に摂取できる」商品を投入することで、潜在ニーズを取り込み、さらなる市場拡大に貢献することが可能だと考え、10月1日に「よつ葉のむヨーグルト+ミルクプロテイン」を新発売した。たんぱく質を添加した商品が多いなか、同社では自然なおいしさにこだわり、北海道産乳原料にもともと含まれているミルクたんぱく質を濃縮することで高め、甘さひかえめ(たんぱく質15g/本)と砂糖不使用(たんぱく質16g/本)の2タイプを発売した。必須アミノ酸を豊富に含むミルクたんぱく質を効率的に摂取できるのも魅力的。容器は既存品同様にリキャップできるハンディ紙ボトルを採用した。

 認知拡大を図るために、10月1日から1都6県と北海道でテレビCMを投下。また東京の私鉄と大阪の地下鉄で交通広告を約4週間展開した。さらに10月1日から11月30日まで同社公式インスタグラムをフォローして応募するキャンペーンも実施。北海道の酪農家の会社であるよつ葉乳業のモノづくりの姿勢やブランドの価値をさまざまな媒体を使って伝え、ファンを広げていく。

 同社では新商品などの投入により、家庭用の売上比率を25%から22年度には35%にまで引き上げていくのが目標だ。