【ワシントン時事】米労働省が6日発表した4月の雇用統計(季節調整済み)によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比42万8000人増と、伸びは前月から横ばいだった。失業率も3.6%と同じだったが、新型コロナウイルス危機直前の2020年2月(3.5%)以来の低水準に迫っている。
就業者数の伸びは市場予想(39万1000人増)を上回った。労働市場の需給引き締まりを背景に平均時給は前年同月比5.5%上昇と、伸びは高止まりした。
業種別では、コロナ流行の打撃が大きかった娯楽・接客業の就業者数が前月比7万8000人増。製造業は5万5000人増。
米景気はコロナ禍からの回復が続いている。一方で、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油や小麦などの価格高騰が、需要の急増などによるインフレ圧力をさらに高めるリスクとなっている。
中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は4日、22年ぶりとなる0.5%の大幅利上げを決定し、インフレ抑制を優先する姿勢を強く打ち出した。今後2回の政策会合でも大幅利上げを決める考えだが、急激な金融引き締めは景気回復を失速させる恐れもある。
◇米雇用統計概要
3月 4月
失業率 3.6% 3.6%
非農業部門就業者数 42.8万人 42.8万人
民間部門 42.4万人 40.6万人
物品生産部門 6.7万人 6.6万人
サービス部門 35.7万人 34.0万人
政府部門 0.4万人 2.2万人
労働時間(週平均) 34.6時間 34.6時間
平均時給 31.75ドル 31.85ドル
平均時給伸び 5.6% 5.5%
労働参加率 62.4% 62.2%
U6失業率 6.9% 7.0%
長期失業者(半年以上) 142.8万人 148.3万人
経済的理由でのパート勤務 417.0万人 403.3万人
【注】▲は減少。「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。