今回の行き先は京都市中心部、錦市場の近くにあるカフェ。連日、多くの観光客で賑わっている観光地であるため、さぞ混雑しているだろうと思う人は多いはずだ。しかしご安心を。少し早い時間帯に向かって、快適にモーニングセットをいただくというお話である。

スムーズに目的地へ到着
京都市民に長年親しまれてきた錦市場。東西に延びる錦小路通、寺町通から高倉通までの400mに、生鮮食品や加工食品、雑貨、サービスなど多様な専門店がびっしりと軒を連ねている。有名なカラフルなアーケードも、楽しい雰囲気づくりに一役買っている。
ただ「京の台所」と言われていたのは、今は昔。とくにコロナ禍がひと段落してからは、インバウンド客が大挙して訪れる場所となり、かつての姿は一変。「京の台所」あらため、「世界の台所」とでも言える状況になっている。

さて今回の行き先は、そんな錦市場近くのカフェ。相当、混雑しているのではないかと想像する人は多いだろう。しかし少し早い時間帯に行くことで、快適な時間を過ごしてやろうというという計画だ。
午前7時50分──。私は今、錦市場の高倉通側の入口前に立っている。これからカフェに向かうところである。
見上げると、日本画家、伊藤若冲の絵が掲げられている。実は若冲の生家は、この錦市場で青果商を営んでいた。入口の向かって右の角には「伊藤若冲 生家跡」の看板が設置されている。

中に入って市場をまっすぐと進む。まだ早いので観光客はほとんどおらず、かなり空いている。開店準備をする店主のほか、近所の人と時々出会うぐらいである。
しばらく歩いて最初の角を左、つまり北へ折れ、約60m行った右手にカフェが見えてくる。あまりにもスムーズ過ぎて、拍子抜けする。
到着しました「小川珈琲 錦堺町店」。オープンは2022年2月の話題店である。今日は、ここでモーニングセットを食べるのが目的なのだ。
店舗には、店名を示すような看板は掛かっていないのが京都っぽいところ。ちなみに小川珈琲は地元では有名なコーヒーの製造業者である。本社を置くのは京都市右京区だが、調べると創業は中京区とある。
では早速、店内に入ってみよう。
充実のセット内容
入口すぐの場所に立つと、店の間口の割に奥に長い。京町家の特徴と言われる、典型的な「うなぎの寝所」の構造である。「お好きな席にどうぞ」と案内され、店の奥へと向かった。
スタッフのお姉さんに確認すると、
中庭を抜けたところにある建物のテーブル席を確保。今、来たルートを振り返るような向きに座る。
メニューを確認後、「炭焼きトースト フルブレックファースト」を注文した。事前に調べ、最初からこれにすることに決めていた。お値段、税込2600円。
料理を待つ間、周囲を観察する。私の右手、テーブルで3つほど向こう側には観光客と思われる若いカップルが座っている。互いにスマホを向け合ったり、料理を撮影したりと、なかなか熱いやりとりが展開されている。1人客の私は、静かにメニューが来るのを待った。
10分ほどして、まず私の目の前に置かれたのがスープとヨーグルト。しばらくするとメーンのプレートのほか、店内で焼き上げたこだわりの炭焼きトーストなどが運ばれてきて、これでセットが揃った。
早速、スープ、続いてヨーグルトで口を整えた。トーストは「京都産小麦食パン」と「全粒粉食パン」から選べるのだが、私は前者を選択。ついていた「ピーナッツバター」「糀バター」を交互につけて味わった。うん、おいしい。
メーンのプレートにはスクランブルエッグやら、ドイツ製法のソーセージなどが盛り付けてある。どれを食べるか目移りしたが、興奮する気持ちを抑えつつ、順に食べ進んだ。もちろんカフェなので、コーヒーもかなり美味だった。そして完食する。
もう大満足である。食べ終わった頃には、新しいお客が入ってきていた。私は1人広いテーブルを占拠していたため、他の方の迷惑にならないよう、席を立った次第である。
精算時、スタッフに聞くと9時過ぎぐらいから混み合うとのこと。やはり8時に来て正解だった。ご興味のある方は、ぜひ早めに行くことをおすすめする。