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マツキヨココカラ&カンパニーのトップに聞く!経営統合後、次の一手とは?

2021年11月19日、マツキヨココカラ&カンパニーは経営統合後初となる決算説明会をオンラインで開催した。旧マツモトキヨシホールディングス(マツモトキヨシHD)と旧ココカラファインの22年3月期第2四半期(上期)までの業績説明に加え、統合後の重点戦略などが発表された。

同じ志を持つ「仲間」が集い、連合体構想を実現

2021年11月19日、マツキヨココカラ&カンパニーは経営統合後初となる決算説明会をオンラインで開催し、統合後の重点戦略などが発表された。

──決算説明会の冒頭、マツキヨココカラ&カンパニーの松本清雄社長は次のように話した。

マツキヨココカラ&カンパニー代表取締役会長松本南海雄(左)
マツキヨココカラ&カンパニー代表取締役社長松本清雄(右)

松本社長 2020年4月の(ココカラファインとの)資本業務提携から始まり、シナジー獲得に向けた活動や両グループの機能別の協議、経営統合を見据えた戦略の策定などに取り組み、予定どおり21年10月1日に経営統合を果たした。これからは同じ1つのグループとしてさらに幅広い活動が行える。旧マツモトキヨシHDの強みと、旧ココカラファインの強みを最大限に活用し、経営目標の達成に向けて取り組んでいきたい。当社グループはグループ理念、グループビジョンの実現に向けて、さらなる両グループの融合を早期に図り、常にお客さまに寄り添える企業として社会・生活のインフラとなるべく、戦略を実行していく。さまざまな課題に適切に対処していくことで、美と健康の分野でアジアナンバーワンをめざしていく。

 当社グループは「美と健康」の分野でのリーディングポジションを確立すべく、26年3月期にグループ売上高1.5兆円、営業利益率7.0%を経営目標として設定している。これは、現在の当社グループのみの成長に加え、社名の「&カンパニー」の由来にある「仲間」という意味が示すとおり、同じ志を持つ「仲間」が集い、連合体構想を実現していくという2つの軸で達成していく目標だ。依然として新型コロナウイルスによる影響が不透明な状況だが、人々の毎日の生活や地域に対してより身近な存在であり続けられるよう常に挑戦を続けていく。

──旧マツモトキヨシHDの業績については次のように話した。

松本社長 22年3月期第1四半期は前年と比べて繁華街などに人が戻り、都市型店舗を中心に回復傾向となったことや、天候に恵まれたことでシーズン品が好調に推移した。第2四半期は、前年のマスク・除菌関連などの需要の反動があり、前年と比較すると厳しい状況で推移した。また、西日本の長雨など天候不順の影響もあった。利益面においては、減額されていた店舗の家賃が通常に戻るなど、販売費および一般管理費(販管費)は前年より増加した。一方で、現在の状況に合わせた経費コントロールの徹底や売価の適正化、プライベートブランド(PB)商品の販売拡大などの継続した取り組みのほか、前年からの旧ココカラファインとの経営統合に向けたシナジー創出の取り組みも寄与し、上期は増収・増益となった。

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統合で店舗数は国内ダントツの3299店舗へ

──続いて、マツキヨココカラ&カンパニーの塚本厚志副社長が旧ココカラファインの22年3月期第2四半期までの業績について説明した。

マツキヨココカラ&カンパニー代表取締役副社長塚本厚志

塚本副社長 売上高計画については、期初計画は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が第2四半期以降徐々に回復すると仮定した前提条件に基づいて算出した数値だったが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し厳しい状況が続いた。とくに7~9月までの3カ月、第2四半期においては既存店増収率の対前期比1.4%増の計画に対して同5.8%減の実績となり、乖離(かいり)幅が大きくなった。その結果、上期の既存店増収率は同0.4%増の計画に対して同4.8%減となった。全社ベースで約100億円の減収となったが、この要因としては卸事業における取引先数減少の影響(約140億円の減収)などがあった。調剤事業におけるM&A(合併・買収)や新規出店等により、コア事業であるドラッグストア(DgS)事業・調剤事業においては対前期比2.1%増と増収を確保できた。この結果、売上高は同5.3%減の1817億円となった。

