とくに女性の若年層で
「間食」が増加
ホットペッパーグルメ外食総研では、新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大の影響で食生活にどのような変化があったかを調査した(期間:2021年10月1日~11日)。
また、「朝食と昼食を兼ねる食事(ブランチ)をとる回数」も「増えた・計」が7.2%とやや多かった。
食べる量については、「夜食で食べる量」で「減った・計」が8.9%と「増えた・計」との差が目立った。自宅で過ごす時間が長くなったことや、飲食店が深夜まで営業していないこと等が背景にありそうだ。
「間食」について、より詳しく見ると「増えた・計」の多さ、また「減った・計」との差においても、男性よりも女性で間食の増加が目立つ。「増えた・計」の最多は20代女性の31.1%で、男女ともに年代が若くなるほど「増えた・計」が多くなる。
若い世代ほど
「濃い味付け」を好むように
若者では、味付けの好みについても変化があったようだ。
全体ではコロナ禍で「濃い味付けを好むようになった・計」が7.8%、「薄い味付けを好むようになった・計」が8.0%と均衡しているなか、20代男性では「濃い味付けを好むようになった・計」が14.3%と、「薄い味付けを好むようになった・計」の6.9%を大きく上回っている。
また、20代女性でも「濃い味付けを好むようになった・計」が10.5%と二桁に達した。総じて、男女ともに年代が若くなるほど「濃い味付けを好むようになった・計」が多くなる傾向だ。
摂取意識が高まる
「野菜」「発酵食品」
「善玉菌」「食物繊維」
次に、主要な食物・栄養素について、摂取する意識の変化を聞いた。
「摂取する意識が高まった・計」と「摂取しない意識が高まった・計」の各スコアやその差を見ると、「摂取する意識が高まった・計」の割合が高かったのは、食物では「野菜類」(46.5%)、「発酵食品」(34.5%)。栄養素では「善玉菌(乳酸菌・ビフィズス菌等)」(34.2%)、「食物繊維」(32.4%)などだった。
一方で、「摂取しない意識が高まった・計」の割合が「摂取する意識が高まった・計」を上回った項目は、食物では「酒類」(22.0%)、栄養素では「糖質・糖分」(18.3%)、「脂質・油分」(17.6%)などであった。
自炊を心がけて
家で贅沢なものを食べる
また、コロナ禍で外食の自粛や飲食店の営業時間短縮などがあったなか、増えていると想定される「自炊」についても聞いた。その結果、「自炊をするように心がけるようになった」について、「あてはまる・計」(42.5%)が、「あてはまらない・計」(18.9%)を大きく上回った。
とくに30代女性での「あてはまる・計」が54.9%と全性・年代の中で最高スコアだったことをはじめ、女性で「あてはまる・計」が「あてはまらない・計」を大きく上回っている。コロナ禍では男性よりも女性における考えや行動に変化があったことがわかった。
消費のカギを握る
女性における
見逃せないある傾向
こうした女性におけるコロナ禍での消費行動の変化について、注目されるデータがもう1つある。「外食費が抑えられている分、家で贅沢なものを食べるようになった」について、全性年代計では「あてはまらない・計」(35.3%)が「あてはまる・計」(28.9%)をやや上回った。
ただし、20~40代女性では、「あてはまる・計」が「あてはまらない・計」のスコアを上回った。20~40代女性は、前述の「自炊をするよう心がけるようになった」について、「あてはまる・計」が5割を超えた性年代となっており、自炊を増やして食費が浮いた分、贅沢な食材やメニューを家で楽しんでいると考えられる。
これらの傾向から、食材や中食の売上に大きな影響を持つ女性客へ、自宅でちょっとした「贅沢」が味わえる、非日常感のある提案をすることが求められていると考えられそうだ。
【調査概要】
インターネット調査、調査期間:2021年10月1日~2021年10月11日、
有効回答数:9873人(首都圏、関西圏、東海圏の合計)。
平成30年人口推計に基づいて性別・年代・地域の250区分でウェイトバックを実施)
【執筆者】
稲垣昌宏(リクルート『ホットペッパーグルメ外食総研』上席研究員)
エイビーロード編集長、AB-ROAD.net編集長、エイビーロード・リサーチ・センター・センター長などを歴任し、2013年ホットペッパーグルメリサーチセンター・センター長に就任。市場調査などをベースに消費者動向から外食市場の動向を分析・予測する一方、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や地方創生に関わる活動も行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」