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〈特別企画〉ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品2018 Diamond Home Center

新規機能性、ブランド力、価格が3大要因

 小誌では毎年、ホームセンター(HC)の店頭で業績貢献度の高かった新商品についてHCの商品部にアンケートを実施し、その中で最もポイントの高かった商品を表彰している。14回目を迎えた受賞商品を発表する。

 

● 24社の回答から18商品を選定

表●表彰商品一覧拡大画像表示

 前年夏以降に発売された新商品の中からヒット商品を表彰する、「ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品」は、今年で14回目を迎えた。

 

 今回も2017年10月に、有力HC各社にアンケートを発送し、24社、186人のバイヤーから回答があった。寄せられた回答をもとに、有識者および小誌編集部による分析を行った。

 

 アンケートでは、「DIY用品」、「ガーデニング」、「カー用品」、「ペット」、「リフォーム・住宅設備機器」、「エクステリア」、「インテリア」「家電・照明」、「文具・家庭用品」、「資材」、「プロユース」の11部門を、さらに58の中分類カテゴリーまで設定し、16年夏~17年夏に発売された新商品を対象に、「業績に最も貢献した商品」についてバイヤーに回答してもらった。ブランドとしては既存商品だが、リニューアルやラインアップした商品も一部対象としている。

 

 「年間ヒット商品2018」では、上記18商品を選定した()。

 

● 売場貢献度は「売上高」が6割以上

グラフ1●項目別業績貢献度回答比率
(全部門の平均)
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 どのような指標が売上に貢献しているか、の回答状況がグラフ1である。

 

 18年は、「売上高」、「販売数量」、「利益額」、「利益率」の4つの項目すべてで、回答率が、前年を上回った。

 

 「売上高」は前年から6.3ポイント(pt)上げて、63.2%となり、6割を超えた。販売数量は10pt以上上げて41.6%、利益額は4.9pt上げて21.8%、利益額の回答率も前年から2倍以上になる11.0%となった。

 

● 貢献内容のすべてで、前年から回答率大きくアップ

グラフ2●要因別業績貢献度回答比率
(全部門の平均)
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 次に、具体的に業績に貢献した要因を表したのがグラフ2である。

 

 業績に貢献した要因も、業績の内容と同様にほとんどの項目で、前年から回答率を上げた。

 

 「新規機能性」、「価格(値ごろ感)」、「ブランド力」の上位3項目は変わらないが、「価格(値ごろ感)」の回答率が、前年から6.7ptアップして、33.3%となり、「ブランド力」を上回って、2位となった。

 

 18年の回答率のトップは、前年に引き続き「新規機能性」だった。ちなみに15年のトップは「価格(値ごろ感)」、16年は「新規機能性」である。今年は入れ替わりがなかったが、業績に貢献した要因の主要3項目は、商品がヒットするための要素としてバイヤーが重視していることは明らかである。

 

 これまで、10%前後と回答率が低かった「デザインなどの斬新さ」、「売場提案力(販促強化商品)も20%前後に回答率を上げているのも、今回の回答結果の特徴だ。

 

 今回受賞した商品の中には、作業衣料や安全スニーカーなどのように、専門店のような売場提案をすることで、新規顧客層を獲得する事例もあり、今後はメーカーの提案力もヒット商品の要因としてより重視されていくと考えられる。

 

 

● 売上高を貢献度に挙げた部門から受賞商品続く

表1●販売実績の貢献内容別の部門トップ5
単位%(有効回答数が10社以上の部門から)
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 業績への貢献度の内容の各項目で回答の多かった部門(中分類)のトップ5が表1である(有効回答数が10社以上を対象)。

 

 「販売数量」のトップは、掃除用品だった。同部門からはアズマ工業の「スプレーフロアモップ」がヒット商品として選ばれている。キャットフードからはいなばペットフードの「CIAOちゅ~る」、除草剤から日産化学工業の「ラウンドアップマックスロードALⅡ」が受賞している。

 

 「売上高」では、上位6部門とも80%を超えた。同部門でも除草剤の回答率が高かった。また水回りからパナソニックの「ビューティートワレ DL-EK9」、作業衣料からコーコス信岡の「GLADIATOR>® GCARGO(Gカーゴ)」が受賞した。

 

 「利益額」と「利益率」の両方で回答率が高く上位に入った部門が、小動物・観賞魚と熱中症対策。利益額で回答率40・0%の内装仕上材からは明和グラビアの「リノベシート」が受賞した。

 

● ブランド力の上位5部門から受賞商品続く

表2●販売実績アップの要因に挙げられた部門ベスト5
単位%(有効回答数が10社以上の部門から)
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 貢献した要因の各項目で回答数の多かった部門のトップ5が表2である(有効回答数が10社以上を対象)。

 

 「ブランド力」で1位の除草剤から日産化学工業の「ラウンドアップマックスロードALⅡ」、2位のキャットフードからいなばペットフードの「CIAO ちゅ~る」、3位の薬剤からアース製薬の「やさお酢」、4位の水回りからパナソニックの「ビューティートワレ DL-EK9」、5位のドッグフードからユニ・チャームの「グラン・デリ」が受賞した。いずれの商品も、ブランド力の高さが明らかだ。

 

 「新規機能性」では、塗料部門が昨年に引き続きトップだった。4位の文具・オフィス用品、5位の掃除用品は、毎年、新規機能性が評価されてヒット商品が誕生する部門だ。

 

 「価格(値ごろ感)」は、前年に2位だった電気・照明が1位となった。同部門からはアイリスオーヤマの「LEDシーリングライト」が受賞。同部門は16年までは3年連続して1位だった。家電量販店やディスカウントストアとの価格競争に勝つことがヒットする要因の背景にある。

 

 また、昨年5位だったカーテン・ブラインドが今年は2位、同様に昨年3位の水回りは今年5位だった。これらの部門は値ごろ感が求められる傾向に変わりはないようだ。

 

 「斬新さ(デザインなど)」では、門扉・フェンス、金物が上位に入った。その中で作業用手袋・靴(DIY)が前年に引き続きトップ5に入った。

 

 「売場提案力」では1位に前年に引き続き物置部門が挙がった。同部門からは田窪工業所の「グランプレステージ ジャンプ」が受賞している。

 

