第1回開催となったNRF APAC2024へは日本からも400人を超える人が参加、注目度の高さがうかがえた。本稿では2人の識者として、PwCコンサルティングコンシューマーマーケットシニア・アドバイザーの矢矧晴彦氏、博報堂コマースデザイン事業ユニットコマースコンサルティング局局長の徳久真也氏にNRF APAC2024に参加しての所感や話された内容、ユニークな点などについて聞いた。両氏とも毎年1月にニューヨークで開かれるNRF Retail’s Big Showにも毎回参加しており、その違いについても聞いた。
APACの当事者として参加する
初開催となったNRF APAC。まずは率直な感想を尋ねると、5800人の参加に対して「日本人は400~500人と非常に多く、日本での注目度も高く、NRFの裾野が広がったと感じた」と徳久氏。講演内容については「ニューヨークでは最先端のテーマと論点がでてくるのに対して、NRF APACではアジアの小売市場でそれらがどう咀嚼され活用されているのかがわかった」(徳久氏)という。
①APACリテーラーへの理解を深める、②APACマーケットへの理解を深める、③世界の流通市場のアップデート、④ネットワーキング、の以上4点を期待して参加したという矢矧氏は「①と②はまずまず、③はもう少し聞きたかった、④は日本人を中心にネットワーキングができた」との回答だが、「日本に帰りじっくり考察することで、APACの小売市場の課題が透けて見えてくる部分があった」とコメントした。欧米小売市場の最新事例や課題を知っていないと、今回のNRF APACの講演から課題を鋭く見抜くことは難しい一面もあったようだ。
NRF APACの価値を最大限に生かすには、そもそもニューヨークで開催されるNRFとは異なる「意識」が参加者に求められそうだ。
わかりやすくいえば、NRFは「講演と展示を通して、欧米の最新のテーマと課題・ソリューションを学ぶ場」である。それに対しNRF APACは、「学びにとどまらず自分たちがアジアでビジネスをする当事者としての意識を持ち、その役割を果たす場になる」と矢矧氏は説明する。
具体的には「NRF APACは学ぶ視点だけでは目的の半分しか達成できない。日本企業3社が講演したように、実践した成果を外に出して反応を得ていく、あるいは新たなビジネスの場をつくっていくなど、アウトプットの場として使うべきだ」と徳久氏は力説する。
APACの小売業はデジタルネイティブ
NRF APACではアジアの小売業の講演も多かった。日本企業が着目すべきは、
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