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ニューヨークに和食レストランの1号店を出店 「業務スーパー」のFC展開も計画

神戸物産(兵庫県/沼田博和社長)は10月8日(現地時間)、米国ニューヨーク市の中心部、マンハッタンに和食レストラン「しゃぶしゃぶ神戸 Midtown店(ShabuShabu Kobe Midtown)」をオープンした。同社はこれを足がかりとし、米国をはじめとする海外事業を本格展開する計画だ。

しゃぶしゃぶを中心に、日本の居酒屋定番メニューも取り入れながら、バラエティ豊かな料理を提供する。

「本物の和食」をアピール

店舗面積567㎡、180席を備えており、現地では最大規模のレストランと言っていい。メーンのしゃぶしゃぶに加え、お好み焼きやとんかつ、から揚げ、刺身といった日本の居酒屋定番メニューも取り入れながら、バラエティ豊かな料理を提供する。コース料理の「特選 牛ロースセット」は29ドルで、周辺の平均的な和食レストランに比べて半額と、リーズナブルな価格に抑えている。

 和食は、健康的な食事というイメージが浸透しており、米国でも人気がある。2013年12月にユネスコの無形文化遺産に登録されたこともあり、認知度はさらに高まっている。これらを追い風とし、「カロリーは抑えながらビタミンを効率よく摂取できる和食のよさをアピールしていきたい」(広報)。

 神戸物産の沼田昭二CEO(最高経営責任者)は「海外に多くの和食レストランがあるが、日本人の経営者は決して多数派ではなく、実際に提供されている和食には疑問を感じることが少なくない。今回、日本企業の当社が手がけることにより、多くの方に『本物の和食』を知ってもらいたい」と意気込みを見せる。

 しゃぶしゃぶ用の牛肉は現地調達している。日本では霜降りなどサシ入りの肉が一般的だが、米国人が好む、赤身を中心とした肉を採用した。肉のスライスには、日本製の「チルドスライサー」を持ち込んだ。肉本来のうまみが出る、適度な厚みを持った肉に加工できるメリットがある。

 当初、9月17日のオープンを予定していたが、現地の許認可上の手続きにより、10月にずれ込んだ。そのため大々的な告知なしに営業をスタートさせたが、予想以上の利用客があった。その後も、店の場所やサービスの内容などについての問い合わせが増えているという。

 沼田社長は「しゃぶしゃぶを注文された複数のお客さまからは、いずれもお肉の追加オーダーがあったと聞いている。さらに和食のすばらしさをアピールすることで、店を成功させたい」と話している。

「業務スーパー」もFC展開

ニューヨーク1号店を足がかりとして、周辺エリアで「しゃぶしゃぶ神戸」、さらに「業務スーパー」の多店舗化も進める。

 「しゃぶしゃぶ神戸」は15年2月、ニューヨーク市ブルックリンに「しゃぶしゃぶ神戸Williamsburg店」(店舗面積845㎡、350席)、同4月、同市マンハッタンに「しゃぶしゃぶ神戸 Wall Street店」(同817㎡、300席)のオープンを予定している。

 「米国で腰をすえて事業展開をしていくという意味で、今年8月末、物件を購入して『神戸物産USAフランチャイズ本部』(地上4階地下1階、ビル総面積569㎡)を設立した。今後は、物流センターなど店舗をサポートする関連施設も充実させながら、日本と同じSPA(製造小売業)としての取り組みを強めていく」と沼田社長は米国での事業展望を明かす。

神戸物産USAフランチャイズ本部』を設立

 関連施設としては14年2月、ニューヨーク市ブルックリンに自社物件「KBグローバル物流センター」(土地面積1860㎡、建物面積465㎡)の取得を計画。また15年中にはニュージャージー州に食品加工工場を建設する予定だ。

 15年4月には「業務スーパー WallStreet店」(店舗面積1674㎡)を出店予定。同店にはセルフ式の総菜コーナーや日本の食品を販売する「日本食品館」を併設する。

 「しゃぶしゃぶ神戸」「業務スーパー」は当面、直営での出店となるが、ノウハウが構築できれば現地で加盟店を募りFC展開することを計画している。「詳細は決まっていないが、米国でも『業務スーパー』向けの商品を生産する可能性はある。将来的にはヨーロッパなど、他の地域での事業展開も視野に入れている」(沼田社長)。