 上位には入らなかったが、作業衣料で受賞したコーコス信岡の「GLADIATOR® GCARGO(Gカーゴ)」や、安全スニーカーで受賞した丸五の「マンダムニット」は、専門店と同様な売場づくりが若いユーザー層の獲得につながっており、衣料、靴などでは売場提案が重要になっていることが見てとれる。

 

 「メーカーの広告力」は、園芸・農業機器、キャットフード、調理家電など、メーカーの広告投下量の多い部門が上位に挙がっている。調理家電ではアイリスオーヤマの「IH炊飯器」が受賞した。

 

選定方法
●全国主要HC・約100社にアンケートを発送。2016年夏以降に発売された新商品を対象として、部門ごとに「最も売場に貢献した商品」について仕入れ担当者が回答(季節性のある商品はそれ以前に発売された商品も対象)。回答方式は記名式。上記回答に基づき各カテゴリー1位を決定。有効回答企業は下記の24社(会社名五十音順)。
アヤハディオ、アント、いない、カインズ、カンセキ、グッディ、コメリ、佐久本工機、サンデー、ジュンテンドー、ジョイフル本田、ダイユーエイト、テーオーリテイリング、ナフコ、西村ジョイ、ひらせい、ホームジョイ本田、ホームセンターサンコー、ホームセンターユートク、マキバ、ヤスサキ、ユーホー、ユニリビング、綿半ホームエイド

 

ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品2018


■部門別受賞商品紹介 目次

 

 

〈特別企画〉ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品2018


■ガーデニング:薬剤部門

 

100%お酢なのに効く
初心者でも親しみやすいパッケージ

アースガーデン やさお酢/アース製薬

 

★★★ 選評

適用はあらゆる植物の万能タイプ

 

 ガーデニング薬剤部門は、アース製薬の殺虫殺菌剤「やさお酢」が、圧倒的な票を集めて受賞となった。同部門の受賞商品は、2015年の「みんなにやさしい除草剤 おうちの草コロリ」、16年の「オールスタースプレー」、17年の「スターガードプラスAL」といずれもアース製薬だったので、同社からは4年連続となる。アース製薬の積極的な商品展開が反映されている。

 

 「やさお酢」の成分は100%お酢。あらゆる植物に適用できるのが特長だ。また、アブラムシ、ハダニ、コナジラミ駆除効果と、うどんこ病を予防するだけでなく、発生後の殺虫効果もある。

 

 ヒットした要因は、こうした殺虫殺菌の有効性だけでなく、商品名とパッケージデザインの工夫にもある。それは、ブランド名にお酢の文字を入れたこと。パッケージに「あらゆる植物用」、「退治・予防」をレイアウトすることで、ブランド名の覚えやすさと商品特長のわかりやすさを訴求したことだ。

 

 また商品の裏や側面に記載されている商品特長、散布方法、適用病害虫などの情報は、短時間で理解してもらえるよう、ビジュアルを重視し、アイコン化して見やすくするなどの工夫を施した。同社によると、従来のパッケージでは使用方法が細かく表示されており、効果的な使い方を記載していてもわかりにくいという消費者の不満の声を受けて、顧客目線に立った伝え方が必要だという考えに至ったという。

 

 こうした商品開発が、消費者の購買心理をつかんだことがヒットにつながった。

 

 日用品のマーケティング戦略で培ってきたノウハウを、園芸用品にも積極的に採用し、ユーザーの心をつかんだ結果である。

 

★★★ アンケート結果

安全・安心が高い評価

 

やさお酢の評価
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 最大評価を得たのは、「新規機能性」、「価格」、「斬新さ」、「メーカーの広告力」、「環境・ユニバーサルデザイン」、「ブランド力」の6項目だ。

 

 「アースガーデン」ブランド力は年々広がっており、最高評価を得ている。「新規機能性」についても、あらゆる植物に使えることが高い評価につながっている。同時に食品100%で作られているため、家庭菜園でも安全・安心に使えることが評価されて「環境」でも評価が高い。とくに食品由来の殺虫殺菌剤は以前からも発売されていたが、この数年市場が伸び悩んでいた。食品由来の殺虫殺菌剤市場を拡大する商品として期待されている。「斬新さ(デザインなど)」は、パッケージのわかりやすさが評価された結果だ。

 

 

 マーケット&プロダクト

100%食品成分で退治と予防に効果、使える作物の多さとわかりやすい表示でヒット

 

 アース製薬の園芸ブランド用品「アースガーデン」から2017年1月に発売された「やさお酢」は、100%食品成分の園芸用殺虫殺菌剤だ。

 

 独自ブレンドの食酢を採用し、アブラムシ、ハダニ、コナジラミ、うどんこ病に優れた効果を発揮。2、3日おきの散布を約2週間続けることで、アブラムシの増殖を1ヵ月程度抑えることができる。また成分が食酢100%であるため、収穫し食卓に並ぶ直前まで使用でき、薬剤が気になるユーザーも安心して利用できる。

 

 ガーデニングの害虫駆除において薬剤を使用しない理由として、「成分などが怖い」という声が多く挙げられている。食品由来の園芸用殺虫殺菌剤は04年ごろから登場し、その安全・安心なイメージから順調に伸長していたが、近年は数字が伸び悩んでいた。

 

 同社では、正しい使用方法がわからず効果を実感できていないユーザーが多いと分析。対象植物ごとに商品が分かれるなど限定的な商品が多いなか、「やさお酢」は、野菜・花(観葉植物)・果樹・庭木など、あらゆる植物に使える汎用性の高い商品として開発された。また、既存アイテムが害虫・病気の予防中心であるのに対し、「やさお酢」は予防と退治の両方の効果を持つことで、より使いやすい商品設計となっている。

 

 商品名やパッケージにも工夫を凝らした。園芸用殺虫殺菌剤のパッケージは、商品特長を前面に出すものが多く、商品名がわかりにくいものが多い。「やさお酢」は商品名を中央に縦書きで大きく配置し、「あらゆる植物用」、「退治・予防」といった特長をアイコン的に配置することで、商品特長のわかりやすさ、ブランド名の覚えやすさを訴求している。

 

 また、パッケージの裏面もイラストやアイコンを多用して見やすくなるよう配慮されている。

 

 メーカー(担当者)のコメント

縦書き商品名で視認性高め、使い方や特長をアイコンで表示

 

