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ランチ予算は過去4年で最高! コロナ収束で掴みたい ビジネスパーソンの昼食ニーズ

 リクルートの飲食に関する調査・研究機関である「ホットペッパーグルメ外食総研」では、23年3月に平日のランチ実態について消費者アンケートを実施し、うち、有職者のランチについて集計を行った。内食・中食・外食にまたがる最新のランチ動向を解説する。

コロナ禍の収束で人々のランチ実態に変化が生じている

「自炊、または家族等が
作った食事」は高水準維持

 有職者のランチ実態についてのアンケート集計では(図1)、食べ方の最多は「自炊、または家族等が作った食事」で31.4%。前年から微減しているが、コロナの影響が本格化する20年3月比では高い数値をキープしている。

 次いで2位が「小売店や飲食店で購入した食事」で20.8%、3位が「自分、または家族等が作った弁当」で19.3%、4位が「社食、学食」で8.2%、5位が「外食店内での食事」で7.9%と、前年と順位は変わっていない。しかし、2位~5位の食べ方はすべて前年比でプラスとなっている。

 「小売店や飲食店で購入した食事」(中食)は、20年比で同水準となっている。性年代別では、「自分、または家族等が作った弁当」は男性よりも女性において高い。60代男性では、「外食店内での食事」が他の性年代より顕著に高かった。

「小売店で購入・その場で
イートイン」は20代男性で顕著

 次に、1年前と比べて、増えている食べ方を聞いた(以下数値はすべて「増えた」と「やや増えた」の回答者の合計値)。
すると、「自炊、または家族等が作った食事・弁当」(21.0%)が4年連続で最多であったが、内食(自炊)と中食では、すべての食べ方で前年比ではマイナスとなっている。

 逆に外食の3つの食べ方では、「外食店内での食事」(12.4%)を筆頭に、「社食・学食」「小売店でその場でイートイン」も前年比はプラスとなっている。

 性年代別では、20代男女、30代女性で「自炊、または家族等が作った食事・弁当」の割合が高かった。

 また、20代男性では「社食・学食で食べる」(11.2%)、「小売店で購入したものをその場でイートイン」(10.0%)が、20代女性では「外食店内での食事」(19.1%)がほかの性年代より顕著に高い傾向だ。

すべての形態で予算増
最高は出前・デリバリー

 続いて、平日のランチの形態別の予算を尋ねた(図2)。

 その結果、全体平均は447円で、これまで最も高かった20年の調査を上回り、過去4年で最高額となった。最も高かったのは「出前、デリバリーしたもの」で平均1332円(前年1274円)、続く「外食店内での食事」も平均1190円(前年1104円)と平均1000円以上で、ともに3年連続で増額した。

 ほかの食べ方に関しても「小売店や飲食店で購入したもの」の平均574円(前年554円)、「持ち帰り専門店や宅配専門店からテイクアウトしたもの」の平均815円(前年785円)、最も安い「自炊、または家族等が作った食事・弁当」の平均393円(前年368円)まで、すべての食べ方で前年比では増額している。これには物価上昇や食材費の高騰による値上げも影響していそうだ。

 性年代別では、60代女性で「出前、デリバリーしたもの」がとくに高く、平均2027円。20代女性では「外食店内の食事」が平均1377円と高かった。

図の計算方法や項目の詳細はこちら

ランチの食べ方に影響大
ワーク環境の変化

 働き方の変化に伴い、1年前と比べてランチの食べ方に変化があったかについても聞いた。コロナ禍に関連して「テレワーク増加」の影響を聞くのは3回目となる。

 集計結果を見ると、「テレワークの増加」により「1人でランチを食べることが増えた」「自宅でランチを食べることが増えた」「仕事をしながらランチを食べることが増えた」の3項目は前年比でややスコアが減少した。

 一方、今回は「テレワークが日常化したため」を新設しており、その回答スコアとの合計で見ると3項目とも前年比で増加している。テレワークの増加や定着が、有職者のランチ形態に一定の影響を与えていることがわかる。

 また、「コロナ禍前までの働き方に戻りつつあるため」と合わせてみても、コロナ関連影響の大きさが改めて明らかになっている。

 一方で、コロナとは直接は関連しない「仕事の時短や効率化を求められたため」「働き方の異なる人が職場や取引先に増えたため」「人手不足で仕事量が増えたため」などは、全体的に前年比でスコアは減少の傾向で、コロナ禍前に盛んに言われたいわゆる「働き方改革」の影響は相対的に弱まっていると言えそうだ。


【調査概要】
インターネット調査
調査期間:2023年3月1日~8日(水)、有効回答数:5494人(首都圏3253件、東海圏807件、関西圏1434件、各ウエィトバック後件数)、全国47都道府県に住む20〜69歳の男女、マクロミルモニター)

【執筆者】
『ホットペッパーグルメ外食総研』上席研究員 稲垣昌宏

エイビーロード編集長、AB-ROAD.net編集長、エイビーロード・リサーチ・センター・センター長などを歴任し、2013年ホットペッパーグルメリサーチセンター・センター長に就任。市場調査などをベースに消費者動向から外食市場の動向を分析・予測する一方、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や地方創生に関わる活動も行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」