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バローのお膝元・岐阜県多治見市に出店!「ロピア多治見店」の生鮮売場を解説

ロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)が岐阜県4店目、中部地区では5店目となる「ロピア多治見店」(岐阜県多治見市:以下、多治見店)を1月30日にオープンした。運営が厳しいショッピングセンター(SC)に出店したが、どのような店づくりをしているのだろうか。
調査日=2024年3月8、9、10日 ※本文中の価格はすべて本体価格

多治見インターモール1階に出店した

競合は「バロー多治見店」

 多治見店が位置する多治見市は岐阜県南東部の東濃地区にあり、人口約11万人と県内で4番目に人口が多い。「美濃焼」の集散地としても有名だ。多治見店が出店した商業施設「多治見インターモール」は多治見インターチェンジから800m付近に位置。国道248号線に面しているものの、SCの出入口はバイパス沿いにあるため、交通面において若干のハンデが感じられる立地だ。

 多治見店が開店したのは「多治見インターモール」の1階部分。同SCは過去に「ダイエー」「バロー」「ニトリ」などが入居していたが、現在は「エディオン」「アルペン」「松屋」に加え、ロピア開店と同時に「サンドラッグ」、衣料品の「清水屋」が新たにオープン。SCとしての体裁が整ったかたちだ。

 周辺の競合を見ていくと、JR東海「多治見」駅近くに、11月に建て替えオープンを控える「バロー多治見店」(岐阜県多治見市)がある。バロー(岐阜県/森克幸社長)は多くの店舗でロピアの岐阜県進出の余波を受けており、バローの店舗がロピアに替わった例もある。多治見市はバローのお膝元であることも踏まえると、バローは「地元の雄として後に引けない」という強い意志を持っているはずだ。一方、ロピアも多治見店を成功させ、中部での存在をアピールしたいと考えているのではないか。

 この2店舗間でロピアとバローのプライドをかけた戦いが始まりそうである。「バロー多治見店」の再オープン後の動向が気になるところだ。

地域性を踏まえてゆったりとした通路幅に

 多治見店の売場は生鮮4部門をそれぞれ独立させ、通路を広く取って、お客がゆっくり買物できる配置となっている。商品構成を売れ筋に絞ることで、売場からムダを省いているように見受けられる。

ロピア多治見店の売場レイアウト

 調査日は開店から40日が経過したとあってロピア特有の大行列はなかったが、生鮮ゾーンは多くのお客であふれていた。

 この地区のお客の購買行動を見ると、購入時に品定めをする習慣があるようで、時間をかけて商品を吟味しているようだ。こうした状況において生鮮ゾーンのゆったりとした通路が奏功しており、ロピアは地域の慣習を押さえたレイアウトを実現しているといっていいだろう。

売場スペースの構成比は以下の通りだ。

ロピア多治見店の売場スペース構成比

主役の精肉売場は広いスペースで

 部門別に売場を詳しく見ていこう。青果売場は入口を広く取り、途中から冷蔵ケースを左右に配置するワンウエイ方式に切り替わる。入口付近では平台2台で果実を展開。この日は「旬のおすすめ」として熊本県産の「ゆうべに」(1パック399円、2パック777円)や「あまおう」(2パック1111円)などのイチゴのほか「旬のデコポン1パック」(999円)を販売していた。

 野菜は壁面に常温32尺でブロッコリーやトマト、冷蔵ケース24尺にホウレンソウ、レタス、モヤシなどを並べている。平場では常温20尺でキュウリ、ジャガイモ、タマネギ、冷蔵ケース36尺でピーマン、シメジ、白菜(1/2カット)、大根、キャベツを展開していた。

 売れ筋商品は量感を持たせた陳列で、なおかつ価格訴求していることにも注目したい。この日はタマネギ399円、レタス大129円、ホウレンソウ159円、5本入りキュウリ399円、白菜1/2カット250円、大根129円、キャベツ98円を販売していた。このなかではとくに大根とキャベツが売れているようだった。

 精肉売場は約60坪(歩測)と広いスペースをとっていた。左壁面48尺で牛肉、豚肉、ひき肉、正面18尺で豚肉と牛肉を混在させ、34尺で加工肉を配置。平台は標準スタイルの4ゾーンで構成する。この店舗では利益率の高い自社製品の加工肉を重点的に拡大していた。

 日替わり商品の目玉は牛肉だ。調査した日はみなもと牛「切り落としすき焼き用」(100g450円)、黒毛和牛「牛モモステーキ用」(同498円)などを販売。チラシ商品も牛肉をメインに据えていた。

 豚肉は店内加工もあるが、基本は岐阜市にある「ロピア柳津店」(岐阜県岐阜市)から供給している。チラシ掲載商品は「三元豚ロースしゃぶしゃぶ用」(同118円)をエンドで販売。売れ行きが良く、補充が間に合っていないほどだった。

 鶏肉は「みなもと鶏」を軸に平台で展開。チラシ掲載商品のみなもと鶏の「モモ肉」(同69円)はメガパックでよく売れていて、補充に追われていた。

県内産の恵那どりを使った「若鶏ムネ肉」(100g89円)

 平台では「牛プルコギ」、米国産「牛タン大味付け焼き肉用」、豪州産「牛ミニステーキ」や焼き肉用タレの「お肉屋さんの肉だれ」のほか、国産豚のナンコツ、コブクロ、レバー、ハツ、タンといった部位も販売していた。

豪州産を使った「豚タン焼き肉用」の味付け肉(100g99円)。「お肉屋さんの肉だれ」を使用し、店内加工している

 メガ盛りにも注目したい。スペイン産「豚ばらしゃぶしゃぶ用」(100g 108円)、カナダ産「牛バラ切り落とし」(同148円)などを扱っており、しっかりと売れていた。「肉のロピア」の屋号の通り、お客からの肉への関心度は高い。

 精肉売場では牛肉、豚肉、鶏肉の定番商品が並ぶなかでも、日替わり商品を訴求することでメリハリをつけている。中部地区では牛肉より豚肉、鶏肉に関心が高いように見受けられ、昼頃までに5~6割は売れていた。

鮮魚売場は堅実に、コンパクトに展開

 鮮魚売場は約35坪(歩測)とコンパクトにまとめた印象だ。壁面は20尺冷蔵ケースで真アジ、ホタテ、スジコ、イクラを、16尺で寿司、ちらし寿司、太巻などの米飯を展開する。平台は3台でエンド6尺・サイド12尺の冷蔵ケース。チラシ掲載商品は「ボイル真だこ刺し身用大パック」(100g250円)、「ブリ切り身(養殖)」(同200円)、スペイン産「本まぐろ赤身刺し身用」(同390円)などを日替わりで販売していた

 鮮魚売場の米飯商品は「魚萬」ブランドを掲げ、寿司は「5種盛り32貫」(3900円)、「4種盛り20貫」(1980円)、「握り4種盛り8貫」(990円)、「はみだし巻4本」(1190円)、「うなぎ巻き寿司」(1100円)を販売。

寿司コーナーで販売していた「鯖の広島菜巻」は8巻入りで790円

 このように定番商品を堅実に売るスタイルで補充体制もしっかりとしていた。また、平台ケースは定番の売れ筋商品で構成しているところから、堅実さを感じられた。

 後編では日配・加工食品などの売場を見ていきたい。

(店舗概要)
所在地 岐阜県多治見市西坂町5-31-1 多治見インターモール1階
開店日 2024年1月30日
売場面積 約580坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 730台