アパレルに値引き販売は付き物だが値引きの実態はさまざまで、値引きが少ないから収益力が高いとも限らない。しまむらやチェーンストア衣料品からユニクロやカジュアルSPA(製造小売り)まで、値引きと損益の実態を明らかにしたい。
実は 「値下げ率」の大小と収益力は一致しない
始終値引き販売しているアパレルチェーンと期末に集中してセールするブランドメーカーとどっちが「値下げ率」が大きいのか、「値下げ率」には顕著な差は見られないが消化率は前者の方が確実に高くなり(ブランドメーカーは持ち越し比率が高い)、調達方法によっては「値下げ率」に大差が出る。それについては後で詳しく説明するが、まずは主要チェーン/事業タイプの実態を知っておくべきだ。
主要チェーンで最も「値下げ率」が小さいのが「しまむら」(「ファッションセンターしまむら」業態)で、「仕入れ売価」から「実現売上」への減少率は9.8%にとどまる。
しまむらは株式公開アパレルチェーンで唯一、主要業態の「値下率」を開示している。だが、これは「値入れ率」から「粗利益率」への落差を指すもので、「仕入れ売価」から「実現売上」への減少率という本来の「値下げ率」とは異なる。それによれば24年2月期の「しまむら」は6.5%、「アベイル」は13.2%だが、後述する計算方式による「値下げ率」はそれぞれ9.8%と21.6%になる。
同様に国内ユニクロの開示情報(23年8月期)から推計した「値下げ率」は27.1%、アダストリアなど大手カジュアルチェーンの平均的「値下げ率」は24.4%、チェーンストア衣料品の平均的「値下げ率」は22.6%と計算できるから、当用調達の「しまむら」を除けば「値下げ率」に大差はないのが現実だ。
「値下げ率」が最も小さい「しまむら」の営業利益率が9.7%(連結業績から推計)と高いのはともかく、「値下げ率」が27.1%と最も大きい国内ユニクロの営業利益率が
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