 近年、安全・安心を求めるユーザーの皆さまにどう応えていくかが課題となっていますが、そんななか、「やさお酢」は多くのユーザーの皆さまに受け入れていただきました。いままでにない縦書きで商品名を大きく配したパッケージは売場での視認性も高く、「やさお酢」というブランド名を覚えていただくきっかけにつながりました。また裏面もアイコンやイラストを多用することで、記載情報がわかりやすく伝わるよう工夫しています。

 

 今期は「やさお酢」のTVCMを5・6月を中心に投入して認知向上を図るほか、園芸関連の雑誌やWebサイトに、使い方を紹介する記事広告を多数出稿し、さらなる商品理解を促進することで使用機会を創出します。また3月にはLINEのアカウントを開設し、植物の画像を送っていただくことで病気の診断を行うといったサービスも予定しています。

 

 今期は新商品として「土にまくだけ害虫退治オールスター」(農薬)を発売いたします。この商品は人気の高いトマト・ミニトマト、キャベツ、いちごなどの野菜・果物から、バラや菊などの花・観葉植物まで300種以上の植物に使える農薬です。植え付け時でも生育途中でも使え、ノズルが付いているため撒きやすい容器になっています。また一般的な農薬と違い、嫌なにおいがしないため、室内の観葉植物などにも気にせず使うことができます。当社では今後も農薬の正しい使用方法など啓発活動に注力し、栽培の喜びを感じていただくことで、ガーデニング人口の拡大に努めてまいります。

 

(マーケティング総合企画本部 ブランドマーケティング部 ブランドマネージャー 佐藤淳氏 )

 

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〈特別企画〉ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品2018


■ガーデニング:肥料部門

 

用途がはっきりした肥料
明快なメッセージが初心者にも伝わった

マイガーデン 元肥用/住友化学園芸

 

★★★ 選評

1.6kgの拡売で認知度がアップ、さらに売上伸ばす

 

 住友化学園芸の粒状肥料「マイガーデン元肥用」は、2011年に700gが発売された。16年に1・6㎏が新たにラインアップされたことで、17年の売上がこれまでを超える実績を挙げたことから、各ホームセンターからも高い支持を集めて受賞となった。

 

 園芸初心者にとって、肥料や薬剤などの資材選択はハードルが高く、結果的にオールマイティーなタイプに行きつく傾向が見られる。「元肥用」はそうした需要を見すえた開発によりヒットし、さらに多く使いたいという声に応えて大容量のタイプを発売した。その後売場での展開が広がり、認知度も高まり、さらに売上を伸ばすことにつながった。

 

 同社の「マイガーデン」シリーズには、「元肥用」、「植物全般用」、「花・野菜用」、「芝生用」、「ベジフル」がラインアップされている。いずれも、元肥としても追肥としても使用できる肥料だが、その中で「元肥用」がヒットしている要因については、商品名が対象植物ではなく、用途を明記した単純明快さがポイントと言えよう。

 

 また、ばらまくだけで、1年間効きめが続くという商品設計や、土に活力を与える腐植酸配合といった付加価値への評価も売上増につながっている。

 

★★★ アンケート結果

4項目で最高評価を獲得

 

マイガーデン元肥用1.6kgの評価
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 「マイガーデン」シリーズの発売からはすでに10年以上がたち、ブランド認知も高まっている。用途がそのまま「元肥用」と商品名に使われているわかりやすさも売上増につながったことから、バイヤーアンケートでは「ブランド力」は圧倒的に高い評価を得て「5」となった。

 

 「新規機能性」は、1年間効きめが続く持続的機能が初心者に受け入れられたことから、最大評価の「5」となった。同様に「5」だったのが、「価格(値ごろ感)」と「斬新さ(デザインなど)」。「価格(値ごろ感)」は、大容量タイプの追加発売に伴い値ごろ感も出たことが評価された。「斬新さ(デザインなど)」も、商品の特長をわかりやすく訴求している点が評価された。

 

 「売場提案(販促)」、「メーカーの広告力」に関しても、住友化学園芸のPOPや広告展開など安定した売場支援を支持する声もあり、「4」という商品開発と販促がバランスの良い評価となった。

 

 

 マーケット&プロダクト

オールマイティーな使いやすさが評価され、大容量品追加の要望が高まった

 


拡大画像表示 「マイガーデン元肥用」の店頭販促物(例)
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 「マイガーデン元肥用」は2011年に700g入りで発売された商品。その後16年に大容量の1.6kg入りが追加でラインアップされ、今期のヒット商品に選ばれた。

 

 「マイガーデン」シリーズは、06年の発売から、カラフルなパッケージデザインに加え、ばらまくだけで長く効果が持続する手軽さが高く評価され、市場に広く受け入れられた。住友化学園芸でも、肥料の主力商品のひとつとして継続的にラインアップ強化を推進してきた。

 

 同シリーズは、共通の特長として、粒状の肥料を樹脂コーティングする同社独自のリリースコントロールテクノロジーを採用。土壌の温度変化に合わせて樹脂コーティング表面のすき間が開閉(暖かいと孔が開き、寒いと閉じる)することで、植物の生育に合った適切な量が溶け出す設計となっていることが最大の特長だ。

 

 加えて、高濃度の腐植酸を配合。腐植酸は植物が肥料を吸収しやすくする働きや、土壌の保水性、通気性を高めるなど、土に活力を与える作用がある。腐植酸入り緩効性肥料として住友化学株式会社が特許を取得している。

 

 「マイガーデン元肥用」は、よりオールマイティーに使用できる肥料として開発され、発売直後から高評価を得た商品。同品は、溶出スピードの異なる肥料をブレンドした「2ピークブレンド」によって、比較的速く効く肥料成分と、長く効く肥料成分の2つがバランスよく溶け出しながら、1年間安定的な肥効が持続することも大きなメリットのひとつ。

 

 こうした商品設計によって、面倒に思われがちな施肥作業をビギナーでも安心して行うことができるようになったことで、園芸の間口を広げることに寄与している。もちろん、店頭においてもさまざまな顧客層に対して、安心して勧められる、扱いやすい商品としての地歩を固めてきた。

 

 メーカー(担当者)のコメント

独自の技術開発で使い勝手のよい商品を提供し続ける

 

