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運営が厳しいSCでも利益を出せる「ロピア多治見店」の工夫を解説!

ロピア(神奈川県/高木勇輔社長)は1月30日、岐阜県多治見市に「ロピア多治見店」(以下、多治見店)をオープンした。前編では生鮮3部門の売場をリポートした。後編は総菜や日配・加工食品などの売場を見ていこう。
調査日=2024年3月8、9、10日 ※本文中の価格はすべて本体価格

多治見インターモールには「サンドラッグ」「清水屋」と同時出店した。「西松屋」「エディオン」「アルペン」も入居している

総菜売場は既存店よりも取扱商品が増加

 総菜売場は約35坪(歩測)。壁面に作業場と一体のピザコーナーを8尺で展開している。この日は「マルゲリータピザ」「照焼きチキンピザ」「ベーコンピザ」「ジャーマンポテトピザ」の4品目を各580円で提供。値ごろ感があり、購入者も多い。

 同じ壁面では16尺で「ロールキャベツ6個」(666円)、「チーズモンスターバーガー」(777円)、「アップルパイ」(999円)などを販売している。

 平台は縦6尺・横16尺で「ごちキンパ10個」(555円)、「同30個」(1380円)をエンドに、右サイドに「ロピチキ」(3個600円、6個1111円)、「手羽元あぶり焼き」(10個666円、20個1280円)、「キャベツメンチカツ3個」(450円)を配置する。

平台で展開していた「キャベツメンチカツ」は3個450円で販売

 この週のチラシ掲載商品には「無限に食べられる鶏モモ唐揚げ」(100g160円)、「ポークNIKUシューマイ15個」(777円)、「蟹クリーミーコロッケ6個」(600円)、「ふっくら焼き鳥30本」(1180円)、「小林さんちのビーフガーリックライスメガパック」(999円)、「ミルフィーユローラー16個」(1111円)と個性的な商品が顔を揃えていた。チラシでの訴求がうまくいっているためか、よく売れているようだ。取扱商品が増えたことで、幅広い商品の揃った総菜売場になっており、生鮮3品に続く第4の柱となっていた。

トマト、ベーコン、リーフレタス、プロセスチーズ、マヨネーズで作った個性的な「ミルフィーユローラー」は8個666円で販売

 他方、冷蔵・冷凍総菜の品揃えはほぼ固定化されており、系列の利恵産業(神奈川県/小川学社長)の商品をメインに、売れ筋商品を展開する。このコーナーも安定して商品が動いているようだ。

 ロピアは総菜と前編で見た生鮮3品を合わせた生鮮4部門を店の核とし、競合店対策を行ったようだ。全体的に「売れる商品」を配置しており、魅力ある生鮮ゾーンを形成している。

個性的な商品も続々

 壁面の総菜と洋日配までの間には12尺でサンドイッチとスイーツを展開。岐阜県の「リッチバーガー」や愛知県の「芋銀」といった地域で根を張るメーカーの商品を扱うほか、系列企業の利恵産業の商品も見られた。

各務原市に本社を構える製粉業の「サンミール」が県内のベーカリー「トーノー・ブレッド」で製造したチーズロールパン

 続く28尺では乳製品を展開し、左壁面24尺のヨーグルトにつなぐ。プレーンヨーグルトは12尺で28品目を展開しているが、大手メーカーである「明治」「雪印メグミルク」の扱いはなく、軸は「日本酪農協同」の「毎日ヨーグルトプレーン400g」(4個399円)、「毎日北海道生乳100%プレーンヨーグルト400g」(4個499円)だ。下段に豊富に並べることで大量買いにも対応している。こだわりのラインとしては、「湯田牛乳」「球磨酪農農業協同組合」「岩泉ホールディングス」のほか、地場の「美濃酪農」の「ひるがの生乳100ヨーグルト500g」(199円)などをラインアップしている。「森永乳業」の「ビヒダス ヨーグルト プレーン 加糖 4ポット」(6パック666円)などのケース売りも見られた。

