[東京 12日 ロイター] – 高島屋は12日、今期は新型コロナウイルスのワクチン接種が進むことで消費が回復し、100億円の最終黒字に転換する見通しだと発表した。しかし、コロナ前の需要が戻るには約3年かかるとみており、コスト削減も進める。
高島屋がこの日に発表した2022年2月期(今期)の連結純損益予想は100億円の黒字。339億円の赤字となった前期の反動を見込む。IBESのコンセンサス予想によると、アナリスト4人の今期純損益予想の平均値は56億7600万円。
今期の営業損益は130億円の黒字(前期は134億円の赤字)、売上高に相当する営業収益は前期比19.3%増の8120億円を計画している。
回復の要因として見込んでいるのが、コロナのワクチン接種。2月に医療従事者から先行して始まった接種は、この日に対象が高齢者に広がった。
しかし、同社は本格的な需要回復には慎重な姿勢を崩さず、村田善郎社長は電話会見で、コロナ前の水準に戻るのは「おそらく(20)23年くらい」との見方を示した。インバウンド(訪日客)需要の回復も「来年以降にならないと難しいのではないか」と語った。
大阪ではまん延防止等重点措置による影響がすでに少し出ているという。第4波の収束時期は見通しづらく、村田社長は「保守的にみている」と述べた。
同社はこの日、3カ年計画も公表。24年2月期の連結営業収益は8500億円、営業利益は300億円を目指す。インターネット事業の売上高は20年2月期から314億円増の500億円を目標に掲げた。サイトを改修して利便性を高め、スマートフォンでの購買を促す。
村田社長は、国内の百貨店事業の今期黒字化は「至上命題」と述べ、人件費や庶務費などを抑制する意向を示した。3年間累計で20年2月期比216億円コストを削減する。