住友化学園芸 営業部長
彦阪 衛氏

 「マイガーデン」シリーズは、当初元肥にも追肥にも使用できる、ばらまくだけで利便性の高い肥料として「植物全般用」、「バラ用」、「芝生用」の3アイテムを発売しました。「マイガーデン元肥用」は、植物別ではなく、よりオールマイティーな汎用型の肥料として追加でラインアップされた商品です。

 

 元肥をデリケートな植え替え時の苗に与える場合、肥料が効き過ぎて苗に負荷がかかったり、濃度が合わずに“肥料やけ”という問題が出てくる場合があります。これを防ぐべく植物の生育状況や温度に合わせて適切な量を溶出させるリリースコントロール(温度対応溶出)技術を採用。元肥として安心して手軽に使用できる商品をめざして開発を行いました。

 

 お客さまにとって使い勝手がよく、においもないため、ベランダ園芸にも便利にお使いいただいておりますが、もっと多く使いたいというご要望があったため、16年に大容量1.6㎏入りを発売いたしました。すでに主力商品として定着しており、今回選んでいただいたことは大変ありがたいと思っています。

 

 今後もお客さまの要望やニーズに的確に対応する商品を開発し、ガーデニング層の拡大や市場の活性化に寄与していきたいと考えております。

 

(住友化学園芸 営業部長 彦阪 衛氏)

 

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〈特別企画〉ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品2018


■ガーデニング:園芸(農業機器)部門

 

コンパクトなデザインながら
抜群な機能性でヒット商品に

充電式草刈機/工進

 

★★★ 選評

軽量コンパクト、トリマーとしての活用も可能

 

 ポンプ・噴霧器でトップメーカーの工進が、2017年3月に、充電式草刈機「スマートコーシン」シリーズを発売し、本格的に草刈機市場に参入した。本格的なタイプもあるなかで、「おうちまわりの草刈りに」をキャッチコピーにした「SLT‐1820」(ナイロンコード式)を中心にホームセンター(HC)の店頭でヒットした。

 

 同商品のサイズは、950~1170㎜の伸縮タイプでコンパクト。補助ハンドルの角度も変えられるので、狭い個所などでも取り回しが楽なことが特徴だ。本体重量も2・4kgと軽量なので女性でも簡単に使える。さらにヘッドの角度を変えることで垂直面でも刈れるので、垣根などのトリマーとしても使用できる。

 

 また、本体が自立するので小休止や収納時にも便利なこと、安全性を考慮して飛散防止カバーを一般品よりも大きくしたことなどで、消費者から支持を集めた。

 

 草刈機としては、初めての参入となったため、はじめは動きが鈍かったが、夏以降流通での認知度も高まり、メーカー希望小売価格が1万8200円(税別)と値ごろ感がありながら高機能であることから販売台数を伸ばした。

 

 「SLT‐1820」のほか、「スマートコーシン」シリーズとして、「ガーデニングから農作業まで」とした本格的な草刈機もラインアップ。こちらはチップソー式で、36Vと18Vの2タイプを発売している。

 

★★★ アンケート結果

「新規機能性」、「価格」、「斬新さ」で高評価

 

充電式草刈機の評価
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 草刈機の市場では初参入だったため、「ブランド力」は「4」となった。一方、「新規機能性」、「価格(値ごろ感)」、「斬新さ(デザインなど)」の3つの項目では、最大評価の「5」となった。

 

 垂直方向での使用が可能なこと、自立すること、軽量コンパクトの設計、大きめのカバーなど、一般ユーザーの使用をイメージした製品づくりが、売上に大きく貢献した。こうした機能面の充実に加えて、店頭価格が2万円を大幅に切ることも、高い評価につながっている。

 

 「売場提案力(販促)」、「環境・ユニバーサルデザイン」の評価は「4」。機能性をアピールする告知を店頭で積極的に行ったことと、女性でも気軽に使えることやさまざまな場所で機能を発揮することなどが評価された。

 

 従来の草刈機のイメージを一新し、同市場に一石を投じた商品となった。

 

 

 マーケット&プロダクト

「簡単」に使える充電式の草刈機

 

 工進の「スマートコーシン」シリーズの充電式草刈機は、「簡単」、「パワフル」、「お求めやすい」をキーワードとする注目製品だ。家庭菜園やガーデニングといったシーンで手軽に草を刈れ、女性を中心に強い支持を獲得している。

 

 金属の丸鋸を回転させるチップソー式と、ひも状のナイロンで草を刈るナイロンコード式の2種類をラインアップしている。チップソー式は、用途に応じ、36Vと18Vの2タイプのモーターから選べる。ナイロンコード式は18Vのみ。

 

 一般に、草刈機(刈払機)といえばエンジンを搭載したタイプが主流で、いまも圧倒的なシェアを誇る。とはいえ使用するには、燃料のガソリン、または混合ガソリンを入れなければならないことに加え、定期的なメンテナンスも必要とする。これに対し、工進が採用する充電式はバッテリーを装着するだけで「簡単」に使うことができるため、年々、需要が拡大している。

 

 ただ充電式の弱点は、パワー面で劣ることだ。これに対して工進は、独自の技術、設計で、日常的な使用に十分、耐えられる力強い駆動を実現した。実際に購入したある男性は「中速(の設定)で、エンジン式と同じくらいの使用感がある」と満足気に話す。

 

 同等のスペックを備える充電式草刈機と比べ、約半額と、「お求めやすい」価格も魅力。また住宅地でも安心して使える静音性も大きな特徴となっている。

 

 工進では2018年、さらに拡販する計画といい、HCの仕入れ担当者からの期待は高まっている。

 

 メーカー(担当者)のコメント

独自の技術開発で使い勝手のよい商品を提供し続ける

 

商品戦略推進室 係長
吉原慎一郎氏

 当社にとって初めてのカテゴリーとなる草刈機を開発するに当たり、市場に流通するあらゆる製品を実際に手に取り分析、研究に研究を重ねました。そうして完成した当社の製品は、多くの方に満足いただける製品になったと自負しています。

 

 初めて使用するお客様に安心して使って頂きたいと考えた製品であるため、第一に考えたのは、安全面。草を刈る部分にある飛散防止カバーを一般品よりも大きくし、作業時に石などが飛んでくるのを防いでいます。また女性の手にもフィットしやすいよう、モーターを稼働させるグリップを小さくしました。収納や乗用車での持ち運びも簡単に行えるよう、本体は分割できる構造を採用しています。もちろん従来の草刈機よりもパワー面を強化、使い勝手のよい製品に仕上げました。

