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食用油市場、健康感やおいしさが浸透し、21年も堅調な推移が続く

食用油に対する関心の高まりや内食機会の増加によって、過去最大の市場規模を更新した2020年度の反動で21年は前年割れとなったが、19年比では堅調に推移した。オリーブオイル、ごま油、こめ油などが堅調で、キャノーラ油は価格改定により金額ベースで前年を上回った。

価格改定により、キャノーラ油が金額ベースで伸長

 2021年4月~12月までの食用油市場は、金額ベースで対前年同期比2.3%減、物量ベースで同7.9%減となった。家庭用食用油市場は、健康感やおいしさがポジティブに受け止められたことや、オイルをそのままかけて楽しむ食習慣が定着したことで市場は急成長を続けてきた。21年は、内食機会が大幅に増え過去最大規模となった20年の裏年にあたるため、前年割れとなったが、19年と比較すると金額ベースで同7.2%増、物量ベースで同2.3%増と堅調に推移している。

オリーブオイル、ごま油、こめ油などが堅調で、キャノーラ油は価格改定により金額ベースで前年を上回った。(i-stock/masa44)

 カテゴリー別にみると、昨年原料の高騰を受け4回価格改定を行ったキャノーラ油は金額ベースで同1.5%増、物量ベースでは同12.7%減。市場規模はオリーブオイルを抜いて最大のカテゴリーとなった。

 近年、市場を牽引してきたオリーブオイルは金額ベースで同6.1%減、物量ベースで同5%減。フルーティーな香りと風味が特長のオリーブオイルは、健康性やおいしさ、汎用性の高さから支持され拡大を続けているが、購入世帯率はあまり増加していないと推測されており、新たなユーザーの獲得が求められている。

 ごま油は金額ベースで同1.5%減となったが、物量ベースでは同2.1%増と堅調。

 内食化でごま油使用のメニューの増加で需要増につながっており、キャノーラやオリーブオイルに迫る市場規模にまで成長している。

 こめ油もここ数年、大きく成長しているカテゴリーのひとつで、金額ベースで同24.3%増、物量ベースで同34.2%増となった。19年と比較すると金額ベースで同65%増と大きく伸長した。原料のナチュラル感に加え、揚げ物がカラッと揚がるなどの特長が支持されている。とくにキャノーラ油の価格上昇により、こめ油との価格差が縮まったことで買いやすくなり、キャノーラからこめ油にシフトするケースが増えている。

中鎖脂肪酸油が大きく伸長、ブレイクの予感

 体によい成分を含み、サプリメントのように毎日摂取するプレミアムオイルは、金額ベースで対前年同期比19.1%減、物量ベースで同17.2%減。金額ベースの主な内訳は、しそ・えごま油が同24.7%減、アマニ油は同20.1%減、MCTオイルが同8.6%増。MCTオイルは美容や運動、健康維持に役立つことが期待されており、MCTオイルを使用した加工食品が続々登場している。日清オイリオグループでは、「日清MCTオイル」を使った機能性表示食品の「日清MCTドレッシングソース」を発売した。ドレッシングで毎日手軽に取り入れられることからトライアルに最適だ。また、料理の味つけや仕上げにかけたりつけたりする調味料感覚で使える風味油も好調で、各社から商品が発売されている。

 大豆や菜種、パーム油などの原料の高騰は続いており、昨年に引き続き、今年も価格改定が発表されている。価格訴求に頼ることなく、健康価値やおいしさで食用油市場を活性化していく必要がありそうだ。

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