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ワークマンに学ぶ「商品は変わらなくても、魅せ方だけで売れ行きが変わる」

ワークマンプラスの外観

PBの原価率は65%!それでも利益が得られる理由

未来調達研究所 坂口孝則 氏

 あるライターの製造工場にこんな逸話が残る。ある日、着火ホイールが固く回しづらい商品ができてしまった。捨てるわけにはいかない。そこでそれを「子供の誤動作防止機能付きライター」として売ったところ大ヒット──。このように、発想の転換が思わぬビジネス拡大につながることがある。

 近年快進撃を続けるワークマン(群馬県/小濱英之社長)は、まさに発想の転換で成長を果たした企業の1つだろう。このアパレル不況の中で、2021年3月期のチェーン全店売上高は1390億円、経常利益は233億円を見込み、いずれも前期と比べて約14%伸びる計算だ。

 ワークマンの成功の理由はメディアでもさまざま論じられているが、筆者は①コスト優位性、②商品力の高さ、③緻密なマーケティングの3つに集約できると考える。

 まず①コスト優位性については、ワークマンは海外の協力工場を活用している。作業着はデザインのパターンを絞ることができ、また1人で何着も使用するから商品の発注量は大量になる。また、季節やトレンドによってラインアップが大きく変わることはないため、協力工場の閑散期をねらって集中的に生産できる。これによってコストを抑え、販売価格に反映している。プライベートブランド商品の原価率はおよそ65%とアパレル業界では異例の高さだが、それでも十分な利益を出せるようになっているのである。

 次に②の商品力に関しては、もともとワークマンの商品はその機能性の高さやデザインが、いわゆる“ガテン系”から大きな支持を得ていた。それを一般顧客にもアウトドアやスポーツ用のアイテムとして提案し顧客の裾野を広げたことは、ちょっとした発明といえるだろう。個人的にも、「冷感リフレクティブ」という通気性に優れたTシャツや、ウォーキングシューズの「アスレシューズ」などの機能性・コストパフォーマンスの高さには舌を巻いた。

 商品面ではもう1つ、ガテン系と女性客の意外な親和性もヒットにつながった。筆者は工事業者の原価計算などのコンサルティングも行っているが、聞くところによると、現場の作業員は安全上、オレンジや黄色など派手な色の作業着を着ることが多いという。だからワークマンの売場にもそうした色味の商品が多いわけだが、これが女性客にもウケたというわけだ。

女性向けマーケティングの精巧さ

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