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オススメの一冊、『奇跡の小売り王国「北海道企業」はなぜ強いのか』

『奇跡の小売り王国「北海道企業」はなぜ強いのか』
浜中淳=著(講談社刊/1200円〈本体価格〉)

  家具・インテリア販売のニトリホールディングス(HD)、ドラッグストアのツルハHD、ホームセンターのDCM HD。いずれも各業界でトップクラスの売上を誇る企業である。これらの企業の共通点は何か。それはいずれも北海道発の企業だということだ。北海道ではさらに、顧客満足度コンビニ部門でセブン-イレブンを上回ったセコマをはじめ、いくつもの優秀な企業が生まれている。なぜ北海道からは強い小売企業が続出するのか。本書は、北海道新聞で長年業界の取材経験がある浜中淳氏が、その謎を解明すべく「ダイヤモンド・チェーンストアオンライン」で連載していた「新・北海道現象の深層」を書籍化したものである。

 本書は全6章構成で、北海道という特殊な事業環境の特徴を解説するとともに、北海道の有力企業がこれまでに打ち出してきた戦略についての綿密な取材を通じて、各社の強さの秘密を明らかにしている。

 第5章「セブン‐イレブンも勝てなかったコンビニ」では、前述したセコマの経営戦略について解説している。著者は同社の強みの1つに「変化対応」の先を行く「変化を先取りする力」を挙げる。セコマには同社が「リテールブランド」と呼ぶプライベートブランド(PB)商品が1000種類以上もある。また、丼物などを店内調理する「ホットシェフ」コーナーもセコマの強みだ。

 オリジナル商品は他社との差別化に重要な役割を果たしており、今では多くの食品小売企業がPBを開発している。しかしセコマはこうしたPBの開発に他社より早く取り組んでいた。セブン&アイグループのPB「セブンプレミアム」が2007年、ローソンの店内キッチン「まちかど厨房」は11年なのに対し、セコマはホットシェフの展開を1994年に、PBの販売を95年に開始しており、大手コンビニより10年以上早い。こうしたセコマの先見性の高さは、実質的な創業者である赤尾昭彦氏によるところが大きいと著者は主張する。

 広大な土地を有する北海道は物流コストが高いほか、人口も少ないため購買力も低い。こうしたなかで小売各社は生き残りをかけてさまざまな策を講じてきた。本書を読めば、北海道企業の躍進の秘密がわかるはずだ。

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