コロナ禍での大きな落ち込みから着実に立ち直りつつある百貨店。経済正常化による客数回復、円安を背景にしたインバウンド消費の拡大、富裕層向けの高額商材の販売好調が各社の業績を後押しした。
この結果、上場百貨店の2024年度決算は上位10社中7社が増収・営業増益を果たし、中には過去最高の売上・利益を記録した企業もあった。
日本百貨店協会(東京都)の発表によると、2 4 年の全国百貨店売上高は対前年比6.8%増の5兆7722億円で、4年連続で前年を上回った。対19年比でも3.6%増と、コロナ前の実績を上回る結果となった。
商品カテゴリー別の売上高では、化粧品や宝飾品を含む「身のまわり品」が同14.5%増、家具や家電を含む「雑貨」が同12.8%増と2ケタの伸びを示した。「衣料品」も同6.2%増と好調だった。
上場百貨店の24年度決算では、上位10社中7社が増収・営業増益を達成した。ただ、都市部の百貨店が回復基調にある一方で、地方の百貨店の業績は依然として低迷が続いている。
また、大手百貨店は円安を背景としたインバウンド需要の恩恵を受けているものの、足元では外国人観光客の消費に陰りが見られ始めており、今期の業績予想では減益を見込む企業が現れている。
営業収益トップのH2O百貨店事業が大幅増益
売上トップのエイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府:以下、H2O)の25年3月期の連結業績は、営業収益が対前期比3.7%増の6817億円、営業利益が同33.0%増の348億円といずれも過去最高を記録した。主力の「百貨店事業」の総額売上高は同10.0%増の6349億円、営業利益が同43.8%増の282億円と売上・利益ともに2ケタ増となった。
高級ブランド品や宝飾品、時計といった高額商材の売れ行きが好調だったほか、インバウンド消費の取り込みに成功したためだ。インバウンド売上高は同62.0%増の1298億円と大幅に伸長。中でも中国からの訪日客の売上は、同約9割増と増収に大きく寄与した。
店舗別では、
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