近年の訪日外国人旅行者の増加と、キャッシュレス決済方法の多様化は小売業への対応を急がせている。シャープは、QRコード決済と連動できるPOSレジとして、ハンディターミナルを使用した「モバイルPOS」を提案。メリットや拡張性について、担当者に取材した。
ローコストで導入ができ多彩な決済に対応
中国人旅行者の増加に伴い、「Alipay」や「WeChat Pay」へ対応する例が増えた。そして、昨年から日本でもQRコード決済に注目が集まり、利用者が増加している。これらのQRコードやバーコードを読み取る方法をはじめ、消費者には決済の選択肢が増えた。キャッシュレス決済の対応は、小売業にとっては大きなポイントになるのと同時に、今すぐにでもはじめたいと思っているだろう。
しかし、POSレジ導入コストは大きな負担である。シャープマーケティングジャパンの川本忠則氏は「シャープでは、ハンディターミナルを利用することで、導入時の費用負担を軽減することを考えた」と話す。その結果、POSレジ1台のコストで、数台のハンディターミナルを導入できるような高コストパフォーマンスを実現する「モバイルPOS」の提案となった。従来のハンディターミナルの発注処理や仕入・検品処理、棚卸処理などの業務が可能なうえ、決済業務もできるので、小売業にとっては無駄のない効率のよいツールとなるだろう。
持ち運べる「モバイルPOS」だから、さまざまな場所で使用できるのも大きな魅力だ。「たとえば、店舗の外で実施する日曜朝市などの特設販売にも手軽に対応できる」(川本忠則氏)。道の駅での臨時屋外店舗や、電源が確保できない移動販売車で活用されているという。さらに、設置場所に縛られない「モバイルPOS」ならば、レジ対応に時間がかかるような混雑時でも、レジを追加しなくても手軽に使用でき、お客様をレジに集中させずに決済業務が行えるため、顧客満足度のアップにつながる。
さまざまな決済場面で、フレキシブルな対応を可能にしているのが「モバイルPOS」である。
効率的な業務を推進 店舗に合わせた拡張性も魅力
「モバイルPOS」は通常のPOSレジと比べ、省スペースで利用できることもメリットである。また、1回の買い物で大量の商品を購入されるお客様への対応には、モバイルPOSを複数台使用して、スキャン処理を手分けすることで、効率的な会計処理を行うことができる。1台を親機として、その他を子機に指定し、最終的に親機にすべてを集計することができる。省スペースで使えるモバイルPOSならではの用途として注目されている。
また、1次元・2次元を問わず複数のバーコードを同時に読み取ることが可能な高速マルチスキャン機能も備えている。この機能は、弁当とサラダ、飲料のように違う商品をまとめて同時にスキャンすることができるため、業務効率は飛躍的にアップする。
周辺機器と連動することで従来のPOSレジのように店舗運営に合わせたシステムを構成することができる。
レシートプリンターとドロアを組み合わせたり、インテリジェントプリンターと自動釣銭機を組み合わせることも可能だ。セミセルフ精算機との接続にも対応予定である。
電子ジャーナルも管理PCに格納が可能。監視カメラと電子ジャーナルの連動もでき、打ち込みミスや不正行為の抑止力を発揮する機能も備えることができる。このような拡張性の高さも「モバイルPOS」のメリットと言える。
また、ハンディターミナルRZ-H260シリーズ搭載の非接触ICカードリーダーライターはFeliCaリーダーライターRF性能検定のMクラスを取得しており、今後の電子マネーへの対応に心強い性能を備えている。
TPOを考慮して提案している「モバイルPOS」は、OSにもこだわっている。近年は、Androidを採用するケースが増えているが、シャープはWindowsを採用。Androidは、バージョンアップが3年単位であり、サポート期間も短い。対してWindowsは、より長期間の使用が可能で、顧客のメリットが大きいという判断である。
コスト面や柔軟な対応力、拡張性、長期で安心して使用できるOSなど、メリットが大きいシャープの「モバイルPOS」は、キャッシュレス決済の時代にふさわしい選択肢となることは間違いない。