「未来のレモンサワー」はなぜヒットしたのか
「ねえねえ、これすごくない?」
いつもならワインしか買ってこない妻が教えてくれたのが、アサヒビールの缶酎ハイ「未来のレモンサワー」だった。ママ友の間でも話題沸騰だという。フルオープン缶の仕様で、ふたを開けると輪切りのレモンが浮かんでくる。その写真をママ友に送ったり、SNSに投稿したりしているらしい。
妻に限らず、インスタグラムなどでは「レモンが浮かぶ様子」の写真をアップするユーザーが多い。もちろん見た目だけでなく、私も実際に試したが味もしっかりおいしい。
アサヒビールは2023年に「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」でフルオープン缶の技術を確立しており、次に缶酎ハイに応用したわけだ。未来のレモンサワーの希望小売価格は税別271円と、缶酎ハイとしては決して安くはない。
ただ、レモンのサイズは一定ではないし、品質も異なる。缶の規格を変えるわけにもいかず、“レモンを浮かべる”を実現するために開発の途上ではさまざまな困難があったに違いない。もはや狂気ともいえる熱情によってつくり上げられた商品なのだ。そこに消費者は感動を覚えるのである。数量・エリア限定で発売されたが、各店舗ではすぐさま完売した。
未来のレモンサワーは、RTD(レディ・トゥ・ドリンク)の新たな価値を社会に提示したと私は考える。たとえばレモンサワーを居酒屋で注文すると、カットレモンを自分で搾ってサワーに入れるタイプの商品が出てくるときがある。未来のレモンサワーは搾る手間なく、しかしレモンのスライスが浮かんでいることで他のRTDにはない“本格感”が得られる。さまざまな技術的障壁を乗り越えて、絶対的な差別化を実現したのだ。
先日、日本では
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