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最速レポート サミットストア神田スクエア店 100坪で売上7.6億円狙う売場作りに迫る!

サミット(東京都/服部哲也社長)は7月10日、同社として初出店となる東京都千代田区に、「サミットストア神田スクエア店」(以下、神田スクエア店)をオープンした。
同店は売場面積100坪(330㎡)という超・小型店だ。スペースに制約があるなかでも、生鮮食品や出来たて総菜を可能な限り提案し、日常の食卓ニーズに応えられる店をめざしている。

7月10日にオープンした「サミットストア神田スクエア店」。写真は青果側の出入口で、店頭でも青果を販売することで生鮮品が揃う店であることをアピールする

住友商事開発の
オフィスビル内に出店

 神田スクエア店がオープンしたのは、都営地下鉄新宿線「小川町」駅から南西へ約300m。サミットの親会社である住友商事(東京都/兵頭誠之社長)が開発したオフィスビル「神田スクエア」の1階だ。

 サミットは、今まであまり出店できていないJR山手線内側への侵攻を強化する方針を打ち出しており、18年から都市型小型店の開発を進めてきた。18年2月開業の「江原町店」(中野区:約290坪)にはじまり、「本天沼店」(杉並区:約300坪)、「三田店」(港区:約300坪)、「鍋屋横丁店」(中野区:約280坪)を出店。神田スクエア店はなかでも最も小型の店舗となる。

 約3年前にこの物件への出店を決めた竹野浩樹会長は「出店競争の激しい都心部では300坪の物件もなかなか獲得できない。都市部を本格的に攻めるには店舗のダウンサイジングが必要と考え、思い切って100坪の店づくりに挑戦しようと考えたと」と語る。

オフィス側の出入口には総菜売場を設置。ビジネスパーソンのランチ需要を取り込む

小型店でも生鮮食品や
出来たて総菜のニーズに応える

 競合店は、店舗から1km圏内では、売場面積約370坪の「オリンピック淡路町店」以外は、「マルエツプチ」「まいばすけっと」「成城石井」といった同50坪ほどのミニスーパーしかない。
 そうしたなかサミットは、商圏内に多くの“買物難民”が存在しているとして、オフィスのビジネスパーソンだけでなく、近隣住民にも、ふだんの食卓の買物の場として利用される店をめざしているのが特徴だ。

 取締役執行役員営業企画部の岡田崇マネジャーは「近隣に買物の場がないから仕方なく使われるのではなく、生鮮食品の鮮度や総菜の出来たて感といった食品スーパーに対する期待に応え、生活のなかでメーンで利用される店をめざしている」と説明する。

総菜は店内調理を中心に
280SKUをラインアップ

 実際に売場を見ていくと、神田スクエア店は小型店ながら取り扱いSKU数は4882を揃える。なかでも総菜売場は、280SKUと標準店並みの品揃えを提供。ビジネスパーソンの昼食ニーズも取り込むことで、全体の売上高構成比のうち22%を稼ぎたいねらいだ。

総菜は多くの商品を店内調理で提供。出入口すぐの場所の壁面にはガラス窓を採用し、来店客に商品を店内で手づくりしていることをアピールする
弁当を並べる平台の隣にはペットボトル飲料売場を配置して、即食商品のみを短時間で購入できるようにしている

 近年サミットが生鮮3部門に設置し、店頭で扱う素材を店内加工・調理し販売する「フレッシュサラダ」や、肉総菜の「グリルキッチン」、魚総菜の「煮魚・焼き魚」コーナーは、同店ではスペースに制約があることから展開していない。しかし他社と差別化を図れる重要な存在として、一部商品を総菜売場で販売する。

店内加工で刺身も提供
充実した生鮮食品

 生鮮3部門については、青果は231SKUを揃え、売上高構成比は15.5%と生鮮3部門のなかで最も高く設定する。近隣の居住者は単身世帯が全体の約65%を占めることから、複数個入った袋物は扱わず、キャベツや大根など大きい野菜は適量サイズを中心に提供する。

青果売場では、少量・適量サイズの品揃えをメーンにしている

 鮮魚売場は170SKUを揃え、売上高構成比は8.0%を見込む。丸物もパック入りで販売するほか、即食商品を充実させて店内加工の刺身を幅広く扱う。

鮮魚売場ではパック売りの丸物も充実させている
店内加工の刺身はミニスーパーと差別化を図れる商品だ

 精肉は、ほとんどの商品をアウトパック商品で供給する。取り扱いSKU数は184で、売上高構成比は10%と設定している。

精肉部門はアウトパック商品を活用することで幅広い品揃えを実現している

新店で初めて
フルセルフレジを導入

 神田スクエア店は、小型店で品揃えが充実している割に、売場に圧迫感が少ない印象だ。

 その大きな理由の1つが、清算レジにおいて、セミセルフ2台のほか、新店で初めてフルセルフレジを5台導入している点だ。これによりレジスペースを小さく抑えつつ、省力化も実現している。
 

一部店舗で実験していたフルセルフレジを、新店で初めて導入した
主通路は1.5mの幅を確保することで小型ながらゆったり買物できる印象を与えられるようにしている

 実は筆者は半年前まで同店から約300mにある単身世帯向けマンションに居住していた。実際、周辺には多くの単身のビジネスパーソンが生活しているのだが、ふだんの食卓の買物はミニスーパーかコンビニエンスストアしか選択肢がなかった。

 そうしたなか神田スクエア店は、とくに鮮魚、精肉、出来たて総菜の品質・品揃えがミニスーパーを大きく上回っており「半年前にオープンしていたら着実にふだん使いの店になっていた」と感じた。

100坪モデルを確立し
出店地の選択肢を広げる

 神田スクエア店の年商目標は7億6000万円。現時点では都市型小型店の次の出店予定は未定だという。

 服部哲也社長は「神田スクエア店で実験・検証を進めて100坪型のモデルが確立できれば、都市部へ侵攻するうえでの物件の選択肢は広がる」と話す。

 サミットの都市部侵攻を加速させるためには、神田スクエア店の成功が重要なカギになると言えそうだ。

 

「サミットストア神田スクエア店 概要」
所在地     :東京都千代田区神田錦町2-2-1
営業時間    :平日8:00~22:00、土日祝9:00~22:00
売場面積    :100坪
バックヤード面積:122㎡
投資額     :3億6000万円
年商目標    :7億6000万円