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勢力図を塗り替える大合併!アークランド×ビバの共同記者会見で語られたこと

6月9日、ホームセンター業界の勢力図を塗り替える大合併の発表があった。アークランドサカモト(新潟県/坂本雅俊社長)がLIXILビバ(埼玉県/渡邉修社長)を買収し、完全子会社にすると発表した。まさに「小が大を食う」買収劇。各社にどのようなねらいがあるのか、アークランドとLIXILビバの共同記者会見の内容をまとめた。

共同記者会見に臨むアークランドサカモト坂本会長(右)とLIXILビバ渡邉社長(左)

1085億円で買収
4年で借金は返せる

アークランドサカモト会長 坂本勝司氏

 アークランドサカモトは1990年に創業、HCの「ムサシ」を中心に、卸売業、外食、不動産など、14の子会社、6つの関連会社を持つ。

 2000年以降はHC業界の成長は横ばい、GMS、ドラッグストア、インテリア、家具専門店、オンラインなど他業種との競合が激しくなっている。

 その中で、当社はLIXILビバと長年の取引関係にあり、前から興味を持っていた。一緒になることで多くのシナジーを発揮し、両社がより一層成長できると思い、本取引に至った。

アークランドサカモト取締役管理本部長 志田 光明氏

 本取引の内容について。アークランドサカモトはLIXILビバを公開買い付け、株式併合によるスクイーズアウトを実施する。LIXILグループ以外の少数株主の株式を取得し、その後、LIXILビバがLIXILグループから自己株取得することにより、弊社がビバを完全子会社化する。公開買い付け価格は2600円、自己株取得価格は2423円。取得価格の合計は1085億円。

 アークランドサカモトは売上高1127億円で業界11位、LIXILビバは1969億円で6位だった。一緒になることで3096億円となり、業界第5位となる。

 両社は店舗の地域的重複がない。これからはリージョナルではなくナショナルチェーンとして業界のリーディングカンパニーをめざす。

 小が大を飲む買収だが、両社ともキャッシュリッチだからこそできた。アークランドは無借金経営。4年程度で借金を返済できると考えている。

 対等の精神に基づき2021年度中をめどにホールディング体制に移行する。

 さらなるアライアンスも検討していく。

売上高5000億円へ
業界トップをめざす

LIXILグループ取締役代表執行役社長兼CEO     瀬戸欣哉氏

 LIXILビバは当社の最大の子会社。素晴らしい経営者もいて、好きな会社。従業員も誇りに思い、店舗に行くのも楽しみだった。こういった形で取引が決まったのは嬉しくもあり、寂しくもある。

 当社の事業領域はメーカー、ハウジングがメーン。一方、LIXILビバは店舗を中心とした小売業。これからもっと成長していく。しかしそれには投資が必要。残念ながらわれわれはメーカーとしてどこに投資していくかというのを選択するフェーズで、ビバという子会社を持つよりもメーカーとして専念していく。

 アークランドサカモトには坂本会長という素晴らしい経営者がいる。寂しくは思うが、晴れやかな気持ちで祝福したい。

 

LIXILビバ代表取締役社長兼CEO  渡邉修氏

 LIXILビバは1977年にトステムの子会社として設立され、43年間営業してきた。2000年に上場廃止し、2017年に再上場を果たした。

 業界を取り巻く環境の変化、これから先の将来的な発展を考えると企業間の合併は避けて通れない。3年間で上場のメリットはかなり感じた。

 10年後を目標に、ビバとアークランドで売上高5000億円をめざす。トップ企業になる。これを達成するには年率成長5%が必要だが、ビバは5%を超えているので問題なく達成できる数字だと認識している。

 また、粗利益率改善に向けて共同で取り組むことで、営業利益率8%を超える企業集団になる。

 シナジーは店舗運営の共同化、PB開発、IT・物流の共通化による販管費低減で出すことができる。

 店舗については、両社で138店舗、27都道府県。平均売上は20億円近くで、これは業界ダントツの数字である。ナショナルチェーンになれば、まだまだ伸ばすことができる。

 粗利益率は、仕入れのボリュームディスカウント、PB強化で現状の33.7%から36.7%への改善をめざす。

 PB比率は現状、アークランドが10%、ビバが26%。これを両社で40%になるようにする。

 この大きなアライアンスにより、ゲームチェンジを起こす。