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ECも開始!「フォーエバー21」が渋谷に期間限定の売らない店をオープンした理由

かつて日本のファストファッションブームを先導した米国発のカジュアルブランド「フォーエバー21」が4月の日本再々上陸1号店オープンを前に、日本の消費者に変貌したブランドの世界観を知ってもらおうと本格的なマーケティング活動を始めた。2月21日に東京・渋谷にポップアップストア(期間限定店)をオープン、ECでの販売をスタートした。

渋谷のポップアップストアは渋谷パルコ横の道を挟んだ向かいにオープンした

日本企画の春夏商品約120点を披露

 ポップアップストアは渋谷パルコ横の道を挟んだ向かいにオープンした。売場面積は約50坪。今回同ブランドを日本で運営するカジュアルチェーン大手のアダストリア(東京都/木村治社長)による新生「フォーエバー21」の春夏アイテム約120点を披露するショールーミングストアだ。

 店内では日本のトレンドに合わせて展開する日本企画の6つのテイスト(ベーシック、ストリート、モード、フェミニン、ポップ、ビンテージ)の製品を手に取って、試着できる。商品は同店限定の5色展開のロゴ入りスエット(各4950円)のみを販売する。それ以外の商品は下げ札に付いているQRコードをスマートフォンのカメラで読み取れば、同社の自社ECサイト「.st」(ドットエスティ)内の商品ページに飛ぶことができ、購入できる。

 またプロカメラマンが試着したお客を無料で撮影するフォトブースも設置した。入り口付近には衣料品回収を行うボックスを設け、回収された商品は洋服の原料や自動車の内装材にリサイクルされる。

 

EC販売もスタート、期間限定店は横浜にも

右の円形のカウンターでロゴ入りスエットを販売。それ以外は左のラックに掛けられた商品を試着するだけ

 同日(2月21日)販売を始めたECサイト、ドットエスティでは、全アイテムの約8割を占める日本企画の「ジャパンモデル」約400点と海外仕入れ製品や服飾雑貨など合わせて約1000点を販売する。

 ポップアップストアは渋谷は26日までで終了。第2弾として317日から57日まで横浜市のショッピングセンター(SC)、ららぽーと横浜内に30坪弱のショールーミングストアを展開する。

 その後は「いろいろお声掛けは頂いているが、タイミングが合えば開きたい。横浜以降は実際に商品を販売する形態に変える可能性がある」と実際の事業展開を担当する同社のライセンス事業子会社、ゲートウィン(東京都/杉田篤社長)の栄木雅人フォーエバー21営業部部長は話す。

 リアル店舗1号店は417日に新規開業するららぽーと門真(大阪府門真市)に売場面積105坪で開く。フルラインアップ展開で全ての商品が並ぶ。売上目標は2億円。関東地方の郊外型SCを含め調整中で、年内にあと2店を出店したい考えだ。標準店舗は100坪と想定しているが、駅ビルなど都市部では50坪前後の出店も視野に入れる。メンズやキッズ商品の取り扱いは当面考えていないという。

ゲートウィンの栄木雅人フォーエバー21営業部部長

環境に配慮した素材を使ったデニムやインナー

 ポップアップストア開店に当たって、アダストリアの野田源太郎クリエイティブディレクターは「新生フォーエバー21は『トレンド&ハイクオリティへの転換』を目指している。大量生産・大量販売・大量廃棄といった過去のイメージを払拭し、当社の強みである適時・適価・適量の生産管理と合わせて、トレンドファッションとサステナビリティ(持続可能性)と合わせて正面から向き合う。さらに日本のマーケットにローカライズされた商品、ジャパンモデルで商品展開に力を入れている」と語った。

 このため「ジャパンモデル」は日本のトレンドに合わせて6つのテイストで商品開発。アンバサダーに歌手の青山テルマを起用した。

 デニムシリーズ(各4400円)では環境に配慮して2次加工における水の使用量を一般的なジーンズに比べ9割削減。日本国内で作られた素材を使用した。インナーシリーズ(キャミソールなど2200円とタンクトップとTシャツ1650円)ではオーガニックコットンの一大産地であるインドからの原料を調達。独自に開発したオリジナル素材を使った。

 なおディレクションテーマの一つである「色の力」を体現するポップなキャラクターを日本で独自に開発。21種類の野菜たちがシーズンごとにさまざまなアイテムで登場する仕掛けをつくった。これらはiPhoneケースやモバイルストラップなどの小物としても販売する。

アダストリアはライセンス事業を拡大へ

後列中央がアダストリアの野田源太郎クリエイティブディレクター。女性たちが着用しているのは全て「フォーエバー21」の日本企画商品

 「フォーエバー21」は米国・ロサンゼルス発のかつての格安チェーン。2000年に当時の大手婦人服専門店の三愛と提携し日本に進出したが、1年半で撤退。094月東京・原宿に再上陸1号店をオープンし、店舗を拡大した。199月に米国連邦破産法を申請して経営破綻。日本でも同10月までに全店を閉鎖した。

 今回は商標権を持つ米国ブランド管理会社のオーセンティック・ブランズ・グループ(ジェイミー・サルター会長、ABG社)から伊藤忠商事(東京都/石井敬太社長)を介してアダストリアがサブライセンシーとなり、日本で展開する。

 日本における主要ターゲットは10代後半~30代前半のファッション好きの女性で、商品単価は平均で4000円、客単価は5800円を想定する。5年後の20282月期に売上高約100億円、リアル店舗15店の展開を目指す。このうちEC売上高が6割を占める計画だ。

 アダストリアは有名ブランドのライセンス事業を次の収益源の一つと位置付け、「フォーエバー21」以外でもブランド展開をすることを計画している。