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生鮮4部門と冷凍食品が大きく進化した! コープみらいの最新店舗

東京・埼玉・千葉の1都2県を事業エリアとし、地域生協最大の供給高を持つコープみらい(埼玉県)は6月25日、東京都葛飾区に「コ―プ葛飾白鳥店」(以下、葛飾白鳥店)をオープンした。売場面積は約590坪と同生協最大級で、最新の商品政策(MD)を結集させた店舗だ。
生協といえば主力は宅配事業で、店舗事業は赤字で競争力に欠けるという地域生協も多い。そうしたなかコープみらいは、積極的な新規出店や店舗改装を実施している。生協の最先端ともいえるコープみらいの最新の店づくりと、今後の店舗戦略を取材した。

6月25日にオープンした「コ―プ葛飾白鳥店」

生鮮の全部門で
オープンキッチンを採用

 葛飾白鳥店は、コープみらいが開発し、ドラッグストア、衣料専門店、100円ショップなど8つのテナントを誘致した近隣型ショッピングセンターの核店舗としてオープンした。
 同店はこれまでの生協の店舗のイメージを覆す店づくりを実践している。まず、店内に入ってすぐに目にとまるのが、これまでにないほど、オープンキッチンを導入した売場づくりだ。総菜を含む生鮮4部門すべてで、天井まで高さのあるガラス窓を採用し、来店客に加工や調理シーンが見えるようにして、鮮度感やライブ感を訴求している。

総菜を含む生鮮4部門すべてで、オープンキッチンを導入している
天井まで高さのあるガラス窓を採用し、売場から加工・調理シーンが見えるようにしてる
総菜部門は、ベーカリーを合わせて約300SKUという幅広い品揃えながら、その7割以上を店内調理で提供する

 生鮮4部門のなかでも鮮度感やライブ感を打ち出しているのが、総菜部門だ。ベーカリーを合わせて約300SKUという幅広い品揃えを提供しながら、その店内調理比率は7割に上る。これにより、売上高構成比全体の13%を総菜・ベーカリーで稼ぐ計画だ。
 今回初となる取り組みもある。「ミ―トデリカ」コーナーの展開だ。売場から見える位置に、赤く焼けた溶岩石により炭火焼きのような仕上がりが実現できる加熱調理機チャーブロイラーを導入し、ハンバーグやチキンステーキ、野菜などをグリルして提供している。


初導入の「ミ―トデリカ」コーナー。加熱調理機のチャーブロイラーを導入し、ハンバーグやチキンステーキ、野菜などをグリルして提供する

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鮮魚部門、黒字の秘密!!

「簡便・即食」が好調で
鮮魚部門は黒字!

 次に、同店で際立っているのが、総菜部門だけでなく、生鮮3部門でも、即食商品の販売を強化している点だ。たとえば青果部門では、カットサラダ・フルーツ、鮮魚部門では、寿司や魚総菜、精肉部門ではローストビーフなどだ。これらは、すべて店頭で販売している素材を使っている。
 とくに鮮魚部門では、主通路沿いの目立つ売場で、「ぶりカマ照焼」「縞ほっけ開き焼き」などの魚総菜を集めて「魚屋さんの惣菜」コーナーを設置。鮮魚部門は「こうした簡便・即食商品の売上が好調で、18年度も黒字を達成している」(コープみらい副理事長の永井伸二郎氏)という。

鮮魚部門の「魚屋さんの惣菜」コーナー。店頭で扱う素材を店内調理した魚総菜を販売する

冷凍食品が500SKU以上!

 過去最大級の売場面積を生かし、冷凍食品を拡充しているのも同店の特徴だ。アイスクリームを含めて500SKU以上を取り扱う。
 冷凍食品売場では、オーガニック食品をコーナー化したほか、生協のプライベートブランド(PB)で食べやすさを追求した離乳食・幼児食シリーズ「きらきらステップ」をフルラインで販売。加えて、生鮮3部門にもそれぞれ専用ケースを儲けて、冷凍の素材やミールキットを提案していた。

冷凍食品は、オーガニック食品を販売するほか、若い世代の獲得をねらい、PBの離乳食・幼児食シリーズ「きらきらステップ」をフルラインで扱う
生鮮3部門にもそれぞれ専用ケースを儲けて、冷凍の素材やミールキットを提案していた

組合員活動もここで!
充実した設備のイートイン

   さらにイートインコーナーでも、設備を充実させるとともに、生協ならではの機能を持たせている。
 約90席もの席数を確保し、座席は大型のソファやスツールなどを用意することで、子供連れで、友人同士で、1人でなど、さまざまなシーンで利用できるようにした。また、商圏内に子育て世帯が多いことからキッズスペースを併設したほか、無料のWi-Fiサービスも提供する。
 生協ならではの機能では、空間をパーテーションで区切り、組合員の活動の場としても利用できるようにしている。「一般のお客さまからも組合員のふだんの活動が垣間見えるにすることで、“開かれた生協”をめざしていきたい」(永井副理事長)。

約90席のイートインコーナー。空間をパーテーションで区切り、組合員の活動の場としても利用できるようにしている

 実は、コープみらいにとって同店のある東京都東部エリアは、物件がなかなか取得できなかったことから約30年ぶりの新規出店となる。基本商圏に設定する、半径2km圏内の世帯数に占める生協の加入率は23.3%と、東京都平均の24%より低い。このように生鮮食品と簡便・即食を強化し、快適なイートイン空間も付加した葛飾白鳥店は、新規組合員の創造にも効果を発揮しそうだ。
 同店の年商目標は約20億円に設定するが、永井副理事長は「設定した目標以上の年商をねらっている」と述べている。

100坪以下の小型店に
新MDを波及させる

コープみらいは、葛飾白鳥店で見られる生鮮4部門を強化した最新のMDを小型店にも導入していく考えだ

 コープみらいは今後、葛飾白鳥店に見られる生鮮4部門を強化した店づくりを小型店にも波及し、全体の競争力アップにつなげたい考えだ。
 現在、食品スーパー69店、売場面積100坪以下の小型食品スーパー「ミニコープ」66店の計135店を展開している。このうちミニコープは閉鎖を進めてきたが、今後は「スクラップ&ビルドにより生鮮4部門を強化した食品スーパーへ積極的に転換していきたい」(コープみらい店舗事業本部長 兼 店舗商品統括部長の大川昌彦氏)という。
 同時に、2017年11月に、JR「荻窪駅」から南200mほどにある売場面積100坪弱の「ミニコープ荻窪店」を、コンビニエンスストアと対抗するべくリニューアルで総菜を強化したところ好調で、このようなミニコープの改装をさらに進めていくことも検討している。

 新MDが波及されれば、さらに多くの消費者が生協の店舗の進化を実感することになるだろう。

「コ―プ葛飾白鳥店」概要
所在地     東京都葛飾区白鳥4-10-17
電話番号    03-6662-4735
営業時間    9:00~22:45
売場面積    約590坪
取り扱いSKU数  1万5757
従業員数    正規18人/パート・アルバイト61人(167時間/月で換算)