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大ヒット!コーナンPBのバスマットはどうやって生まれたのか?

コーナン商事(以下、コーナン)のプライベートブランド(PB)の商品開発が変わってきている。ただ「安い」だけでなく、ナショナルブランド(NB)にはない、機能を付加したり、不要な機能を取り除いて値ごろ感を追求した商品を増やしている。ここでは、ヒット商品の「コーナン オリジナル タオルバスマット」がどのように誕生したのかを紹介する。

コーナン商事は早期からPB開発に取り組んできた。

ボイスミーティングで
顧客の声を集める

 コーナンはホームセンター(HC)業界の中でも早くからSPA(製造小売)を志し、PB商品の開発を進めてきた。その結果、現在はPB比率、粗利益率とも業界トップクラスに位置する。現在、競合企業との差別化をねらった「LIFELEX(ライフレックス)」、プロ向けの「PROACT(プロアクト)」を中心に約2万1000SKUあり、売上高構成比は業界トップクラスで30%を超える。

 近年、コーナンは価格訴求型のPBだけでなく、値ごろ感がありながら、お客の要望に応えた機能を付加したPBづくりに力を入れている。そういった商品を開発するためにコーナンが取り組んでいるのが「ボイスミーティング」だ。これは店舗や本部で働く社員、パートタイマーにアンケート調査を行い、集まった声や要望などを商品に反映させるというものである。

 ボイスミーティングを通じて開発した商品の代表例が、「コーナン オリジナル タオルバスマット」。約40×60cmのサイズは税抜498円、約35×45cmは同358円で、色はいずれもベージュ、ブルー、ブラウンの3種類がある。

 そもそもコーナンがバスマットに着目したのは、日常で使う身近な商品である反面、近年、新商品が少なくなっていたためだ。

 これまでのバスマット売場は、高機能をウリにした付加価値型の商品が中心だった。高級感あるふわふわした肌触りの商品のほか、濡れた足で乗ると素早く水分を吸収する珪藻土を使った商品など、こだわりのアイテムが多かった。価格も年々、上がる傾向にあった。こういう状況を踏まえ、コーナンでは生活者の意見を参考にしたプライベートブランド(PB)を投入することで、売場活性化を図りたいと考えた。

不要な機能を落として
値ごろ感を追求

 調査により聞こえてきたのは、事前に商品開発者が考えていたのとは異なるものだった。「毎日洗いたいので、固い生地は洗濯機に入れにくい」「そもそもバスマットは使っておらず、バスタオルで代用している」といった意見。珪藻土を使った商品については、「冬に乗ると寒い」という意見もあった。

 それらを集計し、数値化して優先順位を決め、求められる価格、機能、カラー展開などの要素に落とし込んだ。何度も試作品をつくり、女性従業員の意見を求めながら改良を繰り返した。そして完成したのが前述のバスマットである。

 こだわったのは「踏み心地」と「吸水性」。さらにタオル感覚で毎日、洗濯でき、家族が11枚使えるよう常に67枚ストックできる大きさ、買いやすい価格も実現した。何より女性の意見を聞くことで、バスマットとタオルの長所を組み合わせた「タオルバスマット」という新しい形態に生み出せたのは大きかった。

 同商品の単価は、付加価値型の商品の平均と比べて約3~5割安い。しかし販売点数が大きく伸長したことで、カテゴリー全体の売上高を拡大することに成功。売場では、商品の特徴やこだわりのポイントを紹介するPOPを添え、価値を訴求。今もユーザーが増えており、人気商品に育っている。