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[手工具]ドイトプロ川越店
職人の減少・高齢化の波に乗じ小型化・軽量化タイプが好調

手工具

職人の減少・高齢化の波に乗じ
小型化・軽量化タイプが好調

ドイトプロ川越店

ドイトプロ川越店では、プロユースに特化した品揃えと利便性の高い配送サービスにより、広範囲からの集客を可能にしている。近年は人手不足や職人の高齢化に伴い、手工具でも商品の軽量・小型化が進行。同店でも豊富な品揃えときめ細やかな対応で、プロのニーズに応えている。(本誌:石山真紀)

 

リアル店舗ならではの強みを生かす接客

ドイトプロ川越店

 

 プロユースに特化したドイト新業態の3店舗目として、2018年4月に開業したドイトプロ川越店。埼玉県川越市内の国道254号線沿いに立地し、お客のほとんどが車での来店となる。プロユースと一般客の割合は、9対1程度。平日は工事作業者や内装業者などのプロがほとんどだが、週末は一般客も多く来店する。

 

 プロユースという業態の特性上、商圏は広く、近隣の施工業者に加えて一都三県の広範囲からプロの顧客を集めている。同店の奈良尚彦店長は「プロユースの場合、他県の施工業者でも現場が川越近隣にあることから、現場に行く前に当店を利用することもある。逆に川越の業者でも現場が他県にあるため、現場に直接資材を配送するサービスを利用する業者も多い」と話す。

 

エアコン用工具やパイプカッターなどの工具は、関連商材の近くにも陳列する

 

 ドイトプロ川越店の売場面積は2538㎡で、その内、手工具カテゴリーの売場面積は30坪程度。約10万アイテムという膨大な商品を扱う同店だが、手工具カテゴリーの商品数は約3000~4000アイテムとなっており、ゴンドラ80本の中で用途別、メーカー別など、わかりやすい陳列を心掛ける。またエアコン用工具やパイプカッターなどの工具は、関連商材の近くにも陳列する。

 

 プロ向けということもあり、商品については事前に調べてくるお客も多いため、説明などのPOP等は極力省き、販売価格を見やすく表示。出入口付近の休憩室には新製品を試せる「体験プロモーション」コーナーを展開する。

 

 奈良店長は接客について「プロユースの商品についてはインターネットでの購入よりも、実物を見て商品説明を聞いてから購入されるお客が多い。店員の顔が見えることやアフターケアの安心感などは、リアル店舗の最大の強みだろう。一度購入するとリピーターになっていただけることも多いため、商品の勉強とともに、接客にも力を入れている」と話す。

 

 品揃えのほとんどはプロ向けだが、雑誌やテレビ等で紹介された商品を求めて、一般客が同店に足を運ぶこともある。ただ、ホビーユースの場合、手芸教室の講師と同じ商品やテレビ・雑誌等で紹介されたものと同じ商品を求める傾向があるため、その多くが指名買いとなっている。

 

メーカー、用途別に展開する手工具カテゴリー売場は価格の見やすさも重視する

 

手工具

職人の減少・高齢化の波に乗じ小型化・軽量化タイプが好調

 

新製品を試すことができる「体験プロモーション」コーナー

 

省力化、小型化など時代のニーズに対応する

 

ドイトプロ川越店の奈良尚彦店長

 近年、プロの業界でも高齢化や職人の減少といった問題が浮かび上がってきている。そのため、これまで複数の人数で行っていた計測や作業を一人でできるように工夫されたレーザータイプの距離計測器やマグネットを組み込んだメジャー、レーザー墨出し器、目盛りが大きく段階的に表示された物差しなど、時代のニーズに合わせた商品が増えてきた。「高齢化が進む一方、若い職人も増えたことで、今まで通常の手鋸を使用していたところを電動式やマルチカッターを使用するといったように、現場で使用する道具にも変化を感じる」(奈良店長)

 

 工具の軽量化と小型化も進んでいる。狭い場所でも使いやすい薄さの商品やグリップの中央部分を抜いて製品自体の重さを軽量化した商品、女性にも持ちやすいカラフルなペンチなどの商品もよく動くようになった。その一方でレンチは、ニーズに応えるため、大型から小型まで各商品の取り扱いを強化しており、プロユース業態ならではの店づくりがこれらの幅広い品揃えを可能にしている。

 

アルスコーポレーション

多用途工具鋏のラインアップ拡充

 

 大阪府堺市に本社を構えるアルスコーポレーションは、プロ用刃物をはじめ一般用刃物、業務用機械刃物の企画・開発、製造を行う刃物の専業メーカーだ。同社では鋸の「チルトン」シリーズ、「ワンタッチ鋸」シリーズをはじめ、軽量・小型剪定鋏「ミニチョキ」、料理用包丁・キッチン鋏ブランド「シェフスター」、手芸用ブランド「ホビークラフト」など、さまざまなニーズに合わせた刃物を開発・販売している。

 

 2018年の新商品「KG-330HC-BK」はワイヤーカット機能に優れた「ギザ刃」を採用した多用途の工具鋏。刃はハードクローム仕上げで、支点から力点までの距離を大きく取ることで刃先までしっかり力を伝える。ゴム板、皮革、プラスチック、アルミ板、段ボールなどの素材から、PPバンド、結束バンド、より線(2.0㎜)などのカットも可能だ。

 

 もう1つの新商品「KG-QT-14」はコンパクトかつ軽量化を実現した多用途の工具鋏。さまざまな素材をしっかりキャッチする「ギザ刃加工」で、質量はわずか100g、全体的に小ぶりで手に収まりやすい。どちらの商品もDIY・工作から、工事での軽作業の現場まで幅広い用途で使用が可能となっている。同社では17年発売の「KG-300LW-BP」「KG-300LW-DX-BP」に加え、ニーズの高い多用途工具鋏のラインアップを拡充することでマーケットをさらに拡大していく考えだ。