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平和堂最新決算、ネットスーパーに小型店開発… 積極投資の内訳

 平和堂(滋賀県/平松正嗣社長)が発表した2022年2月期決算業績(連結)は増収増益。引き続き巣ごもり需要を取り込み堅調に推移している。決算説明会で同社は今後の投資計画、新たに開発中の店舗モデルについて明らかにした。

平和堂が22年3月に開業した「ビバホーム一宮店」(愛知県一宮市)

営業収益、経常利益
当期純利益は過去最高

 平和堂の2022年2月期連結決算は、営業収益が対前期比0.1%増の4397億円、営業利益が同9.4%増の153億円、経常利益同が12.6%増の169億円、当期純利益が同9.5%増の106億円の増収増益で、営業利益以外は過去最高となった。
 
 単体では、営業収益が同0.3%減の3884億円、営業利益が同1.9%増の138億円、経常利益が同0.7%増の151億円、当期純利益が同5.0%増の99億円。緊急事態宣言発出による休業・営業時間短縮が影響し9期ぶりの減収となったが、過去最高だった前期に次ぐ過去二番目の実績となった。既存店売上高対前期比は1.1%減、このうち食品の売上高は同1.0%減だった。

 利益については、生産性向上による人件費の抑制、および前期に支給した特別感謝金・期末賞与の反動もあり、増益を達成している。

生産性向上施策で
総労働時間を大きく削減

 収益性を高めるための施策として、平和堂では19年2月期より、本部の業務改革をはじめとして生産性向上の取り組みを活発化してきた。

 その効果について平松正嗣社長は「22年2月期までに総労働時間を18年2月期比で8.9%削減する一方で、人件費単価は同7.4%アップさせるなど待遇改善を進めてマンアワーをコントロールしてきた。直接人件費は同2.2%減になっている」と述べている。

既存店改装や
ITシステムに積極投資

 22年2月期の設備投資は93億円で、前期比で約30億円減少した。これは新規出店数の差(前期4店、当期1店)によるもので、「既存店改装や、ITへの投資は増えている」(平松社長)という。

 ではどのような投資を行ったのか。既存店改装では、平和堂は14年より食品売場の改装を推進。21年以降は、“第2ステップ”として、衣料品や住居関連品、テナント・コミュニティゾーンといったショッピングセンター(SC)全体の付加価値を高める改装に移行している。

 たとえば22年2月期は「アル・プラザ鶴見」(岐阜県大垣市)では衣料品や住居関連品売場を活性化したほか、「アル・プラザ武生」(福井県越前市)では、健康測定コーナーを併設した多目的スペース地域サロン「おとなRe」を設置した。

 IT関連投資については、日配品のAI需要予測発注システムを全店に導入。これによりAI活用により「発注業務時間90%削減」を目標に進めてきた取り組みは、約80%の削減にまで達成なっているという。また、22年2月から、独自のスマホ決済アプリ「HOPウォレット」をスタートさせている。

平和堂は22年2月、独自のスマホ決済アプリ「HOPウォレット」サービスを開始した

ネットスーパーを
第4四半期に開業へ

 2023年2月期の設備投資は前期よりも100億円以上多い、204億円を計画する。内訳は、店舗改装が50億円、システム投資が46億円、その他が53億円。その他は、23年5月に稼働予定の新デリカセンターへの先行投資分である。新デリカセンターの建設費用は合計で約85億円を計画している。

 改装投資については食品売場だけでなく、全館をリフレッシュさせる改装に。衣・食・住全館改装を4店、食品大改装を5店、食品小改装を5店、衣・住・改装を5店で行う考えだ。

 システム投資は、AI需要予測発注システムの活用を生鮮部門にも拡大させるほか、独自の電子マネー「HOPマネー」の機能拡充、セミセルフレジの導入などを計画する。さらに第4四半期にはネットスーパーをスタートさせる予定だ。
 今期の新規出店は1店で、すでに22年3月に「ビバホーム一宮店」(愛知県一宮市)を開業している

過疎化エリアに展開する
小型店モデルを開発中

 特筆したいのは平松社長が語った、今後の店舗開発の方針だ。都市型300坪モデルの標準化、100~150坪の小型店の開発を進めていきたい方針だ。
「今後も現在商勢圏とする2府7県へ出店を行う、大阪・京阪神、愛知の大都市圏においては場所も限られ、家賃も高い。こうした環境下で戦うには、都市型300坪モデルが必要で、『西淀川千舟店』(大阪府大阪市)で標準化の実験を実施している」(平松社長)という。
小型店はドミナントエリアのすき間を埋めるだけでなく、過疎化が進行するエリアに対応できるモデルも開発したい考えで、23年2月期中に実験店舗を出店する計画だ。

 2023年2月期の連結業績予想は、営業収益が4090億円、営業利益が141億円、経常利益が159億円、親会社株主に帰属する当期純利益が93億円を見込む。
 23年2月期から「収益認識に関する会計基準」を採用することで、営業収益が連結で同370億円減、単体で250億円の減額になるが、旧基準との比較では順に1.4%増、2.2%増となる。営業利益は12億円の減益予想だが、光熱費の増加と、設備投資に伴う一時費用、減価償却費の影響が大きい。
 平和堂の商勢圏には価格訴求で勢いのあるロピア(神奈川県)が進出するなど、商勢圏内の競合環境に変化が生じている。価格競争が激しくなるなか平松社長は「平和堂はハレの日や旬、少しいいものを含めた総合的な品揃えを強みとする。価値と価格のバランスをとらえた品揃えを徹底していきたい」と語っている。