コロナ禍を契機に、食品スーパー(SM)が展開するネットスーパーは一気にユーザーを拡大した。感染拡大が一服してからもニーズは根強く、SM各社はネットスーパー強化の構えをとっている。そうした状況下、デジタル活用が浸透したことにより、これまでにない新たな仕組みによるネットスーパーも登場している。茨城県を地盤とするカスミ(山本慎一郎社長)が展開する「ローカル・フルフィルメント・ストア」とはいったいどのようなものなのか。
バーチャルストア上に複数店舗の在庫を表示
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都/藤田元宏社長:以下、U.S.M.H)の事業会社であるカスミは、グループのネットスーパーの仕組み「Online Delivery ignica(オンラインデリバリーイグニカ:以下、OnlineDelivery)」を発展的に応用した「ローカル・フルフィルメント・ストア(以下、LFS)」を展開する。22年3月に茨城県の水戸エリアでLFSを実験導入した後、同年5月につくばエリアに本格導入。その後、守谷エリアにもLFSを拡大している。
LFSとは、エリア内の複数店舗の品揃えを統合したバーチャルストアを開設し、配送ネットワークを共有する独自のフルフィルメント機能のことを指す。LFSの注文から配送までの流れは以下の通りだ。
カスミでは複数のストアフォーマットを展開しているが、LFSの「Online Delivery」では、1つのエリア内で営業する複数店舗の在庫を統合管理し、1つのバーチャルストアの取扱商品として登録する。注文を受けると、該当商品の在庫を持つ店舗に注文が自動的に割り当てられ、その売上も各店舗に振り分けられる。店頭在庫とリアルタイム連携しているので、欠品していない店舗が自動的に選択される。そのため、欠品が大幅に抑えられる仕組みとなっている。
それぞれの店舗でピッキングされた商品は1日2便のLFS専用の店舗間配送便で配送拠点に指定された「母店」に集められ、顧客ごとにパッキングされて配達される。同時に、
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