スーパーセンター(SuC)を主力業態に、全国で約270店舗を展開するトライアルカンパニー(福岡県/石橋亮太社長:以下、トライアル)。SuCならではの広大な売場面積と食品・非食品の圧倒的な品揃えや、AIの活用など最新技術を用いた「スマートストア」の開発で知られる。近年は生鮮食品の品質と品揃えが目まぐるしい向上を遂げており、強力な集客ツールになっている。今年3月、福島県伊達市に開業した「スーパーセンタートライアル伊達保原店」(以下、伊達保原店)の売場にフォーカスして、トライアルの強さをあぶり出す。※本文中の価格はすべて税込価格
スーパーセンター トライアル伊達保原店
売場に見た「強さ」の源泉
- 集客力を増強する生鮮強化の取り組み
- 季節需要と専門性を強化した非食品売場
- 広域からお客を呼ぶフォーマットの確立
売上高7000億円に迫る異質の小売企業
トライアルは売場面積1500坪を標準とするSuCのほか、2000坪超の「メガセンター」、小型フォーマットの「smart( スマート)」、次世代型スマートストアに位置づける「TRIAL GO(トライアル・ゴー)」など複数のフォーマットを使い分けながら、全国各地でドミナント戦略を推進している企業だ。
それと合わせて、AI 活用をはじめとしたデジタル領域の取り組みを進めていることでも知られる。お客が商品を自らスキャンし、専用レーンを通過するだけで決済が完了する「スマートショッピングカート」、売場天井部に備え付けたカメラでお客や商品の動きを把握しAIを用いて分析する「リテールAIカメラ」、メーカーと協働しながら店内で効果的な商品提案を行うデジタルサイネージ、そしてこれらのデバイスや技術をフル導入して、新しい買物体験を提供する「スマートストア」を開発。その導入領域は自社店舗のみならず、競合他社にも広がっている。
リアル店舗を展開する小売企業でもあり、小売業界全体での「リテールDX(デジタル・トランスフォーメーション)」をめざした先進的IT企業でもある──。トライアルはこの2つの側面を持ち合わせる異質の企業として成長を続けてきた。
持株会社であるトライアルホールディングス(福岡県/亀田晃一社長)の2023年6月期の連結売上高見通しは、対前期比11.4%増の6658億円。なお、今年4月には東京証券取引所グロース市場への新規上場が予定されていたが、「株式市場に関する動向等を総合的に勘案」(同社プレスリリース)した結果、上場手続きの延期を発表している。
豊富な品揃えと手頃な価格の生鮮
さて、本稿でトライアルに関して注目したいのは、店舗の集客力の高さである。駐車場は時間を問わず混雑し、新店のオープン時は周辺道路で渋滞が発生するほどお客が殺到。売場もとくに夕方や週末は多くの買物客で賑わい、店内を移動するだけでも一苦労──。こうした光景が多くの店舗で見られるのだ。
トライアルの集客力の源とは何か。
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