「ドン・キホーテ」などを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都/吉田直樹社長:以下、PPIH)は、自社アプリと膨大な購買データ、さらには商品や店に対する顧客の“本音”をもデータ化して活用し、リテールメディア戦略を推進している。昨年末には専業の事業会社を大手広告代理店の博報堂(東京都/水島正幸社長)とともに設立。新たなスキームのリテールメディアプラットフォームも構築しようとしている。
「majicaアプリ」を軸にリテールメディア化を推進
「ドン・キホーテ」といえば、売場を“魔境”とも自称するように、天井近くまでうず高く商品が積まれた圧縮陳列や、インパクトの大きな手書きのPOPなど、どちらかといえばアナログな販促手法が想起されるかもしれない。
しかし近年、その裏では店舗、売場、販促のデジタル化が進んでおり、リテールメディアの領域でもさまざまな施策がスピード感をもって推進されている。
PPIHのリテールメディア戦略の核となっているのは、「majicaアプリ」だ。ポイントカードとしての機能はもちろん、決済やクーポン配信、商品や店舗に関する情報コンテンツなどさまざまなサービスをアプリ上で提供している。
一方でPPIHは約1300万人のmajica会員のデータに紐づいた、年間1億7000件もの購買データを分析し、品揃えや売場づくりに生かしてきた。また、国内有数の会員基盤と購買データのボリュームを生かし、「新商品が好き」「流行に敏感」など独自のデモグラフィック属性を設定したうえでターゲティング広告を配信。カラーコンタクトの広告の事例では、一般的なデモグラフィック属性(性年代別など)と独自のセグメントに基づいた2つの配信パターンで比較したところ、クリック率は3倍、さらにエンゲージメントは6倍の差が開いたという。
PPIH傘下のデジタルソリューション企業・カイバラボのデータ事業推進部部長兼データコレボレーション部部長の小林真美氏は、幅広い品揃えを有するPPIHだからこそ独自に生み出せるセグメントと、そこから得られるデータ分析が、売上向上に大きな効果を生み出している」と自信を見せる。
顧客の“本音”をアプリで収集
このmajicaアプリがリテールメディアのツールとして大きくステップアップする契機となったのが、
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