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ウォルマート、オムニチャネル化促進の実験店、店頭とECの在庫を一体化

ウォルマートの従業員
EC商品の店頭でのピッキング作業を迅速化するための新技術などをテストする

 米ウォルマートは、店舗とEC(インターネット通販)を融合させるオムニチャネル化を促進するための実験店の運営を始めた。10月29日時点で2店舗で実験を始めており、近日中にさらに2店舗で実験を始める。

 実験店の1号店では、衣料品売り場を縮小した。店頭に在庫していない衣料品は、ECサイトで注文してもらい、店舗で引き渡すか、顧客の自宅まで配送する。衣料品は色・柄やサイズの違いによって多数の在庫を持つ必要があり、多くの売り場スペースが必要になる。売れ行きが悪い場合は、値下げ処分が必要になるなど、在庫管理が難しい。こうした商品については、ECに在庫を集約していく方針だ。

 店舗とECの在庫を一体的に管理して、在庫配置の最適化を図る戦略をウォルマートでは、「オムニアソートメント」と呼んでいる。同社は今年初めに、店頭商品とEC商品の仕入部門を統合しており、今後はオムニアソートメント戦略を一層強化していくものと見られる。

 実験店では、バックルームから売り場への品出し作業を効率化するためのアプリケーションも活用している。アプリをダウンロードした携帯端末をバックルームの在庫に向けると、拡張現実(AR)技術によって品出しすべき商品を強調表示する。ウォルマートのECでは、食品・日用品などの注文は店頭在庫からピッキングして配送または店舗で引き渡しているが、店頭の陳列棚に商品がない場合は欠品扱いとなる。バックルームからの品出しをスピーディーに行えば、店頭欠品による販売機会の損失を削減できる。

 また、EC商品の店頭ピッキング作業を迅速化するための技術も実験店でテストしている。売り場に設置した電子看板と携帯端末を連動させ、ピッキングする商品が陳列されている場所まで従業員を誘導する。この技術により、いくつかのカテゴリーでは、従業員が商品を見つける時間を20%短縮することができたという。

 実験店ではこのほか、セルフレジを設置し、ウォルマートアプリを使ったモバイル決済「ウォルマート・ペイ」により非接触での支払いができるようにしている。