 

 2017年3月、満を持して発売を開始したものの、当初は苦戦しました。従来の充電式草刈機のイメージが強く、とくに性能面で期待する人は多くなかったからです。これに対し、当社ではHCの担当者様に、当社の製品を実際に体験してもらうほか、価値を訴求する活動にも力を入れたことで徐々に動き始め、現在は好調に推移しています。

 

 当社では今後、草刈機のようにバッテリーで動く製品を順次、投入し「スマートコーシン」シリーズの拡充を進めていく方針です。今年3月には、シリーズ第2弾となる、充電式の噴霧器を発売する予定です。

 

 これからもお客様の困り事、不満を解消するような製品開発に力を入れることで、新たな市場を創造、ひいてはHC企業様の売上、利益に貢献できればと考えています。

 

(商品戦略推進室 係長 吉原慎一郎氏)

 

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■作業用品:資材(作業衣料)部門

 

スタイリッシュかつ作業性が人気
作業衣料から初の受賞

GLADIATOR® G-CARGO(Gカーゴ)/コーコス信岡

 

★★★ 選評

若者から高い支持を集める

 

 作業衣料部門からは、2016年秋に発売されたコーコス信岡のワークパンツ「Gカーゴ」が受賞した。「ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品」は05年からスタートして、今年で14回目を迎えるが、作業衣料部門から具体的に商品が選ばれたのは、「Gカーゴ」が初である。

 

 ホームセンター(HC)で販売される作業衣料は、どちらかというと軽作業衣料が中心だったが、各メーカーが販売チャネルとしてHCに注目し、機能面でこだわりを持ちブランド力も全面に打ち出した商品を、積極的に提案するようになっていることが背景にある。

 

 「Gカーゴ」がヒットした要因のひとつが、若年層の顧客にも支持されたことだ。それによって、HCの作業衣料売場の需要を広げることができた。作業用衣料には、デザインを備えることが求められるようになっている。「Gカーゴ」は街中のカジュアルウエアとして穿いても違和感のないフィット感があることから若いユーザーに支持された。

 

 機能面も、ストレッチ生地により伸縮性に富み、腰の部分は体にフィットする「ビンテージタイプ」を採用。股の部分にマチを設けることで、股が裂けにくく、動きやすい仕様を採用した。またファスナーには「YKK製3YG」を使用、頑丈でズリ落ちない工夫も施している。

 

 スタイルも「スタイリッシュ」、「ミリタリー」、「クロスオーバー」、「ワイルド」の4タイプを用意、自分の使用シーンやスタイルの好みで、選べる品揃えをしていることもヒットした要因である。

 

★★★ アンケート結果

衣料専門店と同様な売り方提案が高評価

 

Gカーゴの評価
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 作業衣料部門でもメーカーが積極的にブランドを投入するようになって、評価ポイントでも「ブランド力」が大きな要素になっているようだ。同様に最高評価の「5」となったのは、「新規機能性」、「斬新さ(デザインなど)」と「売場提案力(販促)」である。

 

 「新規機能性」と「斬新さ(デザイン)」ともに「Gカーゴ」の街中で穿いても違和感のないデザインや、穿き心地のよさ、動きやすい機能などが評価されている。機能面とデザイン面は作業用衣料にとって重要な要素だ。売り方についても、従来の什器に吊しの状態で販売しているだけでは、作業用衣料の需要は広げられない。衣料専門店のデニムパンツ売場と同様な什器や販促が重要だ。「売場提案力(販促)」が最高評価だったのは、コーコス信岡の提案力が評価された結果である。

 

 

 マーケット&プロダクト

一見、おしゃれな“カジュアルパンツ”。中身は過酷な現場に耐える“ワークパンツ”

 

 コーコス信岡が作業用衣料のブランドとして展開する「グラディエーター」。その中、ワークパンツの新しいシリーズとして2016年秋、登場したのが「Gカーゴ」である。ストレッチ素材を使っており、実際の作業シーンを想定した動きやすさを実現している。

 

 「剣闘士」を意味する「グラディエーター」は、ラテン語でローマ軍団の主要な武器「剣」、つまり「ディウス」に由来する。日々、現場で汗を流し活躍するワーカーを、剣闘士の姿に重ね、「戦う男の鎧よろい」を提供したいというコーコス信岡の思いを込めたブランドだ。

 

 「Gカーゴ」は、一見、おしゃれでカジュアルなスタイルだが、機能の面において、作業に求められ、過酷な現場での使用にも十二分に耐えられるスペックを備える。

 

 コーコス信岡のモノづくりへの姿勢は徹底している。腰の部分は体にフィットする「ビンテージタイプ」。さらに股の部分にマチを設けることで、股が裂けにくく、動きやすい仕様を採用した。ファスナーには「YKK製3YG」を使用、頑丈でズリ落ちないよう工夫するなど、「5つのこだわり」を掲げている。

 

 ラインアップでは「スタイリッシュ」(4色)、「ミリタリー」(2色)、「クロスオーバー」(2色)、「ワイルド」(2色)の4つのテイストを用意、好みやコーディネートによって、選べる品揃えをしているのも大きな魅力となっている。またSから6Lまでと、幅広いサイズを取り揃えているのも同社製品の特徴で、より多くの人のニーズに応えられるシリーズとなっている。

 

 メーカー(担当者)のコメント

独自の技術開発で使い勝手のよい商品を提供し続ける

 

 カーゴパンツの起源は「カーゴ」、つまり「貨物船」の乗務員が着用していた「作業着」だといわれています。

 

 現在、カジュアルファッションでは定番ですが、ファッション性だけを追求した商品が目立つのが現状です。当社では、カーゴパンツの原点に戻り、本来、ワークの現場に求められる「頑丈さ」、「使いやすさ」に、カジュアルの格好よさを付加したシリーズを3年をかけ開発しました。

 

 社内では当初、「カジュアル過ぎる」「細すぎるのではないか」といった声もありましたが、発売後は飛ぶように売れ、販売数は計画の5倍以上となる、空前の大ヒット商品となりました。販売実績を分析すると、とくにMサイズ(75~80cm)が従来品に比べて多く売れており、比較的華奢な10~20歳代の若い世代に支持されているとみられ、新たな年齢層の獲得につながっているのではないかと考えています。

 

