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顧客起点のバリューチェーン推進に向けたデータ分析とは


ヤフー株式会社
データソリューション事業本部
クライアントソリューション部
フィールドセールス リーダー
新庄 匠 氏

 

検索行動データからペルソナを導き出しプロモーションに活用

 データ利活用における日本の課題は①データ関連技術の不足、②データの不足、③人材の不足がある。①と②について、ヤフー保有の検索・購買行動などさまざまなビッグデータを活用し、課題解決を支援するサービス「ヤフー・データソリューション」を紹介する。

 はじめに市場分析フェーズで行う「DS.ANALYSIS」について大豆ミートを例に説明する。Yahoo! JAPAN内で検索されたキーワード、「大豆ミート」と「SDGs」の検索データを2015年から比較すると、2019年~2020年にかけては「SDGs」以上に「大豆ミート」の検索数が伸びている。一定回数以上の当該ワード検索者を「関心層分析」で抽出し、クラスタリング手法でユーザー分類すると、例えば「子育て奮闘中ママ層」というユーザー像が浮かび上がる。

セグメントぺルソナ(子育て奮闘中ママ層)の事例

 この層は「子育て真っただ中で、簡易レシピを求めている。健康面で大豆ミートに興味を持っているが、置き換えまでには至っていない。」など、ユーザーのモチベーションが浮かび上がる。その他全体の中の構成割合や、検索行動も分かる。このように「DS.ANALYSIS」のソリューションを元に、大豆ミート商品を世の中に打ち出す際のターゲット設定やプロモーションに活かすことができる。

ヒット商品を検索データから予測する「商品トレンドマップ」

 今後、流行りそうな商品を見つけたい時に活用できる「商品トレンドマップ」について紹介する。これは食品やコスメなど商品カテゴリ別に、話題になり始めている商品、検索数が増え始めている商品を検索データから機械的に抽出、可視化できる。実際の2020年9月から2021年8月の食品カテゴリ、パン・シリアルのデータから解説する。

パン・シリアルにおける商品トレンドマップの事例

 横軸が検索ユーザー数で左側にいくほど検索人数が少ない。縦軸は検索の伸び率をトレンドスコアという形で定量化し、キーワード毎にデータを付与している。右上には当時ブレイクしていた「マリトッツォ」などのキーワードが表れ、左下にはこれから先のブレイク候補が見られる。トレンドマップ上でマリトッツォは2020年11月頃、マップ左下から登場し、徐々に右上にプロットされ、直近のピークアウトも可視化できる。マリトッツォに限って述べると、「商品トレンドマップ」の分析によって、ブレイクの兆しを一昨年前の年末につかむことが可能であったことが分かる。

時系列の検索行動によって浮かび上がる顧客インサイト

 マーケティング戦略において役立つデスクリサーチツール「DS.INSIGHT」を紹介する。例えば「炭酸水」と入力すると、入力したキーワードに加え、スペース区切りで検索された他のキーワードもマップ上に表れる。さらにそれらを検索しているユーザー数、男女比や年代別割合、地域割合などユーザー属性もわかる。炭酸水の作り方は男性の検索が多いことや、腎臓への影響など、デメリットやリスクについて気にしていることも明らかになる。過去4年分のデータ検索が可能であり、商品プロモーション時の検索状況や競合製品との比較も可能だ。

 その他時系列キーワード機能もある。「炭酸水」とキーワード入力した場合、その検索前後にどのようなキーワード検索をしたのか可視化できる。例えば炭酸水を検索する3日前に「禁酒」を検索していたため、禁酒中の飲み物として炭酸水について調べていたことが想定される。つまり検索行動のきっかけなど、ユーザーのジャーニーが可視化できる。結果をもとに炭酸水をそのまま売るのではなく、禁酒に炭酸水が効果的かもしれないということをオウンドメディアに流すことで、ユーザーにフィットし、サイトの評価にもつながる可能性がある。

 「DS.INSIGHT」の活用事例を紹介する。ある化粧品メーカーが自社商品を入力した際、商品検索前に毛穴関連の検索がよくでていたことが分かった。毛穴ではなく角栓関係のクリエイティブしか用意していなかったため、急きょ、毛穴関係のクリエイティブを作成しABテストを行った。検証すると毛穴訴求のクリエイティブの効果がより大きいことがわかり、結果的に売上に貢献した。

検索キーワードからのクリエイティブ改善の活用事例

 このように、外部データをビジネスに活用できる環境は身近に整っており、ユーザーの価値観が変化している時代に顧客理解を基点にアクションしていくことは非常に重要である。自社データだけではなくヤフーのような外部データを活用することで、顧客理解をより深めることができると考えている。