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パート・アルバイトがわがままになっている理由と、やる気にするコミュニケーション術

こんにちは、成田直人です。前回は客単価を上げることの重要性についてお話をしました。今回は、客単価を効果的に上げるために必要なトレーニング実施時のモチベーションや知識習得意欲を創り出す方法について2回にわけて解説していきます。

Photo by fizkes

アルバイト・パートのモチベーションはこう創る!

 モチベーションという言葉は人材育成に欠かせない言葉です。しかし、言葉は知っていても「どうしたらスタッフのモチベーションが上がるのか?」という問いに明確に答えられる人は少ないように感じます。

 ましてや小売・サービス・飲食業は営業成績次第で給与が上がるような業態ではないため、評価・賞与によるモチベーションアップがはかりにくいもの。モチベーションに関する専門書の多くが、アルバイトやパートを対象にした内容ではなく正社員が中心。そのためそのままノウハウを適用することができません。

 そこで今回はアルバイト・パートの接客意欲(客単価向上)、スキル習得(自学自習)を自らの意思で行うモチベーションを創るための方法をお伝えします。

 いちばん大切なキーワードは「内発的動機付け」です。

 一般的に動機付けは「外発的動機付け」と言われています。これは、外部から評価・褒賞、つまりご褒美を与えることでモチベーションを上げる手法です。

 では内発的動機付けとは?

 これは、本人自らが「やりたい!」と意欲を示し、高いモチベーションを生み出す手法なのです。他者ではなく、自主的にモチベーションを上げるのが特徴です。

 「いや~うちのスタッフはお金を稼ぎに来ているだけで、モチベーションを上げるなんて不可能だよ」と思うかもしれません。私自身もこれまで数え切れないほどこの質問を受けてきました。そして、毎回同じ回答をしています。

 「まず、管理者であるあなたがスタッフに“この人はお金を稼ぎに来ているだけ”とラベリングするとその通りになるので、剥がしてください」

 このようにまずは管理者の思い込みを捨て去るのです。

 その上で、「当社のスタッフは全員もっと組織にもお客さまにも貢献したい!」と考えていると思ってコミュニケーションするよう伝えています。アルバイトとパートに対する諦めが、現場力をより弱めてしまっていると、数多くのクライアントと接していて私が実感していることです。まずは、ネガティブなラベルをポジティブなラベルに張り替えること、が肝要なのです。

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指示を中心としたコミュニケーションはもう、時代遅れ!

指示を中心としたコミュニケーションはもう、時代遅れ!

 続いて、コミュニケーションです。一般的には上司と部下は指示が中心となるコミュニケーションになります。しかし、これはもう時代遅れです。今の時代は指示ではなく、尊重と承認をベースにしたコミュニケーションを取ることが大切です。「これしといて!」ではなく「これしてもらっていい?」と選択肢を与えるのです。実際のところは本人に選択の余地はありません。しかし、「!」を「?」に変えるだけで本人の仕事に対する取り組み姿勢が驚くほど変わります。

 なぜこのように指示中心のコミュニケーションではなく、承認・尊重が必要となったのでしょうか?その答えは雇用バランスにあります。一昔前は企業側が強かったので、長く務めるためにも上司の指示従う傾向がありました。しかし、今はどうでしょう。あなたの店も人不足で困っているかもしれませんね。そうです、従業員側の方が強くなってきているのです。

 何かあれば「辞めます」のカードを持っていますから、言葉は悪いですが「わがまま」になってきているなと実感しています。しかし、そんなのにいちいち付き合っていられない!と激怒する店長もいるでしょう。ちょっと待ってください、そんなに怒っていたらみんな辞めてライバル店に行ってしまいますよ、と私はアドバイスをしています。従業員のマネジメントも大きく変わってきている、ということです。

 店長はこれまでのように強い姿勢を示すのではなく、柔軟な姿勢を示すことで組織はこれまで以上に成長するでしょう。では具体的に、どうやってコミュニケーションを取ればいいのか?次回、みっちりとご説明します。

 

なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。