ロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)は大阪府7店目となる「ロピア北加賀屋店」(以下、北加賀屋店)を4月23日に大阪市住之江区にオープンした。この店舗は関西初となる自社開発モール「ロピアモール」の核店舗で、“ロピア仕様”のモデル店舗とも言える店舗だ。同店の売場の編成や商品構成を解説する。
調査日=2024年6月12、13、14日 ※本文中の価格はすべて本体価格
ロピアの理想を表現した大型店?
大阪市住之江区は大阪湾に面しており、交通網が整備され、商業施設や高層マンションの多い住宅地に、工場・倉庫地帯が複合して発展してきた。店舗は地下鉄四ツ橋線「北加賀谷屋」駅から徒歩約5分の工場が多い地区にある、以前は大型銭湯であった。
店舗は地上3階建て。1階に「ロピア」が入居。2階に「ダイソー」「スギ薬局」と日常衣料の「あかのれん」、3階と屋上は駐車場で「ロピアモール」を形成している。
ロピアは居抜き出店が多いが、この店は新設された「ロピアモール」への出店だ。「ロピアモール」内としては、神奈川県に「小田原高田店」(小田原市)と「港南台店」(横浜市)があるが、北加賀屋店は関西地区1号モールである。この店舗は現段階のロピアのモデル店でロピアスタイルの理想を表現した店舗であるとみられる。
売場面積約780坪(歩測)で、「ららぽーと堺店」(大阪府堺市)の約680坪(歩測)よりも広い大型店のいち付となる。売場スペース構成比は生鮮33%、日配22%で、両部門合計で55%と60%を切っている。それでも生鮮ゾーンは通常より広い約195坪(歩測)。売場全体がゆったりしている。
青果売場はゆとりのある陳列に
部門別に売場を見てみよう。北加賀屋店は入口スペースが広く、青果売場(約60坪、歩測)に連動している。
青果売場は入口から見て左20尺の冷蔵ケースでサラダ系野菜とキャベツを配置、この日は「ブロッコリー」が150円、「キャベツ」が139円だったが、金曜日は「ブロッコリー」を99円に下げていた。左壁面の36尺冷蔵ケースで売れ筋の「大根」(199円)、「白菜1/2カット」(139円)、「ホウレンソウ」(99円)にシイタケ、モヤシといった野菜ラインに、6尺で冷凍果実・野菜を配置する。
果実は、入口6尺什器2本で「スイカ1/4カット」(799円)、「同1/8」(499円)を販売。常温・冷蔵36尺でメロン、キウイ、マスカット、マンゴー、パッションフルーツ、パパイヤ、ドリアン、モモ、ミカンといった南国フルーツと旬の果実を色彩豊かに演出。最後6尺でバナナを配置する。
平台は変則的で定番とスポットを絡めている。野菜をベースにゆとりある陳列で、価格訴求も絡めている。
ロピアの関西地区店舗は曜日によって価格訴求が大胆に行われており、お客の足を止める力がある。鮮魚、精肉の対抗意識も感じる。この対抗意識が生鮮ゾーンを活気付けているのだろう。
鮮魚は対面で寿司や貝・丸物を販売
鮮魚売場は約55坪(歩測)。ゆったりとし機能的に配置している。壁面はガラス什器6尺で「本マグロサーモンケーキ」(5000円)、「バッテラロール」(1190円)、「あなごくるーる」(390円)、対面握り寿司8尺で「本マグロ大トロ」(300円)、「同中トロ」(250円)、「同赤身」(200円)、「カンパチ」「サーモン」(200円)など14品目に絞って展開している。
14尺で「魚萬握り寿司茜18貫」(2590円)、「ヒイラギ30貫」(3900円)、「海鮮はみだし巻」(890円)、「本マグロ丼」(1590円)、「甘エビ丼」(1290円)などを販売。このコーナーはお客が途切れなく立ち寄り、活気がある。
平台は3台。エンドでアトランティクサーモンを展開し、右側16尺にマグロ(冊)、タコ、ウナギなどを置き、背面は14尺でハマグリ、アワビ、カキ、ウニ、イクラ、ホタルイカを配置する。
壁面は平行台16尺で専任担当者が「活ハマグリ1個」(300円)、「岩カキ」「アワビ」の貝類に、「金目ダイ」(1690円)、「ワタリガニ1尾」(890円)、「生スルメイカ6杯」(790円)、「マガレイ3尾」(750円)をはじめ、真アジ、レンコダイ、ケンサキイカなどの丸物を扱う。日によって扱いが異なるが、午後1時頃にはほぼ売り切り、店じまいする。鮮度に敏感な大阪人に見合った販売方法である。背面にはアルゼンチン産の赤エビ、生真タラ、真ダイなどの切り身を配置する。
