メニュー

パート・アルバイトを短期間で即戦力にするためのトレーニング術

こんにちは、成田直人です。前回、パート・アルバイトを効果的にトレーニングする上で欠かせない、“教え方”について解説しました。今回はその続きで、パート・アルバイトを短期間で即戦力にするための具体的なトレーニング術を解説していきます。

Photo by FG Trade

POPづくりも 具体的に教える

 では、教え方をマスターしたところで、具体的なトレーニング術について解説していきます。

 ここでは、店内で販促を展開する場合はどうしたらいいのかをお教えしましょう。接客に時間が割けない業態は、できる限り店内のPOPやレイアウトなどを使って、お客さまの購買欲求をつくり出すことが求められます。「できれば接客をしなくても商品を次から次へとカゴにいれてくれたら嬉しい!」というのが本音でしょう。人数が少ない中働いているからこそ、特に販促物の力は大きいものです。

 販促物を作るのもスタッフの仕事です。どうやって作り方を教えればいいのでしょうか?

 そのコツは、何をどうしたらいいのか?を具体的に教える、です。

 例えばPOPを作る場合もある程度セオリーが決まっています。

 一番大事なのは、キャッチコピーです。キャッチコピーとは見た瞬間に「おやっ!」とさせることが目的です。このコピーはPOPの用紙の半分近くを占めます。入浴剤をテーマにコピーの一例を挙げると、「100種類以上の入浴剤を試した私がおススメするナンバーワン入浴剤!」などです。これを読むと、「いったいどんな入浴剤なんだ!?」と気を引くことができます。そして、次に成分や機能が生み出すメリットを書き出すのです。「コラーゲン(成分)→お肌プルプル!」や、「長年悩んでいたお肌の悩みを解決!」というように、どんなメリットがあるのか、悩みを解決してくれるのかを明確に提示することが大切です。

 教えられる側も、このように具体的に枠組みを与えられた方が作りやすいですよね。

 曖昧で従業員を困惑させる教え方が、「お客さまが欲しくなるようなPOPを作ってみて」といってしまうパターンです。従業員は「そんなのわからないです・・・」と言いたくなるのですが、上司なので言えない。結局、要領を得ないまま、「がんばって作ってみます」と作るのですが効果は全くなし、というのはよくある話です。ぜひこの2点の具体的トレーニングを試してみてください。必ず、スタッフ教育によって、成長度と時間効率が上がることをお約束します。

あえて答えを教えない

 次に、「あえて教えない」教育についてもお教えします。これは、顧客満足度を高めるための接客術を教える上で効果的な方法です。

 例えば私が店頭でクライアントのスタッフと一緒に働いている時に、遠くでサポートを必要としているお客さまがいるとします。もちろん私がお客さまの元へ伺うのが一番なのですが、トレーナーなので一歩引いて、ある質問をスタッフに投げかけます。それは……

「あのお客さまが、〇〇さん(スタッフ)がいることでハッピーになる方法を教えてもらえますか?」や、「あのお客さまが自分自身だとしたらどんなサポートをしてくれたら嬉しいかな?」というものです。

 例えば、「お客さまが手に1、2個商品を持っている」状況を想定してみてください。こんな時、多くの主任クラスのマネジャーは、こんな風にすぐ答えを言う癖があります。「ほら、ぼーっとしていないで、あのお客さまにカゴを持っていかないと!」

 仕事の手順を教える時は具体的に教えることが大事になりますが、顧客満足度を向上させる場合は新人スタッフに考えさせることが大事です。「オペレーションは具体的に、サービスは考えさせるように」と覚えましょう。この主任のように教えていたのでは、新人スタッフは自分で考える癖がなくなり、常に答えを求める“クレクレスタッフ”になってしまうのです。あえて答えを言わずに質問をすることで本人に考える癖を与えることが大切です。

 そして、答えが出なければ「カゴを持っていてもらえたら嬉しいんじゃないかな?」と言って、アシストをします。答えを言う前に必ず質問をする癖をつけることで、主任クラスのマネージャーがいなくても、スタッフ自らの意思でお客さまを喜ばせるための行動を選択できるようになります。ぜひあなたの店でも早速実践してみてください。

 次回は、高い能力を持ったスタッフが辞めない店舗のつくり方についてお話をします。ベテランや能力の高い人が辞めると店舗のサービスレベルは一気に傾きます。そうならないために店長(マネジャー)としてどんなことができるのか?をお話します。どうぞお楽しみに!

なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。