近年、ドラッグストア(DgS)が食品を強化するという、いわゆる「フード&ドラッグ」の取り組みが活発化している。その代表的な企業の1つがクスリのアオキホールディングス(石川県/青木宏憲社長:以下、クスリのアオキ)だ。本稿では、食品スーパー(SM)から転換したフード&ドラッグ店舗の「クスリのアオキ水沢店」(岩手県奥州市:以下、水沢店)を調査し、食品をフルラインで取り扱う強みを紐解いていく。
調査日:2022年9月20日、文中の価格は調査日のもの
価格訴求型のSMを転換
クスリのアオキは2022年3月、岩手県・宮城県でSMや衣料品店を展開していたホーマス・キリンヤと同社の商品の仕入れ業務を行っていたフードパワーセンター・バリューを吸収合併した。今回調査した水沢店は、ホーマス・キリンヤのSMから転換した店舗の1号店である。同店には、都心から東北新幹線に約3時間半揺られ、「水沢江刺」駅で下車し、そこからクルマを20分ほど走らせると到着する。
クスリのアオキは近年、ローカルSMを傘下に加えることで、生鮮を含む食品全般を取り扱うフード&ドラッグ店舗の開発を進めている。DgS企業の中で、クスリのアオキほど生鮮食品や総菜を含めたSMとの融合に真剣にチャレンジしている企業はない。さまざまな地域で、ローカルSMとの連携を進め、常に進化していることが窺える。
以前、私は本誌2022年3月1日号のクスリのアオキ特集でフード&ドラッグ店舗の「クスリのアオキ土浦おおつ野店」(茨城県土浦市)を調査した。同店は、クスリのアオキが子会社化したSM企業ナルックス(石川県/野口剛社長)が21年6月、茨城県土浦市のローカルSM・スーパーマルモのSM事業を承継したことで同社の「おおつ野店」を転換した店舗だ。この店舗では、買収されたSMとクスリのアオキの商品力・マネジメント力がうまくミックスされ、500坪程度の規模で“小さな総合スーパー”のごとく食品とドラッグがマッチングし、地域のワンストップショッピングのニーズに応えていたのが印象的だった。
品揃えやマネジメントには課題も?
しかし今回水沢店を訪れた際、
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