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関西小売に激震、ロピア襲来 次なる出店と地域子会社制のねらいは?

ロピア大

2020年9月末、ついに関西1号店を出店

 「ロピアが関西に進出する」──。

 そんな噂が業界内で流れ始めたのは、2020年の初めあたりのことだ。

 強烈な低価格攻勢と怒濤の高速出店によって首都圏で勢力を急拡大するロピア。業績の伸びはすさまじく、20年2月期の売上高は対前期比17.6%増の1595億円と、近年の食品スーパー(SM)業界では類を見ないほどの急成長ぶりをみせている。

 16年頃から積極出店に乗り出した同社は年間5~6店舗のペースで出店しており、19年には8店舗を出店。21年2月期に入ってからもすでに5店舗を出店するなど、その勢いはとどまるところを知らない。まさに破竹の勢いで店舗網を拡大する同社が、さらなる成長の場として選んだのが関西のマーケットというわけだ。

 関西1号店の出店地となったのは、大阪府の北東部に位置する寝屋川市。9月29日、ロピアは「ロピア寝屋川島忠ホームズ店」(以下、寝屋川店)をオープンする。関西進出の先陣を切った同店は、最新の商品政策を導入した大型店で、首都圏で多数の実績があるホームセンター(HC)内への出店となった。

 同店の周辺は1km圏内に4万人以上が居住する“分厚い”商圏が広がるものの、平和堂(滋賀県/平松正嗣社長)、ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)、万代(大阪府/阿部秀行社長)など関西を地盤とする有力小売がひしめくSMの激戦区でもある。

 ロピア進出を受け、寝屋川店の真隣にある平和堂運営の「アル・プラザ香里園」は計画よりも前倒しで改装を実施。寝屋川店から1.5km離れた場所にある「スーパー玉出寝屋川店」も、ロピアの広域集客を警戒して新たな販促策を実施するなど、競合チェーンが「ロピア対策」に奔走している様子が窺える。

2号店、3号店の計画が早くも進行中!?

 寝屋川店の売場は次ページで解説しているが、オープニングセール期間は生鮮食品だけでなく、定番のナショナルブランド商品も目を疑うほどの低価格で提供していた。猛烈な安売り攻勢にお客も反応しており、オープンから1週間が経過したある日に店舗を訪ねてみると、平日にもかかわらず、店内は来店客でごった返し、店舗入口付近の青果売場には常に行列ができていた。オープンからわずか数日で、関西のお客に「ロピアは安い」というイメージを鮮烈に植え付けたのは間違いない。

 ロピアは今後も関西マーケット侵攻の手を緩めない構えだ。20年10月現在、求人サイトを見ると、「ロピア尼崎島忠ホームズ店」(兵庫県尼崎市)、「ロピア鶴見島忠ホームズ店」(大阪府大阪市)の求人がすでに掲載されている。

 店名からも、寝屋川店と同様、島忠(埼玉県/岡野恭明社長)運営のHC内への出店であるのは確実であり、首都圏と同じく関西でもHC内、あるいは商業施設内への出店で店舗網を拡大していくのかもしれない。そのほか、大阪都心部にある駅直結の施設に出店するという噂もあり、業界関係者の1人は「早期に10~20店舗体制になるだろう」とも話す。関西小売各社が水面下で「ロピア対策」を検討しているのは間違いなさそうだ。

関西攻略を担う「関西ロピア」エリアカンパニー制へ移行か

 さて、ロピアでは関西進出に先立ち、20年7月に「関西ロピア」という法人を立ち上げている。同時に「神奈川ロピア」「埼玉ロピア」「千葉ロピア」という会社も設立しており、今後は「エリアカンパニー制」のような体制で、売上拡大をめざすとみられる。

 ロピアでは24年度に売上高3000億円、31年度にグループ売上高1兆円を目標に掲げている。

 20年2月期の売上高を当時の店舗数で按分すると、平均年商は30億円ほどになる。現時点でのロピアの総店舗数は53店舗。24年度の売上高3000億円という目標から逆算すると、新規出店により売上増をめざすという前提ではあるが、今後3~4年は年間10店舗近いペースで出店をしていくことになる。このうち「関西ロピア」の出店数がどれほどになるかは未知数だが、首都圏よりも出店余地の大きい関西での出店が多くなる可能性もありそうだ。

 本特集で取材した寝屋川店の競合店では、ロピア進出の影響はそれほど見られない様子だったが、一定期間が経過した後にどのような状況になっているかはまだ誰にも予想できない。

 ロピアの激しい価格攻勢はいつまで続くのか。店舗数が増え、ロピアの認知度が上がっていったときにお客はどのような反応をみせるのか。関西小売にとっては、ロピアの一挙手一投足から目が離せない状況が当面続きそうだ。

 

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