平場壁面寄りの台は冷凍魚。エンドで銀ザケ、両側でサケ、ホッケ、サバ、金目ダイ開き干しなどを配置。平場壁面36尺冷蔵ケースでは先頭は「メバチマグロハラミ刺し身用」「マグロたたき」にブリ、サーモン、真ダイ、ヒラメなど刺し身用のサクのほか、生ミンククジラ、タラコ、珍味、チリメン、シラスなどで構成する。
各ゾーンにテーマを持たせ、流れるように配置している。ほとんどが売れ筋商品だが、品揃えには幅を持たせており、売場に攻める姿勢が表れている。
新たに肉総菜コーナーを展開
総菜売場は壁面に調理場と連動して配置している。米飯とピザがそれぞれ12尺ずつ。米飯は売れ筋の「ステーキガーリックライス」「玉子丼」「ウナギすがた寿司」(1000円)に「ナポリタン」「チャーハン」(580円)などを販売。ピザは「マルゲリータ」「明太高菜」など5品目。各580円と値頃価格で、2箱なら1100円、4箱なら2000円で販売し、安定して売れていた。作業場との一体感は他のチェーンにはない独特な雰囲気がある。
壁面寄りの平台は売れ筋の「エビグラタン」(880円)、「エビマヨ」(980円)、「焼き鳥三味」(680円)、「ロピチキ8個」(1200円)、「大きな皮のせシューマイ3個」(480円)など。常にお客が群がっている。
冷蔵ケース3台のエンドでは「アサリビーフン」「パッタイ」(600円)など、左側10尺で「ミルフィーユローラー」「ローストビーフサラダ」など、右側は冷凍でグループ企業の利恵産業(神奈川県/山田将一社長)を軸に「濃厚ザッハトルテ風」「参鶏湯」「チーズキンパ」「モンブランケーキ」などを陳列。安定して売れている印象だ。
平場壁面では8尺で「ごほうびプリン」「シュークリームプレーン」「チョコチーズケーキ」などデザートを配置した。その横に4尺の精肉部門総菜を新たに導入。取り扱い商品は「国産牛みなもと牛すき焼重」(980円)、「こくうまコロッケ10個」(999円)、「豚ミンチカツ5個」(599円)、「国産若鶏唐揚げ」(100g当たり169円)で肉の総菜コーナーができた。
精肉売場は基本スタイルを維持
精肉売場の売場面積は約65坪(歩測)。左壁面36尺でブロック、スライス、しゃぶしゃぶなど用途別に陳列。正面壁面は12尺でステーキを、42尺で豚肉とひき肉を展開する。ひき肉は高槻精肉プロセスセンター(大阪府高槻市)からの納品で対応している。
この週の肉の特売は日替わりで「みなもと牛」の「モモブロック」(100g当たり299円)、「切り落とし焼き肉用」(同399円)のほか、週末の金・土・日曜日は黒毛和牛で「肉焼こうぜっ!」と銘打って「希少部位焼き肉用盛り合わせ500g」(3480円)、「ロースステーキ用」(100g当たり499円)、「薄切り焼き肉用」(同450円)などを販売していた。
豚肉は下段に特大サイズで国産豚「肩ロースしゃぶしゃぶ用」(100g当たり159円)、「豚ばらスライス」(同169円)、国産三元豚「ひれ肉ブロック」(同169円)、メキシコ産「豚肩ロースブロック」(同129円)を展開。ミールキットやひき肉のゾーンにつながる。
平台は3台。先頭は「みなもと牛」と黒毛和牛を訴求。背面は16尺で「えびす鶏」の少量パックに北京ダック、馬刺しを配置する。
2台目は「えびす鶏」で「若鶏むね肉5枚」(100g当たり55円)などビッグサイズに、「地養肉」を配置。背面は豚肉などのメガ盛り、もつ鍋用、つくねを展開。
3台目はジンギスカンとホルモンを展開し、背面はプルコギなどの味付け肉を配置している。
精肉売場はロピアの基本スタイルだ。牛肉に力を入れるなど、お客の要望に応じた対応で、売場全体に落ち着きがある。補充体制もできているが、夕方には売り切れ御免スタイルになり、鮮度を維持できている。
後編では日配・加工食品などの売場を見ていきたい。
(店舗概要)
所在地 大阪府大阪市住之江区北加賀屋3-5-37
開店日 2024年4月23日
売場面積 約780坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 230台
競合店 ダイエー北加賀屋店、ライフ加賀屋店