 ワークウエアのDNAを受け継ぎ、さらにファッション性を備えた「グラディエーター」は、仕事でも普段でも着られるブランドとして、年々、ファンを増やしています。当社では今後も、まじめなモノづくりに取り組み、「着てわかる良さ」を追求していきます。なお、このたび受賞いたしました「1stモデル」に引き続き、「2ndモデル」を今秋に発売予定です。さらに進化したラインアップになっておりますので、ご期待下さい。

 

(コーコス信岡 企画部 企画課 課長 林威喜氏)

 

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〈特別企画〉ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品2018


■作業用品:資材(安全スニーカー)部門

 

デザインと安全性に加えて快適性も備えた
画期的な安全スニーカー

マンダムニット/丸五

 

★★★ 選評

新素材を採用して通気性を追求

 

 安全スニーカーは近年、デザイン性が高まっている。従来のようなブラック一辺倒の色合いから、カラフルなデザインが採用され、一見すると街中で履くスニーカーとまったく遜色のないタイプが発売され、人気を得るようになっている。これは、作業着も少しでもおしゃれにというニーズが大きくなっているためだ。

 

 安全スニーカーの場合、デザイン面での斬新さを追求することができても、安全性を担保するためには一定の強度を靴に持たせなければならず、そのために履き心地や快適性を追求するのは難しかった。2017年の安全スニーカーの部門でヒットした丸五の「マンダムニット」は、デザイン、安全性と同時に快適性も追求したことが、ユーザーの支持を集めることとなった。

 

 独自のニット素材「ZEROSTRESS KNIT(ゼロストレスニット)」と、最も発汗しやすい足裏部にベンチレーションを搭載することで、いまだかつてない通気を持たせている。これらにより、おしゃれで斬新なデザインと、柔軟性、通気性にも優れた、ストレスのない快適な履き心地を実現させた。

 

 丸五が展開する安全スニーカーのブランド「マンダム」は、同社の基幹ブランド。これまでの「マンダムセーフティ」シリーズに、「マンダムニット」がラインアップされたことで、丸五の安全スニーカーの提案力も強化されることになった。今後のホームセンターの安全スニーカー売場の期待を背負った商品である。

 

★★★ アンケート結果

専用のPOPと販促物で専門店のような売場提案

 

マンダムニットの評価
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 最大評価を得たのは「ブランド力」、「新規機能性」、「斬新さ(デザインなど)」、「売場提案力(販促)」の4項目だ。安全スニーカーの「マンダム」のブランド力は高く、ヒット商品となったのもブランド力に負うところが大きい。「新規機能性」は、独自のニット素材を採用し通気性を高めたことで高い評価を集めている。「斬新さ」は、靴のデザイン面が評価されたため。ローカットで3色、ミドルカットで2色をラインアップしたが、いずれも「マンダム」の「M」のロゴを配したベーシックなデザインがうけている。

 

 近年安全スニーカーも、シューズ専門店のような専用什器で展開することが求められている。メーカーが用意した専用のPOPや販促物をフルに活用した事例が多く、こうした売場提案も高評価となった。

 

 

 マーケット&プロダクト

デザインと機能性を両立させた安全スニーカー

 

 丸五が2017年4月に発売した「マンダムニット」は、スタイリッシュなデザインと、高い機能性を両立させた安全スニーカーである。

 

 「マンダム(mandom)」は、同社が展開する安全スニーカーのブランドで、「賢者」を意味する「man of wisdom」に由来する。頭文字の「M」をモチーフにしたロゴマークは、丸五が長年、靴を製造してきた本社工場ののこぎり屋根を表現、同ブランドが持つ技術、知恵により、安全、安心を提供することを約束している。

 

 「マンダムニット」の特徴は、独自のニット素材「ZERO STRESS KNIT」を使っている点である。これにより従来の安全スニーカーにはない、おしゃれで斬新なデザインとともに、柔軟性、通気性にも優れた、ストレスのない快適な履き心地を追求した。

 

 靴の内側、足の裏が接する部分は、ベンチレーションを採用することで通気性を確保。さらに靴底には、油が付着しても変質しにくい耐油ラバーを使っており、高い耐久性も実現している。

 

 ラインアップには、ローカットタイプの「マンダムニット#001」、ミドルカットタイプの「マンダムニット#002」があり、#001は「オレンジ/ネイビー」、「グレー/ブラック」、「ブルー/ブラック」の3色、#002は「レッド/ブラック」、「グレー/ブラック」の2色を展開。

 

 丸五では今後、「マンダムニット」ブランドのラインアップをさらに拡充させる方針だ。ホームセンター(HC)企業の仕入れ担当者からの期待はさらに高まりそうだ。

 

 メーカー(担当者)のコメント

安全、安心のブランドとして認知されたい

 

 「マンダムニット」は、弊社が展開する安全スニーカーの基幹ブランド「マンダム」において、当社が満を持して出した新シリーズです。おかげさまで発売後の売上は好調で、当初の計画比で、約4割増の水準で推移しています。

 

 ユーザーさまの声に耳を傾け、それらを商品に反映させるのが当社の商品開発の方針です。「マンダムニット」の開発に当たっても、イベントなどに来られた方に直接話を聞くほか、アンケート調査などを通じて得た多くのご意見、ご要望を参考にしました。

 

 安全スニーカーに対する不満の要因で多いのは、「ムレる」、「においが気になる」といったものです。これに対し、当社では独自のニット素材や構造を工夫することで解決を図っています。

 

 近年、スポーツシューズで使われているニットですが、「素材として弱いのでは」と思っている方は依然として多いようです。しかし強度を調べる磨耗強度テストによれば、一般的に使われるキャンバス素材に比べ、約8倍の強度があることが証明されており、安心してお使いいただける商品だと自負しています。

 

FW商品管理部 為房純一氏

 これらの商品開発だけでなく、当社では売場づくりをサポートする活動にも力を入れています。専用のPOPや販促物を用意しており、HC企業さまの売上、利益に貢献できればと考えています。

 

 安全スニーカーのシリーズとして、新たに投じた「マンダムニット」。ブランドについては今後さらにラインアップを拡充すると同時に、「マンダム」が安全、安心のブランドであるとより広く認知されるよう努力を続けたいと考えています。

 

(FW商品管理部 為房純一氏)

 

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〈特別企画〉ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品2018


■ペット:キャットフード部門

 

