ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都/藤田元宏社長:以下、U.S.M.H)傘下のマルエツ(東京都)の2024年2月期業績が堅調だ。なかでも客数が全体業績をけん引している。約1年前に新社長に就任した本間正治氏のもと、マルエツではどのようなことに取り組んでいるのか。本間社長が描く戦略と具体的な施策を聞いた。
他社に先駆け販促再開、強みの訴求で客数が増加
──2023年3月に代表取締役社長に就任しました。就任初年度である24年2月期の業績は好調です。
本間 今期、当社では、客数と買い上げ点数、その積数である総買い上げ数量を商売の指標にしました。客数は「地域のお客さま」からの、買い上げ点数は「来店されたお客さま」からの「支持」を表すものであり、現場が一体となった取り組みにつなげられる数値です。
なかでも6期連続で前期割れだった客数の向上は、当社に最も必要なものでした。個店ごとに懸命に取り組んでくれた結果、24年2月期上期の客数は対前年同期比102.3%に、第3四半期は同103.6%とさらに増えました。今後インフレが落ち着き、1品単価が前年比で100を割ると、客数が業績を左右します。その前に、お客さまからの支持のバロメーターである客数をより確固たるものにする必要があります。
──客数の増加はどのように実現したのですか。
本間 来店とは、お客さまに買物の目的地として選んでいただくことです。選ばれるには気づいてもらう発信力が必要ですが、これが当社は弱かった。全員がおいしい商品をつくり販売しようと頑張ってくれているのに、もったいないと感じていました。
現代の競争は選ばれる競争、“コンテスト競争”です。そこで、選ばれるために当社の強みを積極的にアピールするようにしました。
たとえば、新型コロナが5類に移行した直後、少しでも他社に先駆けるべく有人での試食販売や、安全を保ちながらのバラ販売などを復活しました。
マグロの切り売りといったイベントも再び開催しています。もちろんリスクを伴いますが、主体的に提案するからこそお客さまに気づいていただけると考えます。
重要部門は総菜と鮮魚、小売のよさは「自由度」
──マルエツが「選ばれる」うえで、どの部門がポイントとなりますか。
本間 当社の大半の店舗の商圏特性からも、時代の潮流からしても、デリカ(総菜)が強くなければ支持を得られません。ゆえに
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