地元メーカーと共同開発したプライベートブランド(PB)が高い支持を得ているツルヤ(長野県/掛川健三社長)。業界誌の取材を受けることはほとんどなく、その売場づくりや商品開発の手法については謎に包まれている。ツルヤはどのような戦略で店づくりをしているのか。本誌ではおなじみの売場&商品の専門家、海蔵寺りかこ氏(KTMプラニングR)に解説してもらった。
調査日:2022年9月29日、本文中の価格は調査日の税抜
PBに注力する一方、NBは縮小傾向に
今回ツルヤの商品や売場を調査するために訪れたのは、2022年6月にオープンした「ツルヤ穂高店」(長野県安曇野市:以下、穂高店)。都内からは、特急「あずさ」に約2時間半揺られて「松本」駅で下車し、そこから日本アルプスを横目に30分ほどクルマを走らせると到着する。
穂高店は、ドラッグストアの「マツモトキヨシ」や100円ショップの「セリア」などとともに近隣型ショッピングセンター(NSC)を形成している。なお、11月下旬には近年食品スーパー(SM)隣接地への出店に力を入れている「無印良品」も開業予定だという。
穂高店の各売場の様子を見てまず感じたのが、ツルヤが自分たちの世界観、価値観を第一に考えており、その姿勢はまったくブレていないという点だ。加工食品や日配品のプライベートブランド(PB)を中心に、強みのある商品や得意とするカテゴリーを売り込むことで、お客を引きつけている。この点がツルヤが大きな支持を獲得している要因の1つである。最近出店を開始した群馬県の店舗でも同様で、群馬にはツルヤのような一面をもつSMはあまりなく、なかにはわざわざ隣県まで足を延ばしていた人もいるのではないか。このような地域にツルヤが出店するとやはり支持されるのだ。
PBを強化する一方で、一般的なSMであればある程度の売上が確保できるであろう売れ筋のナショナルブランド(NB)商品は主動線やアイライン上には置かれていないうえ、品揃えも縮小されている。まさに「ここはNBを買いに来るところではありませんよ」と言わんばかりの売場なのだ。そのため、「ツルヤのあのPBが欲しい」というような目的買いでの使い方はできるが、日常品をフルラインで購入するとなると少し物足りなさもあった。今回の訪問では以前より鮮魚や日用品の品揃えは拡大されたようには感じるが、逆に自社PBだけに絞り、コンパクトなセレクトショップのような店づくりも面白そうだと感じた。
量目やサイズの調整で「高い」という印象を与えない
店内の
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