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TVメタデータと他社データの連携で需要予測やプロモーションに活用する=エム・データ

エム・データ(東京都/薄井司社長)は、テレビ番組とテレビCMの放送実績を即時にテキスト化したデータベース「TVメタデータ」を構築し、データの提供や分析などを手がけるデータプロバイダだ。同社のデータを需要予測やプロモーションに活用する例が増えている。

各社と提携して実証実験を行う

 エム・データは専門オペレーターが24時間年中無休でテレビ番組とテレビCMを視聴してその内容を正確に記録し、放送後数分〜数時間で「TVメタデータ」を生成している。

エム・データは専門オペレーターが24時間年中無休でテレビ番組とテレビCMを視聴してその内容を正確に記録し、放送後数分〜数時間で「TVメタデータ」を生成している。(i-stock/lucadp)
エム・データ セールスマネージャー西尾真樹氏

 小売企業は、「TVメタデータ」によってテレビで露出した商品の情報をいち早くとらえ、テレビ番組で紹介された商品であることをアピールする店頭POPの掲出や陳列、発注システムと連動した高速仕入れなどに生かしてきた。エム・データのセールスマネージャー西尾真樹氏は、小売企業でのニーズについて「従来は販促や仕入れでの活用が中心だったが、最近はテレビ露出と連動したトレンドのキャッチアップや需要予測へのニーズが高まっている」と分析する。

 「TVメタデータ」は他社の持つデータと統合することで、さまざまな予測分析に役立てられている。

 食品卸大手日本アクセス(東京都/佐々木淳一社長)傘下のD&Sソリューションズ(東京都/岩崎隼弥社長が開発した「POSMIL-TREND(ポスミル・トレンド)」は、「TVメタデータ」にYahoo(! ヤフー)の検索データを重ねてヒット商品の予兆を検知し、ダッシュボード上で可視化したり、アラートで通知する販売トレンド予測ツールだ。小売企業のバイヤーやラウンダーがトレンド情報を即時に入手して仕入れや店頭POP、リテールメディアなどに活用したり、メーカーの営業担当者が取引先へのマーケティング施策の提案やセールス展開にこのトレンド情報を使うことが可能だ。

 アドインテ(京都府/十河慎治社長)の「トレンドサイネージ」は、「TVメタデータ」からテレビ番組やテレビCMのトレンド商品を検出し、店舗に設置されたデジタルサイネージ、小売企業が運用するスマホアプリ、ECサイトなどのリテールメディアに自動配信するサービスだ。

 また、データ連携による需要予測やトレンド予測でDATAFLUCT(データフラクト:東京都/久米村隼人社長)と提携した。DATAFLUCTの需要予測ソリューションサービス「Perswell( パースウェル)」では、販売データや発注データなど、小売企業が保有する売上などのファーストパーティデータと、「TVメタデータ」、気象データ、人流データ、イベントデータといったサードパーティデータを統合し、テレビ露出の影響も考慮した精度の高い需要予測の実現を目指している。

データ統合のための環境整備を進める

 エム・データでは、外部データとの統合に向けて「TVメタデータ」のマスターデータの整備を進め、これまでに「番組名」や「出演者名」、「企業名」でその整備が完了した。今後は、「商品・サービスのブランド名」の正規化を進めるとともに、生鮮食品や日配品、グロサリーなど、小売企業向けの「リテールマスター」にも拡張していく計画だ。

 データクラウドと連携し、「TVメタデータ」の流通網の拡張にも取り組んでいる。2022年6月には、アマゾンウェブサービス(AWS)の「AWS Data Exchange」を通じて「TVメタデータ」の提供を開始。AWSユーザーは「TVメタデータ」にアクセスし、効果分析や予測などに活用できる。同様に、22年10月からSnowflake( スノーフレイク)のデータクラウド「Snowflakeマーケットプレイス」でも「TVメタデータ」を利用できるようにした。

エム・データは各社との連携を進め、「TVメタデータ」を活用した需要予測やプロモーションの実証実験を進めている

 エム・データでは、データ統合のための環境整備やデータ流通網の拡張によって「TVメタデータ」のコラボレーションを積極的に推進している。西尾氏は「これからもさまざまな企業と提携や研究・実験を行い、『TVメタデータ』を通じて小売企業の販売促進やリテールメディアへの貢献をしていきたい」と語っている。