メニュー

彷徨うコンビニその5 ミニストップが温める一発逆転の“秘策”

コンビニ業界4位のミニストップ(千葉県)が苦境に立たされている。2020年2月期通期決算は最終赤字の見通しで、これにより3期連続の当期赤字となる。21年度に「最終利益の分配モデル」という業界初となるフランチャイズチェーン(FC)契約の導入を予定するなど、思い切った改革で背水の陣を敷く同社。ただ、それでも浮上の兆しが見えないならば、一段の店舗閉鎖やイオングループ企業への統合といった選択肢が待ち受ける

下方修正で3 期連続の最終赤字へ

 2020年2月、ミニストップは20年2月期の連結業績の下方修正し、59億円の最終赤字になる見通しと発表した。5000万円の黒字予想から一転、大幅赤字に沈んだ。これにより、ミニストップは3期連続の最終赤字となる。

 セブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン-イレブン)、ファミリーマート、ローソン(いずれも東京都)の3社に次ぐ規模でありながら、苦境が際立つミニストップ。平均日販を見ても、41 万5000 円(19年2月期)と、セブン-イレブンとは20万円以上、ファミリーマート、ローソンに対しては10万円以上の開きがある。この日販差は商品開発の遅れなど種々言われているが、ミニストップは全国的に低日販店が多く、大手3チェーンと比べて効率がよくないことはかねてより指摘されている。

 売上高が落ちると、赤字になりやすい体質であることも足かせとなっている。このためミニストップでは計画的に不採算店を閉鎖しおり、20年2月期上期も約200店を閉鎖し体質改善を進めて計画としている。

ミニストップの「新しい加盟店契約」とは

 そうした状況下、ミニストップは一発逆転の改革に踏み切ろうとしている。24時間営業問題や廃棄ロスなどコンビニ業界で問題が相次いで噴出していることについて、親会社であるイオンの岡田元也会長は「(チェーン本部の)富の再配分と(加盟店との)契約のあり方が問題だ」と指摘する。この方針に従い、ミニストップは21年度(22年2月期)中に加盟店と結んでいる契約を抜本的に見直す方針を打ち出している。

 契約改定によって加盟店と本部の関係の質的な改善を図り、新規加盟店獲得の起爆剤とし、店網のテコ入れを図るとみられる。大手チェーンとの横並びではない、新たなコンビニモデルへの変革をめざす。

 まさに“秘策”であるミニストップの加盟店契約は「最終利益分配モデル」になると言われている。その詳細は明らかになっていないが、従前のようなロイヤリティを前提としたモデルは基本的に廃止するという。

 現在、ミニストップは4タイプのフランチャイズモデルを展開しているが、加盟店は基本的に24時間営業で、売上総利益の約4割をロイヤリティとして本部に支払っている。これに対して新モデルは、賃料や光熱費、人件費など店舗運営にかかるコストを加盟店と本部で応分に負担し、残った最終利益を2者で分配するものになると見られる。

 焦点は、この“応分の負担”という部分になりそうだが、「『最終利益分配モデル』は加盟店が頑張ったぶんだけ実入りが増えるようなモデルになるのではないか」(ある食品卸の関係者)という見方もある。

新モデルが軌道に乗らない場合は……

 現在、コンビニチェーンで一般的になっている「粗利分配方式」は、加盟店で廃棄ロスが出ても本部は損をしないなど、本部主体の発想で構築されている。ミニストップが提案する新たな加盟店契約は、「フランチャイズ」というモデルに一石を投じる可能性すらある。

 ただ、この新モデルが軌道に乗らない場合、ミニストップが上位3社との差を縮める方策は限られてくる。「直営」と「フランチャイズ」という壁を乗り越え、イオングループの食品スーパー企業との経営統合など浮上すると見られている。というのも、イオングループでは現在、食品スーパー事業会社を地域別に再編している真っ最中。これにミニストップを組み込まれる可能性は十分に考えられるというのだ。

 ミニストップは一発逆転の秘策で活路をひらけるか。既存の加盟店オーナーとの調整が当面の焦点となりそうだ。