 和日配は平場の冷蔵ケースで展開。前方には麺、納豆、練り物、後方に水物、漬物、キムチ、豆腐を配置。定番商品を一通りそろえ、補充体制もできており、利益が稼げる売場として機能していることがわかる。

 冷凍食品売場には16尺3段で「サンミール」の「マルゲリータピザ」(999円)、「クアトロチーズピザ」(599円)など5品目を扱っており、よく商品が動いていた。弁当食材は2尺6扉で70品目を展開し、159~209円で販売。アイスクリームは5割引きで個食80円を軸に販売。冷凍食品・アイスクリーム売場は店舗によって品揃えが違うようだ。

自社が強いカテゴリーを強化

 加工食品、酒・飲料、菓子のスペース構成比は全体の39%、加工食品は21%、酒・飲料と菓子が各9%となっている。

ロピア多治見店における生鮮売場のスペース構成比

 加工食品は中央で45尺を軸に9列、菓子は30尺を軸に6列、酒は2列、飲料は催事を加えると3列で、ロピアの標準店と比較すると少ない。

 調味料・乾物売場ではふりかけを21尺にわたって多彩に展開するほか、「浦島海苔」の「贅沢うにふりかけ35g」(299円)をつるしで販売していた。

 また、新たに健康食品売場を導入した。プロテインは18尺、青汁は3尺、「大塚製薬」「小林製薬」「UHA味覚糖」「DHC」の健康商品を18尺で展開する。消費者の健康への関心が強まっていることから、単価の張る新たなカテゴリーを開発したようだ。

 大容量の飲料は38品目をそろえる。「緑茶伊右衛門 2Lペット」(129円)、「お~いお茶 緑茶 PET 2L」(159円)のほか、水は「友舛飲料」の「蛍の郷の天然水2L」(59円、6本333円)を販売。売れ筋商品と価格訴求商品の両方を品揃えしている。

 酒は定番商品をコンパクトに26尺でまとめている。ワインは9尺3のうち3尺で国産ワインを展開。スパークリングワインは31品目、輸入ワインは47品目。下3段は299~999円で固め、上段の16品目を1099~3799円の価格帯で陳列する。ロピアのワイン売場でこれだけ商品を絞った店は初めて見た。競合店対策として、中途半端な品揃えとならないよう品数を絞ったのだろう。

 菓子はカテゴリー別に陳列しているが、グミは6尺と既存店よりも縮小した。菓子大袋は24尺6段で56品目を扱う。売れ筋商品は、通常価格で販売する「ロッテ」の「チョコパイパーティパック」(279円)と「ブルボン」の「アルフォトファミリーサイズ」(199円)だ。

SC出店にあたっての利益率の高い布陣

 開店後40日が経過したとあってロピア特有の大行列はなかったものの、週末は約100人が開店前に並び、夕方までお客の流れは絶えることがなかった。一般のスーパーマーケットではこうした雰囲気はなく、ロピア特有の現象なのだろう。なぜお客が入らないSCがロピアで活性化できるのか。その答えがもうすぐわかるかもしれない。

 多治見店は売上を維持していくのが厳しいSCへの出店であることを前提としている店舗だ。だからこそ、過去に力のあるチェーンが次々と撤退した現実を踏まえ、売上をどう維持し、利益が取れる店にするにはなにをすべきかという課題に向き合った売場配置と商品構成になっている。

 その対策として生鮮品は利益率が高い精肉と総菜、鮮魚の米飯を軸に構成した。日配では従来の100円以下の菓子パンは扱わず、地場メーカーとオリジナル商品で単価アップを図るなど利益率にこだわった布陣になっている。

生鮮品は利益率が高い精肉と総菜、鮮魚の米飯を軸に構成。「鮭はらこ飯」は600円だった

 加工食品も利益率の低い酒と飲料を縮小し、ふりかけやアウトドアスパイス、たれなど自社が強みを持つカテゴリーを強化している。店舗の立地に対応したこうした柔軟性もロピアの強みの一つなのである。

(店舗概要)
所在地 岐阜県多治見市西坂町5-31-1 多治見インターモール1階
開店日 2024年1月30日
売場面積 約580坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 730台