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佐藤勝人の「本当に強い店」づくり#2 ポイントは3つ 本当に効果を発揮する折込チラシの作り方

本当に強い店づくり

消費環境が大きく変化しているこの時代、生き残りをかけた店づくりの方針として、さかんに「強い店」というキーワードが繰り返されています。「強い店」とは何か、どう作るべきかをわかりやすく指南する連載「佐藤勝人の『本当に強い店』づくり」。第2回は、新聞購読数の落ち込みとともに効果が薄れているといわれている「折込チラシ」が、再び効果を発揮するためには何が必要なのかに迫ります。

折込チラシはまだまだ効果がある

 さて、皆さん「チラシ」といえば何を想像しますか。ほとんどの方が、新聞の「折込チラシ」を思い浮かべるのではないでしょうか。日本新聞協会によると、ここ20年で新聞の発行部数は約1800万部減少しています。2000年には一家庭あたり1.13部が購読されていましたが、これが20年には0.61部まで落ち込みました。「チラシは効果がない」「チラシは時代遅れ」といわれる原因がここにあります。

 しかし、今でも上手に使えば折込チラシは効果がある、といえば驚かれるでしょうか。さらに、これは次回詳細をお話しますが、チラシには新聞折込以外の用途もあります。今さら紙媒体なんて、と思われるかもしれませんが、チラシを上手に使いこなすことは「強い店」の条件なのです。

インパクト重視の折込チラシから脱却せよ!

 

 かつての折込チラシは、とにかく大きな画像とインパクトのある数字で、わかりやすさと安さをアピールするものが主流でした。しかし、新聞の読者層が変わった現在は、折込チラシの内容もそれに合わせて変える必要があります。

 今、わざわざ新聞を購読しているのは、50〜70代の、文字を読むのが好きで教養があり、経済的にも多少ゆとりがあるような人々です。そのような層に、安売りだけをひたすらアピールしても響くはずがないのです。折込チラシは効果がない、といわれるのは、読者層は変化したのに、チラシは旧態依然としているからなのです。

 では、今の読者層に“刺さる”折込チラシはどのようなものでしょうか。まず、今の新聞読者は文字を読むことが苦でないばかりか好きな人々ですから、チラシも従来の画像重視から文字重視に変更するべきでしょう。新聞よりも少し大きめの文字で、たくさん書いてある方が良いというのが私の経験則です。

「人のために消費する」心理を捉える

 もう一つ重要なポイントがあります。それは、売り込む相手を間違えないことです。今の時代、新聞を購読している年配層は自分自身のためにはあまり消費をしません。これは実は、年齢や新聞を取っているかどうかに関わらず、販促においてとても大切なことです。

 たとえば、ここに1本120円のミネラルウォーターがあるとします。これを誰かに売ろうとした場合、いくら「この水は〇〇の天然水で水割りにピッタリなんですよ。ミネラル成分も豊富で体にもいいですよ」などとアピールしても、その人が今、水を必要としていなければ絶対に売れることはありません。ところが同じミネラルウォーターを、売り込み文句は全く同じでも、最後に「どうですか、田舎のご両親に」といわれるだけで、「そういえばお父さんウイスキー好きだし、お母さんは健康を気にしていたわね…。一箱試しに送ってあげようかしら」となるのが人間なのです。

 水でなくとも、みなさん一度は同じような経験があるはずです。チラシを手に取った自分自身は全く必要のない品物でも、「そういえばあの人が気にしていたな…」と思うと、「教えてあげよう」「送ってあげよう」という気持ちが生まれるものです。しかも、この現象には副次的な効果もあります。その人自身が消費する場合、必要な分だけ、たとえば水なら1本や2本単位でしか売れませんが、人に贈る場合には1ケース、1箱といった単位で売れるようになるのです。これは売上の観点からいうと大変に重要なことです。

折込チラシが守るべき3つの要素

 まとめると、これからの折込チラシづくりで気をつけるべきことは、①インパクト重視から文字重視に移行すること、②チラシを手に取った人本人ではなく、その後ろにいる大切な人をターゲットにする、③価格訴求から価値訴求に移行すること、の3つに集約されます。

 折込チラシは費用対効果が低い、今時流行らないという前に、もう一度これらの観点からチラシづくりを見直してみませんか。次回は、同じチラシでも新聞折込ではなく、ポスティングや手配りチラシのコツについてお伝えします。