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ケルンメッセ 食品国際見本市を同時開催

2024410日から12日の3日間、東京ビックサイトにおいて、「ISM Japan 2024 /国際菓⼦専⾨⾒本市」と「Anuga Select Japan 2024」が開催された。今回で2回目となる「ISM JAPAN 2024」では付加価値の高い良質な輸入菓子の買い付けの場として、また海外進出を目指す日本の菓子メーカー、輸出業者の交流の場として盛況であった。初開催となる「Anuga Select Japan 2024」では、世界から選りすぐりの食品や飲料が展示され、海外市場への展開を目指す国内企業が海外のバイヤーとの商談を行うための重要なビジネス交流の場となっていた。ケルンメッセの代表取締役社長 高木 誠氏とプロジェクトマネージャーのオリアン ブレント氏に会場でインタビューを行い、2つのイベントの概要や今後のケルンメッセの展望について語ってもらった。

ケルンメッセ株式会社 代表取締役社長 高木 誠氏(右) とプロジェクトマネージャーのオリアン ブレント氏(左)

2回目の開催となったISM Japan2024では高価値商品を多く展示

 2023 年は1回目の開催でISMを紹介するという位置づけで、ファベックス中のスイーツゾーンの横で国際菓子ゾーンとして開催された。今年はドイツ・ケルンで実施しているISMの特徴であるピンクのデザインを基調として、ISMのブランドデザインを強く訴求した。展示会場としても統一感があるので、出展者の商品ブランド訴求がより強化されていた。今年は約70社が出展となった。展示の魅力としては非常に面白い商品が揃っており、例えばオランダパビリオンではお酒が入っているグミ、ポーランドの高級チョコレート、ドイツのジンジャーブレッドクッキーなど来場者にも好評であった。

 ISMについてはケルンやドバイでも長年開催しており、多くの出展者がいるため、その中でケルンメッセとしても日本を含む東アジア(韓国、台湾、中国等)のマーケットにおいて興味を持たれそうな商品を選定し、東アジアへの市場拡大を積極的に検討している出展者が参加した。特に開催地である日本に向けては小売業のバイヤーとの商談を見据えての商品出展が多く見られ、各ブースの商品は、高付加価値商品を求める日本の消費者のニーズに応えたものが多くなっていた。

ISM Japan2024の展示ブース

 菓子においては、まだ日本に入ってきていない商品が多く、ケルンメッセとしても世界中のよい商品を日本で多く紹介したいと考えている。菓子といえば甘くて太るのではないかというイメージもあるが、ヨーロッパにおいては健康によい菓子が当たり前になってきているので、日本においても健康志向の商品を積極的に紹介していく考えだ。菓子に特化したイベントは日本ではあまりないので、ISMという国際菓子専門見本市のブランドを活用し、出展ブースはもちろん会場内セミナーで最新トレンドの情報発信に力を入れ、多くの小売業や卸関係者の来場促進につなげたい。

初開催の「ANUGA SELECT JAPAN」は食品の未来を考えるイベント

 アヌーガは現在のドイツ食品小売協会(BVLH)に相当する機関が1919年に立上げ、今年で105年を迎える。当時は約300社の規模で始まったイベントで、場所はドイツ国内各地で行われていた。戦後の1951年に再開するにあたり、過去好評であったケルンが開催地に選ばれた。それ以降70年以上ケルンでアヌーガは開催されており、ケルンメッセにも多くのサプライヤーやバイヤーの情報がデータベースとして蓄積されている。その情報をもとに世界で伸長する市場において、新たな展示会を開催してきた。インドでは「ワールドオブインディア」、中国では「ワールドオブチャイナ」、タイでは「ワールドオブアジア」から始まって「タイフェックス」など各展示会でのブランドが複数展開されてきた。その中でブランドを統一して分かりやすくするために、アヌーガのブランドを活用して「ANUGA SELECT」として各国で統一して開催されるようになった。

 アヌーガの出展者の中にも日本を含む東アジアに進出していきたいという企業が増えている。ケルンメッセとしても調査をして、東アジア地域において消費者にとって高品質な商品が受け入れられると分かったことから、これまでの経験やノウハウを活用し、出展者とバイヤーの東アジアでの出会いの場を創出するために、「ANUGA SELECT JAPAN」を今年から立ち上げた。

ANUGA SELECT JAPAN」については、初年度は約40社が展示企業として参加している。食品の未来を考えるイベントに位置づけ、出展者も食品における課題を解決するような商品を展示している。例えば韓国の出展者では、ビーガンのコラーゲンゼリーを紹介しており、今後の食品の新たな選択肢になると来場者から多くの反響が寄せられている。

ANUGA SELECT JAPANの展示ブース

 来場者もバイヤーやインポーターの割合が、他のイベントと比較して高く、出展者からも狙った層と商談や交流ができていると好評だ。参加者の国籍も日本人が半数で、残りの半数は海外と出展者が東アジアに展開することを目的にしているため、非常にバランスのいい割合になっている。事前登録においてもアジアからの登録が多かったため、ケルンメッセとしても狙った層の参加を実現できている。来年も引き続き、食品の新たな価値を届けられるような出展者に参加してもらい、会場では食品の未来を創造していく交流の場になるように、イベントを強化していく方針だ。

ケルンメッセはオンラインも活用し各地域でのイベントを充実させる

 ケルンメッセは今年で100周年を迎える。新型コロナウィルスの影響を経てイベントへの参加者の意識も変わり、リアルな場だけでなく、オンラインでの情報交換も多くなった。リアルのイベントにおいては、一局集中で大きく開催して世界中から人を集めるだけでなく、各地域における出展においてもハブとして、世界市場のトレンドを反映しながら、ローカルのニーズにも応えていくという流れに変わってきている。ケルンメッセもヨーロッパでは「ANUGA」を開催しているが、東南アジアでは「THAIFEX」中国では「ANUGA SELECT CHINA」南米では「ANUGA SELECT BRAZIL」今回実施している日本を含む東アジアでは「ANUGA SELECT JAPAN」など、展示会のリージョナル化、各地域におけるハブ化に対応している。

 デジタルの活用も強化しており、各イベントにおいてもオンラインサイトやアプリを導入している。展示会の会期中もそうだが、その前後にも参加者が情報を取得できる仕組みを構築しており、事前に商品の詳細を調べたり、会場の地図を把握したりするなどデジタルプラットフォームの強化によって、より魅力的なイベントを展開していく。

 各地域でのイベント実施のシステムが整ってきたので、今後は各地域に横串をさすことによって、出展者もバイヤーも年間を通じてどの展示会でもオンラインを活用しながら交流し、近くの場所での開催の際は実際に会場で商談するなどの仕組みを構築。オンラインとオフラインを融合することによって、より付加価値の高いイベントをケルンメッセとして実施していく考えだ。