毎年発売される新フレーバー
ユーザーのニーズに応えたラインアップ

CIAO ちゅ~る/いなばペットフード

 

★★★ 選評

機能性を重視した商品ライン

 

 キャットフード部門で受賞した、いなばペットフードの「CIAO(チャオ) ちゅ~る」は、2012年の発売以来、好調な売れ行きを示している。発売当時は4アイテムだったが、その後はフレーバーや容量別などをラインアップし、現在は100アイテムを超えるまでになっている。「まぐろ」、「かつお」、「とりささみ」などの定番フレーバーと、毎年発売される新商品とが牽けん引いんするかたちで、豊富な商品のバリエーションが、ブランド全体の売上増につながるという相乗効果を働かせている。

 

 17年に発売した新フレーバーの中で、注目されたのが「乳酸菌入りまぐろ」と「まぐろ&贅沢本まぐろ」だ。「乳酸菌入りまぐろ」は、「毛玉配慮まぐろ」、「エナジーちゅ~る」など、機能性を重視した商品ラインの一環として発売されたもので、スティック1本に、乳酸菌が100億個入っている。また、「まぐろ&贅沢本まぐろ」は、従来の「まぐろ」に、本まぐろも加えた商品である。

 

 いずれも、従来の「CIAOちゅ~る」ユーザー層の、もう少し健康志向の高い商品や、もう少し贅沢感が味わえる商品が欲しいといった需要に応えたもので、新商品が発売されることで、既存の顧客の買上点数や購入頻度を高めることになった。同時に、ブランド力の高さや、広告展開の力もあり、新規顧客層を取り込むことにも成功している。

 

★★★ アンケート結果

圧倒的に高いブランド力

 

CIAO ちゅ~るのの評価
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 最大評価を得たのは「ブランド力」、「新規機能性」、「売場提案(販促)」、「メーカーの広告力」の4項目だった。

 

 発売以来6年がたつ「CIAO ちゅ~る」のブランド力は、キャットフード市場の中では圧倒的に高い。また「ちゅ~る、ちゅ~る、CIAO ちゅ~る」という覚えやすい歌詞と、おいしそうに舐める猫の姿によるテレビCMもブランド認知度を広げ、ヒットにつなげている。

 

 このCMの映像は、店頭の販促用モニターでも随時流されており、売場の活性化にもつながっていることが高評価となった。

 

 「新規機能性」が高かったのは、同社が毎年発売する新商品が、ユーザーのニーズにぴったり応えた商品であること、そのために売上増が期待できることが評価された結果である。

 

 

 マーケット&プロダクト

手軽さとバリエーションの豊かさで猫用フードの売場を変えた革新的商品

 

ユーザーの動画投稿によるTVCM が好調な「CIAO ちゅ~る」。店頭販促物ではWEB 限定CM への誘引を図っている
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専用アプリ「ちゅ~るメーカー」を開発して、動画の投稿をしやすい環境整備も行っている
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 2012年の発売以来、好調に推移している、いなばペットフードの猫用おやつ「CIAOちゅ~る」シリーズ。この商品は器に出して与えることもできるが、袋からペーストを少しずつ出すことで、猫が直接舐めとることができる液状タイプのフードとなっている。

 

 猫用ウエットフードは缶詰やパウチによるフレークやテリーヌのほか、ゼリー状、スープ状などさまざまな形状があるが、ペーストを個別包装にした猫用のおやつは発売当時、革新的な商品だった。同社は通常のフードに加え、「CIAO 焼きかつお」など、ウエットタイプの猫おやつのノウハウを多く持ち合わせており、素材の味を生かした自社工場での生産が、高い商品開発力と品質維持につながっている。

 

 猫は犬と違い、散歩に出ることがほとんどなく、飼い主と猫との直接的なコミュニケーションの時間が少ない。しかし少しずつ給餌できる液状タイプの「CIAO ちゅ~る」は食いつきがよく、飼い主の手から直接あげることができるため、新たなコミュニケーションツールとして口コミで評判を呼び、写真や動画がSNSなどを通じ拡散されたことで大ヒットへとつながった。

 

 TVCMもヒット要因のひとつだ。「ちゅ~る、ちゅ~る、CIAO ちゅ~る」という覚えやすい歌詞とフレーズ、ペロペロとおいしそうに舐める猫の姿で、高いCM好感度を獲得。ユーザーからの投稿動画で構成されたこのCMは、店頭でも流れており、ブランドの認知向上にも一役買っている。

 

 「CIAO ちゅ~る」の魅力は、商品のバリエーションの豊富さにある。まぐろ、かつお、とりささみをベースに、えびやカニ、黒毛和牛などさまざまな味を開発することで、飽きやすい猫の味覚に応えるほか、通常の4本入りだけでなく、10本、20本、40本、60本、120本とロイヤルユーザー向けの大容量タイプの商品も多く取り揃えている。

 

 メーカー(担当者)のコメント

100SKU以上のアイテムを揃え、選べる楽しさを訴求する

 

18年春の新商品の「CIAO ちゅ~る腎臓の健康維持に配慮 まぐろ」、「CIAO 焼かつおスティック」、「CIAO 焼いわし高齢猫用ほたて味」
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 「CIAO ちゅ~る」が、多くのお客さま、バイヤーの皆さまにご支持いただいたことを大変うれしく思っています。発売時は4アイテムでスタートしましたが、現在はまぐろやかつおなどのベーシックな味だけでなく、サーモンやほたてなど多彩なフレーバーや大容量パックを揃えることで、100SKU以上の展開となっています。

 

 もともとはおやつ用としてじかに舐めさせることを主とした商品設計でしたが、ドライフードにかけたり、薬を飲ませるときに混ぜて使うなど、ユーザーの皆さまが「CIAO ちゅ~る」のさまざまな食べ方を考えてくださり、使用方法に広がりを見せています。

 

 当社でも乳酸菌入りや毛玉配慮のタイプ、総合栄養食タイプ、カロリーを増やした「エナジーちゅ~る」など、機能性を重視した商品も多数投入したことで、お客さまのさまざまなニーズに応えています。

 

 また、お客さまとのコミュニケーションも重視しています。昨年は「CIAO ちゅ~る」を食べている動画を投稿してもらうためのスマートフォン用のアプリを開発し、多くの方から投稿をいただきました。投稿いただいた動画は3分CMにも活用させていただき、店頭でも流れています。

