新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大下でコンビニエンスストア業界に逆風が吹くなか、首位セブン-イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長:以下、セブン-イレブン)は同業他社と比較して既存店売上高の落ち込みを少なく抑えることに成功している。同社はコロナ禍でいかなる施策を打ち、今後どのような戦略によって売上を伸ばそうとしているのか。
すでに5000店超に導入!「2020年度版新レイアウト」
セブン-イレブンの2021年2月期チェーン全店売上高は対前期比2.8%減の4兆8706億円。既存店ベースでは、客数が同9.9%減と低迷したものの、客単価を同8.4%増と伸ばしたことで、売上高の減少は同2.4%にとどまった。商品では冷凍食品や総菜、日配品、スイーツ、酒類など、内食需要や巣ごもり消費、健康志向に対応したカテゴリーの売上が好調だった。
コロナ禍で業績の落ち込みを抑えられた理由についてセブン-イレブン商品本部長の青山誠一氏は「コロナ禍で特別に対応をとったというのではなく、以前から進めてきた変化対応が生きた」と振り返る。
以前から進めてきたこととは、商品の「品質」と「おいしさ」の追求だ。たとえば近年注力してきたのが、中食商品のおいしさを保てる期間を延ばす「長鮮度化」の取り組みだ。工場に積極投資し、店頭陳列後から廃棄ロスになるまでの時間が24時間以上の商品をチルド総菜を中心に広げてきた。20年6月には生野菜サラダ2品目とカップ入り総菜「カップデリ」シリーズにおいても、摂氏4度で管理するコールドチェーンを構築して野菜の鮮度を高めるほか、窒素ガス充填方式によって酸化を防止するといった製造技術により長鮮度化を実現した。その結果、サラダの売上高は同30%増と大きく伸長している。
売場レイアウトの変更にも取り組んできた。セブン-イレブンは16年末以降、冷凍ケースやオープンケース、カウンターを拡大させた新レイアウトの導入を推進。とくに近年高まる冷凍食品の需要を取り込むべく、平台型冷凍ケースを2台以上設置する店舗を51.5%(21年2月期)まで増やした。冷凍食品の売上高はこちらも同30%増加している。
21年2月期からはさらに改良を加えた「2020年度版新レイアウト」を発表し、変更を進めている。具体的には、
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