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シャープ 小売・流通業界の業務効率化ニーズに応える先進ソリューションをアピール

シャープブース

3月12日から4日間にわたり開催された、第40回流通情報システム総合展「リテールテックJAPAN 2024」。シャープは『UXとGXの融合で業務の効率を進化させる』をテーマに、小売・流通業界の業務効率化の課題解決を図る決済、デジタルピッキング&搬送、店舗サイネージの各分野の先進リューションを展示・紹介した。

店舗の決済業務の効率化を図る新製品を発表

 小売・流通業界では、決済手段やポイントサービスの多様化、顧客に応じたクーポンの発行など、決済時のデータ処理量が増加し決済業務の効率化へのニーズが高まっている。また、POSターミナルに蓄積された販売データを発注計画や在庫調整などの店舗運営に活用する動きも活発化。シャープが新発売したPOSターミナル2機種<RZ-A476S/RZ-A396S>は、タッチパネル機能付き15型液晶ディスプレイとキーボード、レシートプリンターを一体化した業界最小クラスで、限られたスペースにも設置できるのが特長だ。

 この新製品は、高速CPUの搭載により、決済時の一連の処理はもちろん、販売データの集計や在庫管理など、負荷の大きい処理の高速化を実現。さらに、上位モデル<RZ-A476S>は、256GB(128GB×2基)の記憶装置(SSD)を標準搭載。1基目のSSDのデータを2基目に複製できる「ミラー機能」により、万が一、1基目のデータが破損した場合でも、2基目が売上や顧客情報などの大切なデータを保持し、継続した店舗運営を可能にする。加えて、停電時やコンセントが抜けてしまった場合などにも作業中のデータを保護するバッテリーを搭載している。

業界最小クラスのPOSターミナル<RZ-A476S>と<RZ-A396S>

シャープとNTTデータがキャッシュレス決済分野で協業開始

 また、シャープはNTTデータと、キャッシュレス決済分野での協業を発表。第一弾として、CAFIS Arch対応の決済端末と遠隔管理システムを共同開発し、2024年秋以降に提供開始する。NTTデータは、2,000社以上の加盟店、120社以上のクレジットカード会社を結ぶ日本最大級のキャッシュレス決済総合プラットフォームCAFISを有しており、全国で85万台以上の決済端末がプラットフォームに接続され日々利用されている。

 今回開発するCAFIS Arch対応の決済端末は、端末を操作するスタッフ側と顧客側に分かれたセパレートタイプで、スタッフ側端末には、コンパクトなボディに6インチの大型ディスプレイを搭載。省スペースで設置できるうえ、高い視認性と快適な操作性を両立させた。
クレジットカードや電子マネー、QRコード支払いなど、さまざまな決済手段に対応するCAFIS Arch対応端末のラインアップに、両社の強みを生かした信頼性・機能性の高い端末が加わることで、より安心・高性能な端末を選択できるようになる。

CAFIS Arch対応の決済端末

工場・倉庫向けの無線デジタルピッキングシステム

 慢性的な人手不足を背景に、工場や倉庫などにおける業務効率化のニーズも高まっていする。今回、同社の無線デジタルピッキングシステム(以下、無線DPS)にも注目が集まった。無線DPSは、工場や倉庫などの上位システムと連携し、ピッキングや仕分けの際に、保管棚に設置したデジタル表示器のランプを点灯させて、作業者を誘導する作業支援システムでスピーディかつ正確な作業を可能にする。デジタル表示器とホストコントローラーの通信は無線で行え、デジタル表示器には電池を内蔵。配線が不要なため、生産ラインの変更や保管棚のレイアウト変更にも柔軟に対応できるほか、台車やカゴ車、搬送ロボットなど、移動体への設置も可能だ。

 また、Sub-GHz帯の周波数(920MHz)を使用しているため、2.4GHz/5GHz帯域の無線LANとの電波干渉がなく、高速かつ安定した通信が行える。デジタル表示器は、内蔵電池と太陽電池の併用により、最長約5年間の電池寿命を実現。手間のかかる電池交換や充電を気にすることなく使用できる。さらに、ピッキングの正誤を「音」「光」「振動」で伝えるRFIDリーダー(オプション)と組み合わせることで、人為的ミスを高精度で抑制することができる。

