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「チャレンジする方のコンビニ」具現化へ ファミリーマート最新経営戦略の全貌

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ファミリーマート(東京都/細見研介社長)の2025年2月期決算は、事業利益が2期連続で過去最高を更新した。プライベートブランド(PB)の売上が伸長しているほか、先行投資してきた広告・メディア関連事業を中心にデジタル分野も成長。話題性のある商品やキャンペーンの展開、リテールメディア事業の拡大など独自性を磨いてきた施策も奏功したかたちだ。

こうした実績をもとに、26年2月期はリアル・デジタル両面の施策を強化してさらなる成長をめざす。

事業利益と既存店日商、いずれも過去最高更新

 ファミリーマートの2025年2月期の連結業績(IFRS)は、営業収益が対前期比0.8%減の5037億円、事業利益が同1.5%増の850億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同63.9%増の849億円となった。

 事業利益は約13億円増加し、過去最高を更新。親会社の所有者に帰属する当期利益も、中国事業の再編に伴う特別利益が寄与し、前期から約330億円増加した。

オリジナル商品やキャンペーンが話題となり、業績好調のファミリーマート

 チェーン全店売上高は同0.9%減の3兆2438億円。24年2月期に計上された地域商品券の影響を除外すると同0.4%増で、実質的には前期を上回った。

 既存店客数が同0.4%増、客単価が同2.5%増といずれも増加したことから、既存店日商は同2.9%増と好調に推移し、25年4月まで44カ月連続で前年同月を超えている。また、全店平均日商は57万3000円で、過去最高を更新した。

 国内フランチャイズを含む期末店舗数は1万6251店。前期末から20店の純減となっている。

ファミリーマートの細見研介社長

 23年2月期からの中期経営計画(中計)の最終年度にあたる25年2月期の業績について、細見社長は「インフレに伴ってコスト上昇の圧力に晒されたものの、価格以上の価値を感じてもらえる商品開発を徹底し、オリジナル商品・企画がお客さまに広く受け入れられた。猛暑やインバウンド需要の拡大も追い風となり、事業利益の拡大を継続できた」と総括する。

 中計では、「チャレンジする方のコンビニであること」「再成長の軌道に乗せること」を目標達成に向けた2つの柱として掲げてきた。

 細見社長は中計の結果について「加盟店と一丸となって新たな事業分野やデジタル活用にチャレンジすることでコロナ禍を乗り切り、次のステージに加速度をもって突入できた」と大きな手応えを示した。

独自の商品展開やデジタル施策が好調

 増益の要因は、「ファミマル」を中心としたPBの好調と、独自キャンペーンにヒットだ。商品においては食品カテゴリーの売上が堅調で、とくにファミマルでは人気の「生コッペパン」シリーズの新商品の「白生コッペパン」がヒット商品となったほか、品揃えを強化している冷凍食品や菓子が伸長。「クリスピーチキン」「ファミチキ」などのホットスナックやおむすび、総菜などの中食も売上増を牽引した。

 独自のキャンペーンでは、物価高で消費者の節約志向が高まる中、値段を上げずに増量した「たぶん40%増量作戦」や「1個買うと、1個もらえる」などの企画でお得感を演出。ニンニクや背脂を使った商品を集めた「背徳のコンビニ飯」もSNSで話題になった。

 「コンビニエンスウェア(Convenience Wear)」の文房具が誕生するなど非食品カテゴリーの商品ラインアップも広がっており、細見社長は「ブランド独自の世界観が構築されつつある」と評価する。

 デジタル分野の取り組みも奏功した。ファミリーマートは23年より、顧客接点を強化するため「カスタマーリンクプラットフォーム」構想を推進している。自社アプリ「ファミペイ」やデジタルサイネージ「Family Mart Vision(ファミリーマートビジョン)」などを通じて、リアル店舗以外でも情報を発信するなどして顧客と常につながり、関係性の深化を図ることが目的だ。

 24年にはファミペイの新サービス「ファミマメンバーズプログラム」を開始した。会員の

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