 売上総利益率は前年同期の28.0%から3.8ポイント(pt)改善し31.8%となった。これはDgS事業において、前下期に実施したマーチャンダイジング統一による1.2ptの粗利益率改善と、利益率の低い卸事業の売上構成比が下がり、調剤事業の売上構成比が上昇したことによる利益ミックスの改善が主な要因だ。

 販管費においては、店舗作業の効率化やコロナ禍での人件費、賃借料、営業費等のコントロールを行い、対計画比で約21億円の圧縮を行った。上期については新型コロナウイルスの影響で厳しい状況が続いたが、旧マツモトキヨシHDとのシナジー創出への取り組みや調剤事業の好調も継続し、営業利益は同1.0%減にとどめることができた。

 上期における出退店は、出店67店舗、閉店16店舗。店舗の純増数は51店舗となった。M&Aや併設化等によって調剤取扱店舗が50店舗増えている。「健康サポート薬局」は90店舗、「敷地内薬局」は4店舗となった。引き続き地域医療との連携強化により、地域包括ケアシステムの構築を推進していく。ココカラファイングループ(神奈川県)においては、引き続き収益改善に向けまい進していく。

──21年9月末時点で、旧マツモトキヨシHDは1787店舗(うち調剤取扱358店舗)、旧ココカラファインは1512店舗(同469店舗)を展開している。両社合計では国内DgS企業の中ではダントツの3299店舗(同827店舗)となる。

バーチャルでのサービス展開、自社での宅配網構築も検討

──オンラインの決算説明会では、マツキヨココカラ&カンパニーの松本貴志専務取締役が同社の主要な重点戦略について説明した。

マツキヨココカラ&カンパニー専務取締役グループ営業企画統括松本貴志

松本専務 マツキヨココカラ&カンパニーの戦略は、国内とグローバルの両方をとらえており、国内においては「お客さまのライフステージに応じた価値提供」をめざして、利便性、独自性、専門性を追求した活動を行う。また、グローバルにおいては「アジア市場でのさらなるプレゼンス向上」をめざして、グローバル事業のさらなる拡大を図る。

 国内ではお客さまによりよいサービスを提供していくために、デジタル戦略を推進していく。従来の店舗ではサービスだけではなく、バーチャルでのサービス展開など、同業の中では独自性の強い変革にも取り組む。また、私たちには3000を超える店舗と多くの人材がいる。この経営資源をお客さまの利便性向上につなげるため、店舗をハブとした自社での宅配網の構築も行っていきたい。PBや新業態の強化にも継続して取り組み、マツキヨココカラ&カンパニーならではの専門性の高い体験を提供することで、「美と健康」分野のトータル的な価値を高めていく。

 海外戦略について、現在は新型コロナウイルス感染拡大でインバウンド縮小や現地店舗の休業を余儀なくされている。ただし各国の出入国規制は徐々に緩和されてくると考えており、インバウンドの需要の取り込みに重要な現地SNSフォロワー数を維持する活動を継続する。また、店舗展開においても、タイ、台湾、ベトナムに続く4カ国目となる香港での事業開始について検討が進んでおり、コロナ禍だからこそ確保できた優良物件の交渉も可能となっている。

 現在は国内での統合シナジーを最大化していくことが最重要課題だと理解している。これまでは商品や備品の仕入れコスト抑制、労働生産性の改善など、比較的短期間に効果が上がるものを優先して取り組んできた。今後はお客さまへ提供するサービスを高めるフェーズとなり、店舗やウェブ、アプリや配送などの接点において、利便性、独自性、専門性を高めていく。デジタルによる変革を推進することで、メーカーさまからお客さままでのすべてのステークホルダーに、マツキヨココカラ&カンパニーだけの独自の価値を提供させていただきたいと考えている。

 小誌は21年12月、マツキヨココカラ&カンパニーの連合体構想やシナジー創出の現状、今後の統合作業などについて、同社の松本南海雄会長、松本清雄社長、塚本厚志副社長、松本貴志専務にインタビューを敢行。ついに始動したマツキヨココカラ&カンパニーの次の一手に迫った。

 

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