 

 今期もお客さまからの投稿によるTVCMを継続して行うほか、「CIAO」ブランド全体での消費者キャンペーンも行います。新商品では、腎臓の健康維持に配慮したタイプや人気の焼かつおを原料としたスティックタイプ、焼いわしシリーズのシニアタイプなどを投入することで、新たなお客さまの獲得を狙っていきます。

 

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〈特別企画〉ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品2018


■エクステリア:物置部門

 

スタイリッシュかつ作業性が人気
作業衣料から初の受賞

グランプレステージ・ジャンプ/田窪工業所

 

★★★ 選評

デザインや使い勝手のよさも追求

 

 2000年発売の「グランプレステージ」。16年にデザインを一新し、機能面をさらに向上させフルモデルチェンジで発売されたのが「グランプレステージ・ジャンプ」だ。

 

 一般的に無味乾燥なデザインが多い物置の中で、扉部分に8色のカラーバリエーションがラインアップされた。いずれもメタリック&ソリッド塗装で鮮やかな発色のため、屋外売場など見本品を設置すると視認性が高まり、物置売場への立ち寄り率を高めることができた。

 

 扉は、「吊り戸方式」(上のレールに扉を吊り下げる)を採用し、 砂やゴミつまりによるトラブルの減少を実現し、扉の開閉を力を入れずに行うことができるようになった。

 

 高さ、奥行き、間口別に約100タイプのサイズバリエーション。背の高さに関係なく、どの位置からでも手を掛けられるユニバーサルデザインの取っ手、仮ロック機能を備えたシーソー方式の2ロックシステム錠。サビに強い高級焼付塗装。自分仕様に組み立てられる棚板。

 

 こうしたスタイリッシュなデザインや機能面の充実により、デザインを重視する女性から高い支持を集めたこともヒットの理由だ。これからの市場を牽けん引いんする物置として、存在感が高まる商品である。

 

★★★ アンケート結果

ユニバーサルデザインの評価につながる

 

グランプレステージ・ジャンプの評価
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 最も高い評価となったのは、「斬新さ(デザインなど)」だ。カラーバリエーションの豊富さは、従来の物置のイメージを刷新し、競合他社も追随するほどの影響を市場に与えた。物置はエクステリア商品で、常に外部の人の目に触れる。またユーザーの中には女性も多い。

 

 家の外観を気にかけるのと同じように物置もデザイン性を求めるという、消費者のニーズに応えた商品だ。

 

 「新規機能性」も、サイズや棚板のバリエーション、扉の吊り戸方式や使いやすい取っ手の採用などが評価されたかたちだ。使いやすさからは、同時に「ユニバーサルデザイン」としても高い評価だった。

 

 物置の販売には、パンフレットの設置は欠かせないが、積極的なPOPなどの販促物の設置で、購買動機につなげていったことも「売場提案」の評価につながった。

 

 「ブランド力」は、物置で田窪工業所と「グランプレステージ」の認知度が高いことを表している。

 

 

 マーケット&プロダクト

物置のイメージに変革をもたらしたデザイン性と機能性を両立させた新シリーズ

 

 2000年に発売した物置シリーズ「グランプレステージ」を16年にフルモデルチェンジ。「グランプレステージ・ジャンプ」として登場した商品だ。それまでの物置の概念を大きく変えるファッション性が市場で高く評価され、ヒット商品へと成長している。

 

 「デザインへの評価が高く、ホームセンター(HC)様でも露出を増やしていただけた結果、順調に販売数を伸ばしています。近年の一般的な一戸建て住宅は収納性の充実・工夫によって、屋内の収納スペースが増える傾向にあります。その分、物置は小型タイプが主流になってきていますが、やはり家の中に収納するには適さないものがありますから、今後も物置は成長性を持つカテゴリーだと考えています」と、同社商品開発部本部長・矢野孝二氏はみている。

 

 こうしたニーズの変化に対応するため、「グランプレステージ・ジャンプ」は、同シリーズの大きな特徴であるカラーやサイズバリエーションの充実を図ってきた。

 

 16年春の3種類先行発売に続き、夏からは新色を含めた8色をラインアップしている。同時にデザイン面でも、庭の雰囲気を壊さないファッション性を考慮。住宅回りの買い物の決定権を持つ女性層にも受け入れられやすい〔おしゃれ〕感覚を重視している。

 

 さらに同社は、売場での提案力を強化することで他社との差別化を図ってきた。商品の特徴や使い方などについての情報を発信する専用のPOPや販促物を作製、使用シーンを想起させるような売場づくりを提案している。消費者が商品の実物を実際に見て、魅力を実感することが購入につながるため、HCサイドにもメリットのある売場提案を強化することで、売場の拡大と市場の活性化をめざしている。

 

 メーカー(担当者)のコメント

18年春から新プロジェクト「アルテグラフィカ」スタート

 

 「グランプレステージ・ジャンプ」は、現代の住宅事情にフィットする小型物置であると同時に、ファッション性の高い物置シリーズとして開発されました。物置に求められる耐久性を大前提とした上で、使いやすさを追求したユニバーサルデザインの導入や、多様なカラー展開は、おかげさまでお客様に好評をいただいております。

 

 しかし各家庭の庭にある“ニッチな需要”を確実にとらえるという意味では、まだまだ提案できることがあるのではないかと考えています。そうした観点から2018年から新しい塗装技術でさらにデザイン性を追求する「アルテグラフィカ」というプロジェクトを立ち上げています。そのひとつである「ペインタ」は、UVインクジェット塗装の技術を活用し、物置や収納庫に画像をプリントするものです。

 

 文字やイラスト、風景、植栽のほか、木目などを、画像データをもとに印刷し、オリジナル性、ファッション性の高い商品を提案します。基本的にはデータがあれば、デザインのバリエーションは無限に広がります。この技術で再現される色合いは、シックで落ち着いた雰囲気が特徴。もとになる物置は「グランプレステージ・ジャンプ」と共通ですが、プリント加工をしやすくするため、より凹凸の少ない設計の扉を採用しています。

 

 新しい挑戦を続けることによって、エクステリア市場の活性化を図り、今後もHC各社様の売上や利益確保に貢献していきたいと思います。

 

(商品開発本部 本部長 矢野孝二氏
 商品開発本部 次長 日野大治郎氏)

 

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