場所の移動も容易にできる無線デジタルピッキングシステム

作業の省力化を実現する多階層ロボットストレージシステム

 物流業界では、EC市場の拡大などを背景とした物流量の増加や人手不足から、ロボットを活用した自動化へのニーズが高まっている。同社は、物流倉庫を多階層構造にすることで収納力を拡大し、自動搬送ロボットによるピッキング作業の省力化を実現する「多階層ロボットストレージシステム」の提案にも力を入れている。このシステムは、物流倉庫の商品保管スペースを2階層以上の多階層構造にすることで、空間を有効活用。収納力を1.5倍以上に拡大。季節や需給状況の変化に伴う在庫量の増減に柔軟に対応することを可能にしている。

 また、自動搬送ロボットがピッキング作業者のもとへ商品棚やパレットを運ぶGTP(Goods to Person)方式を採用。同社独自の集中制御システム「AOS(AGV Operating System)」が、最大500台までの自動搬送ロボットを最適に配車。2階層以上にある商品棚も、垂直搬送機で1階の作業者のもとへ搬送するので、作業者は、そばまできた商品棚からプロジェクターが映し出す個数を確認しながら、ピッキングできる。作業者が商品棚まで足を運ぶ必要がなく、作業スピードや生産性向上を実現し人為的ミスも抑制できる。

ピッキング作業の省力化を実現する「多階層ロボットストレージシステム」

店舗の内外で活用できる『ePoster(イーポスター)』

 店舗のデジタル化が進む中、デジタルサイネージの導入も活発化している。同社は、カラー電子ペーパーディスプレイ『ePoster(イーポスター)』2機種、25.3型<EP-C251>と13.3型<EP-C131>を展示・紹介した。同機は、電子ペーパー分野の世界最大手のE Ink Holdings Inc.の電子ペーパー技術を搭載したカラー表示対応モデル。紙のような高い視認性と、必要なときに表示を書き換えることのできる電子ペーパーディスプレイの特長に、カラーの表現力が加わり、利用シーンが拡大した。薄型・軽量なので、ワイヤーによる吊り下げなど
の設置も可能なため、電源供給や耐荷重などの課題からデジタルサイネージの設置が難しかった場所での設置や、紙のポスターの置き換えとしても利用できる。商業施設・店舗での案内板や広告表示、飲食店におけるメニュー表示など、店舗の内外のさまざまなシーンで活用できる。

 表示コンテンツは、USBメモリーで簡単に更新でき、スマートフォンからの操作でも書き換えが可能。さらに、同社独自のコンテンツ配信・表示システム「e-Signage S」(別売)と組み合わせることで、ネットワーク経由での表示更新に加え、複数台の一括表示書き換え、日時指定更新などもでき、多店舗での活用における管理・運用が円滑に行える。

店舗内外の広告表示に活用できるカラー電子ペーパーディスプレイ『ePoster(イーポスター)』

店舗ですぐに利用できる4Kインフォメーションディスプレイ

 今回、新たに発表されたのが、Android OS搭載のコントローラーを内蔵し、サイネージプレーヤーアプリケーションをプリインストールした4Kインフォメーションディスプレイ。65/55/50/43V型の4サイズをラインアップし、オフィスや商業施設、公共施設など、幅広く提案している。同機は、Android OS搭載のコントローラーを内蔵し、PCレスでの運用が可能。USBメモリーに保存した動画や静止画、音声を再生できるアプリケーション「メディアプレーヤー」に加え、同社のデジタルサイネージソフト「e-Signage S」で作成したコンテンツを表示する「e-Signage Sプレーヤー」もプリインストール。コンテンツの表示を円滑に行えるので、デジタルサイネージの運用をすぐに開始できる。別売の「e-Signage S」を使うことで、ネットワーク経由での表示更新や複数台の一括表示書き換えなどにも対応することが可能だ。

 さらに、業務用機器で多く採用される「AMX® Device Discovery」や「Crestron Connected® V2」などの制御コマンドにも対応。PCやタブレットなどの外部機器からディスプレイの遠隔操作や状態監視が可能で、多店舗チェーンの本部が各店舗の複数台のディスプレイの高度な一元管理を実現できる。

デジタルサイネージの運用をすぐに開始できる4Kインフォメーションディスプレイ

 小売・流通業界で進行しているDXでは、最新テクノロジーを活用して顧客の利便性向上を図る顧客体験の革新がテーマになっている。その実現を支える従業員の業務の省力化・効率化は、慢性的な人手不足が続いている中で、喫緊の課題だ。その課題解決に向けたシャープの先進ソリューション提案に今後も注目したい。