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鍋つゆ市場、節約意識の高まりや調理機会の増加などで22年シーズンも需要拡大予想

2020年はコロナ禍による家庭内調理機会の増加により、おいしく簡単につくれる鍋つゆ市場は大きく伸長し、21年も堅調をキープ。物価上昇により、節約意識の高まりで22年秋冬シーズンも鍋つゆの需要が拡大することが予想されている。

手軽でおいしい
しゃぶしゃぶ専用鍋つゆが好調

 KSP-POSデータの鍋物つゆの期間通算(2021年8月~22年7月)の金額PIは、4585円で対前年同期比1.5%増。20年はコロナ禍の巣ごもり需要により大きく伸長し、その裏年にあたる21年も堅調に推移している。月別金額PIでは、例年なら需要が落ちる8月は同44.2%増、9月は同17%増と大きく伸ばした。簡単につくれて、野菜やお肉をバランスよく摂取できる鍋ものは年間を通して需要が高まっている。また、21年は野菜高騰の影響で10月~翌1月は前年割れとなった。

物価上昇により、節約意識の高まりで22年秋冬シーズンも鍋つゆの需要が拡大することが予想されている。(i-stock/Promo_Link)

 鍋つゆのタイプ別では、大きなシェアを占めるストレートタイプが市場を牽引。ストレートタイプは希釈する手間がなく、味種のラインアップが豊富なので人気が高い。近年は、お肉をしっかり食べたいというニーズがあることから、ヤマサ醤油では1肉1野菜で肉のうま味を最大限に引き出した「うま肉鍋つゆ」シリーズをパワーアップ。味種・食べ方がわかりやすいパッケージに変更し、濃厚な味わいの〈にごり鰹だし〉をラインアップした。ダイショーでは、最需要期に向けて松重豊さんを起用して売れ筋3品のテレビCMを投下。シンプルにおいしさを伝える内容となっている。

 味種の鍋つゆでここ数年、売上を伸ばしているのがしゃぶしゃぶ専用鍋つゆだ。つけだれを必要とせず、だしでお肉と野菜を楽しむ鍋つゆだ。千切りキャベツやレタス、もやしなどを使用すれば、他の鍋のように煮込む必要がないため、時間がかからず、忙しい平日の夕食にも活用されている。エバラ食品やヤマサ醤油、Mizkanなどが商品を投入しているほか、ヤマキでは「豚しゃぶ野菜鍋つゆ」のラインアップを強化。辛さとにんにくの風味がクセになる〈辛味噌にんにく〉と生姜のさわやかな風味が楽しめる〈生姜白湯〉をラインアップした。

小分け濃縮タイプはラインアップが充実

 単身世帯の増加や小分けされた食品への需要の高まりを受け、小分け濃縮タイプが好調に推移している。家族でもひとりでも好きな量だけつくれ、保存にも便利な小分け濃縮タイプは、鍋物はもちろん汎用調味料としても人気だ。

 エバラ食品では「プチッと鍋」に〈地鶏だしゆず塩鍋〉をラインアップした。味の素の「鍋キューブ」では、節約意識の高まりに合わせて「鍋キューブ」の経済性を訴求したテレビCMやYouTube広告のほか、店頭販促物で提案する。キッコーマン食品では、ごはんに合うおかず鍋「キッコーマン具鍋」シリーズをリニューアルし、コク深い鶏だしの〈ねぎ塩鍋〉をラインアップした。マルサンアイでは保存に便利で使いやすいキャップ付きスタンディングパウチの鍋つゆ2品を発売。レトルトより殺菌時の熱ダメージが少ないため風味がよいのが特長だ。また、ヤマサ醤油では鍋の最初からうどんを一緒に煮込む鍋つゆ「饂飩(うどん)鍋気分」を新発売した。小分け濃縮タイプは今シーズンもラインアップが充実している。

 行動制限が緩和され、外食の機会が増えているとはいえ、引き続き家庭内調理機会が継続していることから、22年秋冬シーズンも鍋つゆ市場は盛り上がりそうだ。